メカナイズド・ハート 107話
気が付いたら日曜が終わりそうでガチビビり。
「うるせえな、あいつら何事だ?」
「たぶん、ポーランド人が配置した治安部隊に対する過激派プロテスタントによる攻撃ですね。」
いらいらしながらもドル札を指で数えていると、目の前の店員が爆発音の犯人を親切に教えてくれる。
「多いのか?」
「ポーランド人が来てからは特に多いですね。ドイツ民族統一戦線と国家戦闘団が競うように爆弾テロやインフラへのサボタージュを起こしてます。」
「なるほど、随分詳しいんだな?はい12ドルちょうど。」
目の前の自分とほぼ同じ年の女性が、詳しく話していることに少しばかり驚く。ルーカスやエミーなどは、晩御飯にゆで卵が出るか出ないかにエネルギーを使い政治組織については一度も考えたことはなかった。
「ありがとうございました。帰りはメトロを避けることをお勧めします。」
「わかった。こちらこそありがとう。」
ルーカスは店員に感謝の気持ちを伝えると、そのまま店の前の電灯に寄りかかりリラックスしてエミーが会計を終えるのを待つ。ふと左右を見回せば真上からパラパラと白い小さな物体が降っているのが街灯のうすぼんやりとした暖色の光のおかげでロマンチックに映る。
「くそ、コロニーの予報は外れてばっかりだな。」
ルーカスは頭上から降る白い物体を見ながら予報への怒り半分諦め半分の感情のまま、ぼんやりと頭上を見上げ続ける。昔の恋愛映画によくあるヒロインとイケメンが出会うときに降る雪のような美しさで、恋愛に疎く花より団子なルーカスも一瞬その美しさに空に顔を向けて見とれる。
しかし、空から降ってくる物体は決して綺麗な雪などではない。全て人体に有害な化学物質の堆積物か、ただのホコリである。
「ホコリも光り次第できれいに映るんだな。」
ルーカスは自分には似合わないことを自覚しながらも、思わずセンチメンタルな言葉をつぶやかずにはいられない。
「ごめんまった~?」
「いや、全然だよ。」
数分もすればエミーがプラスチック製の小袋一杯に医薬品を入れた状態で店から出てくる。
「必要な物買えた?」
「うん。」
「よかった。」
ルーカスはエミーと他愛もない会話をしながら、休日を楽しむ。昨今の流行の服、流行のメイク、流行の料理の話をしている時のエミーの顔の輝き具合は年相応で、普段部隊で見せる表情ともベッドの中で見せる表情とも違う元気いっぱいの姿はルーカスにはとても愛おしく映る。
「飯どこにしよっか?」
「俺はイタリアンが良いな、基地の飯は缶詰かパンかジャガイモばかりで飽きたよ。」
眠すぎ。




