メカナイズド・ハート 138話
今回は久しぶりにルーカスの妹のリタ回になります。
ルーカス達がいかにして訓練生達を教育するか、試行錯誤している間に、同じような訓練メニューを受けて急ピッチでポッドパイロットに仕立て上げられていく人がいる。
ルーカスの生き別れた妹、リタ・マクワイヤーである。
「フッ!!フッ!!フッ!!イッチ!ニッ!!サンッ!シッ!!」
リタの声と共に、わずかに錆びついた金属バーと左右についた金属プレートが上下に動く。リタは黒色のベンチに背中を合わせてバーを動かして背筋と胸筋を刺激させる。
「ふうっ。」
日常の一部である筋トレを早起きして済ませると汗臭くなった服を着替えて食堂に向かう。
食堂では訓練生に仲間達と一緒にカバのように栄養を掻っ込むと、数分後には席を立ち最初の授業へと向かう。
そこでの授業を終えると、次の授業、また次の授業へと進む。食後直後の授業では眠気からか、視界がふやふやとぼける。
ここに70近い老齢教官の説法のような声が合わされば昼寝へとまっしぐらだ。
ツンツン
ビクウウッ
眠りかけていたところを、いきなり右脇腹を突かれて飛び起きる。
何とか叫ぶのを我慢しながら、顔を向ければ同室の同性訓練生仲間がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「この授業暇だよね〜。」
「ね。」
しばらく心地よい沈黙は流れる。その沈黙がしばらくすると、フフっと互いに笑い始める。
「ねね、何でこの学校来たの?徴兵組ならもう期間切れてるでしょ?」
「だって帰るとこないじゃん?兄貴ももういないし。」
「そっかあ・・・。」
「そっちは?」
「同じ・・、帰っても性産業以外仕事ないしね。」
互いに力無く笑う。
嫌な現実として、長年にわたる戦争、本土と植民地間の過大な経済格差、隣国との貿易紛争が経済の発展を阻害している。
結果として、リタやその友人のような学業の最中にいきなり徴兵されて数ヶ月から数年でいきなり外にほっぽり出されてしまう徴兵組は、性産業のような犯罪スレスレの仕事でしか生きることができない。
性産業のような仕事についてしまえば、遅かれ早かれ体を壊されて排水溝に捨てられるか、奴隷にされて輸出されるか、政府の行う市街地クリーン事業で捕まり殺されるだろう。
幸いにも2人とも、将来の危険を予知するだけの前頭葉と、ひたむきに努力を行いスペイン王国軍が徴兵組に提供する試験を乗り切る才能はあった。
「そこ2人!!集中!!一歩誤れば敵の毒牙にかかり死ぬのですぞ!!」
「「はい!!」」
老齢の教官に叱り飛ばされ年頃の2人の女子トークは切り上げられて、年不相応の軍人へと変化する。
両名の訓練期間の残りは3週間。それが終われば晴れて士官兼ポッドパイロットだ。




