メカナイズド・ハート 132話
デカ胸たぬき!!
「ふんふふん、ふんふん。ふんふふんふん、ふんふん!!」
ルーカスは鼻歌を歌いながら、エアコンの効いた室内から訓練場内でポッドの実技走行訓練を行なっている訓練生達を見る。
彼らは皆同じような神妙な顔つきで、教官の身振り手振りをじっくりと眺めて、言葉一つ一つを噛み砕きながら丁寧に理解していく。
その様子を見てルーカスは、訓練生の質に安心すると同時に、上層部の無茶難題を現実化するために、パイロットの紛い物のようなものへと育て上げられ、早晩戦闘で命を失うであろうことへの罪悪感を同時に感じる。
ルーカスは執務室の窓から目を離し、再びデスクワークに戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
偵察に副官を送ってから数時間後、いきなりひょこっと副官のミリアム少尉は帰ってきた。
「で、他の訓練部隊はどうしていた?」
「他部隊だと、どうやら一般人や基地の後方職などを中心とした書類を担当する専用のグループがあるみたいです。」
「そうか、それは参考にならないな。」
ルーカスは副官が伝えた事実にガッカリとし、肩を落とす。ルーカスもどこかから人材を調達して書類仕事に当てさせることを考えた、しかし人材を集めるための伝手や金が不足している以上、非現実的だ。
「うーん、難しいですね。」
「ああ、いっそのこと書類も確保するってのは・・・。」
「そもそも書類って何があるんですか?」
そう言われてルーカスはハッと気がつき、積み重なった書類をパラパラとめくりながら書類をジャンル分けしていく。すると次第に傾向が見えてくる。
1番多いのは訓練場内の備品各種の使用許可だ。
ルーカスの訓練隊長としての立場は、この基地全体の責任を持つ基地司令の下である。しかし、本社が基地の一部である訓練場の区画を間借りしたため、今まで基地司令が本来持っていた備品の管理と使用の最高責任がルーカスに渡っていたのだ。
この手の書類は全体の40%を超える。
2番目の多いのは、訓練生個人ごとの健康検査や訓練課程の習得状況を示した報告書類だ。
訓練生たちは訓練生となる前の試験で体力や健康検査を受けている。それらの情報がルーカスの元にたくさん流れ込まれてくる。
本来は訓練場へと派遣される前に、そして訓練課程の最中にも的確な審査が行われ、何のパイロットにさせるか、パイロットとして的確かどうかを判断し不適格であれば訓練コースを変えさせることになる。
しかし、緊急徴兵された訓練生たちは3週間でポッドのパイロットにさせられることが確定しているため、このシステムは意味をなしていない。
そのため、対して意味はないものの処理しなければならない書類だけは山ほどある状態になる。
これが全体の20%を占める。
お尻齧れない虫




