メカナイズド・ハート 130話
ねむねむにゃんこ
応用宇宙航法と編隊飛行訓練を切り捨てても、いまだに3週間に収めるには決定的に時間が足りない。
「さらに訓練の時間を減らすために切り捨てるとしたら・・・。」
ルーカスは、部下の教官2人から渡された訓練課程の記されている2000ページ近い分厚く重い本をペラペラとめくる。しかし、ヒントは得られない。
そのため、自分の過去の経験からパイロットになった際にどのような授業をもっと欲したか、そしてどの授業は不要だと思ったかを思い出す。
「サバイバル訓練とポッドでの格闘戦、これも捨てよう。」
「それらもですか?いくらなんでも・・・、普通に上と交渉して本社かその仲介人と掛け合えないですかね?」
「いや、3週間と言われた時の何度も確認したけど、取り合ってはもらえなかったよ。結局最低レベル以下のパイロットを作るしかないらしい。」
その言葉を聞いて教官2人も副官もウンザリとした顔つきで一斉のため息をつく。
「まあ、とりあえずそれらも切り捨てれば3週間になんとか収まるので、それで行きましょう。上に申請する書類を来てきますね。」
ルーカスの副官であるミリアム少尉が、場の空気の重さに耐えられなくなり書類仕事を口実にその場を離れる。
ほか2人の教官たちもそれぞれキツキツの訓練課程を、間に合わせるために宿舎へと駆け出していく。そして最後に、ルーカスだけがその場に取り残される。
しかし、思考回路はその場を離れてどうやって訓練課程をねじ込ませるか、その一点に注ぎ込まれる。
全てのパイロットが通常型のポッドを与えられることが確定している以上、適当な所から実機を訓練生30人分確保できれば同時に全員訓練できるのではないだろうか?
しかし、どこから30機も?
解決不可能な課題に対して非現実的な解決方法ばかりが思い浮かぶ。
結果として、ルーカスには固く険しく刻まれた眉間のシワだけが残りお手上げの状態でルーカスは、自らの執務室へと向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「執務室か・・・。」
ルーカスが1番嫌いなもの、それは書類仕事である。
セルゲイの大隊にいた頃から書類仕事は大嫌いだった。自分の分の書類と中隊の部下たちの書類、機体の整備状況や中隊長と小隊長級への連絡事項などの書類で常にキャパオーバー、にも関わらず訓練隊長という実質的に大隊指揮官の地位になってしまえばデスク周辺の環境悪化は避けられない。
ガチャッッ
ルーカスが開けた執務室の先には、なんの変哲もないパイプ椅子と安そうな金属製の足のついたテーブルが見える。
「しょぼ。」
思わずそんな言葉がルーカスの口から漏れる。
公営アパートメントの一室程度の狭い部屋に、中国かトルコかどこかの権威主義国家で作られた二束三文で買えそうな小さなベッドと、黄ばみがついた白い冷蔵庫、テーブル、パイプ椅子だけが置かれた部屋だ。
どう見ても執務室と呼ばれるものではない。
おしりかじりむし




