メカナイズド・ハート 109話
ええ感じに描写できてる気がする。
「ルーカス!!」「ルーカス!!」「ルーカス!!」
頭上から響いてくる誰かの怒鳴り声で、気絶からたたき起こされる。
目を開ければいまだモヤのかかる視界の中に、最愛の人の顔が見える。彼女はもともと短髪だったものの伸び始めて挑発に近づきつつある髪を前にたらした状態でのぞき込んでくる。
前に垂れた髪の毛のせいで顔全体は見えないものの、その美しい人が言葉と表情から発する恐怖と混乱の感情はルーカスの脳を刺激する。ルーカスは素早く自らの体を各部の痛みに逆らいながら持ち上げ、彼女を抱きしめて無事を確認する。
「エミー?無事かい?」
「なんとかね?」
ルーカスはエミーに無事を問いただした際に、彼女が若干顔をうつむかせ隠すようにする様子が目に入り、手を伸ばして彼女の顎をあげさせ髪の毛をどかす。
「見ないで!!」
彼女がそう拒否する前に、彼女の痛ましい傷跡がルーカスの目に入る。彼女のシルクのようにきれいな肌はホコリまみれになり灰色でおおわれ、数センチ以上の大きさのガラス片と金属片らしいものが顔の左ほほのあたりに何本も突き刺さり、数センチ以上のながらの切り傷もできている。
「ガラス片と金属片か?」
「うう・・・、そうみたい。」
彼女は痛みと悲しみのあまり呻きながらもルーカスの確認を肯定する。
「口開けて。」
「うう・・・、ふぁい。」
そうして彼女が開けた口の中は、散々夜の行為中に見たことも味わったこともあるピンク色の行内ではあるものの、今日ばかりはさらに赤く朱色になっている。のぞき込んでみれば、数本のガラス片が深々と突き刺さりその先が見えている。
「ひどいな、医者に見せないと。立てるたい?」
「腰が抜けて無いければ立てるよ。」
彼女の傷の深さから素早く非難するべきと立ち上がったルーカスは、ふらつきながらも彼女支えつつ近くにあったはずの金属製の手すりを掴んでバランスを取ろうとして盛大にバランスを崩しかける。
慌ててあたりを見回してみると、周辺の悲惨な状況が視界の中に映る。
車内を明るくしていたはずの電気は消え、絶望的な暗闇の中にわずかに人々の泣き声や絶望の声が聞こえてくる。
メトロ構内のわずかに残る電球に照らされながら映るあたりの光景は、悲惨そのものでどこを見てもスプラッター映画のような光景が広がり誰もがもがいている。先ほどメトロに乗り込んできた老婆が座っていたイス付近は木っ端みじんに吹き飛び断裂して、線路が見えている。
近くにいたトルコ系の移民労働者らしき人々も、衝撃で吹き飛ばされたらしく誰もまともに意識を持っているようには見えない。
周囲を見回し、助けがすぐに来なさそうなことを確認すると速やかにルーカスはその場を逃げるべきだと確信し、エミーに自分の考えを伝えようとエミーの方を向く。
「何してんの?早く逃げるよ!!」
彼女はすでに何らかの爆発で吹き飛び断裂した隙間に体を滑り込ませて、脱出しようとしていた。以心伝心というものだろう。何も言わなくても彼女に自分の考えが伝わっていることに喜びわずかに微笑みながらも、彼女が滑り出ようとする断裂部から飛び出す金属片や金属管、ケーブルに歪んで鋭利な先を見せる外装のアルミ板などにひやひやする。
何かできないかとあたりを見回すと、手がかりを手に入れる。
「よいしょ!!」
「あ!!こらなにすんの!!」
そう言う彼女に、一方向へと指をさす。彼女は無言でその方向を向く。その先には歪み外れ空っぽになった、本来ならドアがあったはずの空間がある。人一人がようやく通れるほど狭く怪我をする可能性がある断裂部と異なり、コチラなら子ゾウも通れるだろう。
「確かにこっちの方が良いね。」
ねむねむにゃんこ




