メカナイズド・ハート 104話
昨日は多忙のため投稿できませんでした。
「そんなに警戒しなくて良いぞ。」
ベルは一切その目を動かすことなく、ルーカスがエミーの後ろから手を回して彼女をベルのうっすらとただよう彼女の狂気から守ろうとした行為をさしながら、優しく話しかけてくる。
「え?」
「恐れてその子の肩を抱かなくても大丈夫だよ、取って食ったりはしない。いままで一度も食べてないだろ?」
ベルは、自分が無害な存在であると肩を下げ、両手をお手上げだとばかりに点に向けて上げながらアピールする。しかし、彼女の目は変わらない。
「そうビビらなくても、説明してあげるから落ち着いて・・・。」
そう言いながら、ベルは先を歩きタラップから基地内の通路を進み建物の屋上まで案内する。いまだ激しいパルチザン掃討作戦の煙とホコリが混ざり上層階に向けてたなびいていくのが見え、コロニー内で生活する人々の光がカーテンからわずかに漏れるなかで、彼女は自らとセルゲイの身の上話を始める。
「ほんとにここで話すのかい?あまりロマンチックな場所ではないと思うけど?」
「ロマンチックな人生を送ったことは一度もないからここでいい。」
ベルはルーカスの軽口にぶっきらぼうに返すと、数分考えを巡らせたうえでしっとりと話を始める。
「どこから話をするか。そうだな・・・、まずは私とセルゲイがもうほとんど人間じゃないことはわかるよね?」
その言葉を聞いて、ルーカスの隣にいたエミーが口を開く。
「それは普通の人間とは違うっていう意味で?それとも生物学的に?」
「あ~、それは生物学的にってことだよ、ふふ。私たちは人間としての部分はあまり残ってないカーボンヒューマンだよ。」
「うそだ、髪の毛の先からお尻の穴まで見たことあるけど一度も、くそったれしょうもないロボットたちとは全然違ったよ。」
エミーは彼女たちとの長い狭い艦内での共同生活から、二人が生物学的な意味で人間ではないというのは信じられない。
「ほんと?ありがと人間じゃないのに人間だと思われるのは嬉しいよ。」
「えー!?ほんとに人間じゃないの!?信じられない人間以上に人間してるじゃん!!」
二人がニコニコ盛り上がっている中で、ルーカスのなかでうすら寒い感情が湧いてくる。人間ではないのであれば、彼らの視点から我々一般的な人間はどのように映っているのだろうか?
「だから、普通の人間よりもあいつは人間味がないのか?」
「セルゲイ?あれは単に性格があれなだけだよ。」
彼女は笑いながら、あっけらかんと最初に話を切り出した時とは大違いで、嘘のようなくらい明るく答える。彼女は町中を歩く一般人よりも良く微笑み、冷たく妖艶でありながら刃物のような鋭さと軽い倦怠感を漂わせていた初印象や、普段の立ち振る舞いとは大違いだ。
そう気がついた時、ルーカスは心の中でわずかに走った非人間に対する不信感と、命を持たず機械に突っ込めば蘇れる者と共に替えの効かない命を危険にさらしているという不平感が若干ほぐれるのを感じる。
明日は予定がないので普通に投稿される予定です。




