メカナイズド・ハート 131話
でかでかにゃんこ
どう見ても執務室とは言えないような部屋に一歩踏み入り、パイプ椅子の側まで行き腰掛ける。
「はあ。」
眼前には天高く積み上がる書類の山。
目を閉じて、目を開いても眼前から消えない。
仕方ないので、やるしかないと腕まくりをして取り掛かる。1番てっぺんにある大きな封筒から手に取り開ける。
「ん?」
封筒の中に硬く大きい長方形の物体が入っていることを手先で感じ、違和感を覚える。
「データチップか?いや違うな・・・これは、階級章?」
手で触れる感覚から明らかにデータチップのプラスチック感とは異なる、異質なものが階級章であることがわかる。覗き込んでみれば階級章は大尉、折り畳まれた紙には大尉への昇進の祝辞の言葉と新しく増える業務や心得などがツラツラと書かれているのが見える。
「おいおいおいおいおい、嬉しくないよこのタイミングの昇進は。」
ルーカスの本音が口から漏れる。
普通の軍隊での大尉への昇進は、非常にでかい。階級が一つ上がるだけで生涯年金の額が増え植民地人も本国人としての籍を与えられ、給与も増えるし公共交通機関や病院も無料で使用できるようになる。
しかし、民間軍事企業からポーランド軍へと人材派遣という形で送られているルーカスには外国人であるがゆえに生涯年金も給与も対象外だ。
「くっそ・・・、どうしようかね。」
そう呟きながらも今までつけてきた中尉の階級章を剥ぎ取り大尉の階級章を貼っつける。
そうして階級が一つ上がった立場から同じ書類を片付けていく。しかし業務は全くもって同じである。
自らの運命を受け入れなルーカスは、ペンを書類の上で踊らせ始めた。
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コンコンコンッ
ルーカスは自室のドアが叩かれていることの気がつく。
「どうぞ。」
「ハッ、失礼したします。」
ルーカスの言葉で、扉を開けてルーカスの副官が入ってくる。副官のミリアム少尉は両手に持っていた書類を片手に持ち替えながら、空いた片手で敬礼をする。ルーカスもまた書類の隙間から敬礼を返す。
「昇進おめでとうございます大尉どの、追加の書類です。」
「ありがとう、空いてるところに置いてくれ。」
「空いてるところなんてないですよ。」
「なら床にでも置いてくれ。」
その言葉に従い、もう一山分の書類がテーブルの側の床に置かれた。床に置かれた書類は、テーブルに置かれた書類の山と高さを比べ合っている。
「これはもうお手上げだな。よその大隊や訓練場はどうやっているんだ?」
ルーカスは訓練内容だけでなく、書類仕事も切り捨てることでシンプルにできないかと考える。ルーカスの疑問を聞いた副官は今すぐにでも書類から逃げたいのか、積極的に偵察を申し出る。
「偵察してまいりましょうか?」
「頼む。」
その言葉を聞いて副官は光の速さでドアへと吸い込まれていった。
「帰ってきたらあいつにも書類を処理させよう。」
たまに同時並行で複数作品書こうかなと思うときもありますが、時間的にあまり現実的ではないんですよね。




