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現代日本の食料事情4

現在の日本がどんな状態なのかはある程度はわかった。

あのノートの日付とか冥竜王ヴァルサスの名がなぜわかったのかとか色々と謎はあるが、そこは気にしてはダメような気がする。

あの世界での情報と現実世界ではかなりの誤差があるようだ。


細かいことだが思い悩んでいると、これまでの話を整理させるためかここで一旦休憩となった。

卑弥呼がなにを考えてこの世界に魔法という力を持ち込んだのかはわからない。


その目的も不明だという。

卑弥呼は力のない人間は解放した。

じゃあ力があるものはどうなった?

先生は意図して隠したんじゃないだろうか?それはこの後の話しで重要な意味合いになる予感がする。


「マスター、難しい顔をしているぞ」


いつの間にか目が覚めた白夜が下から覗きこむように見つめてくる。

おもわずドキっとした、美少女と言われるぐらいまで成長した白夜にまだ見慣れていないため幼女のときと比べて接し方の距離感が狂っているように感じる。


成長した白夜と再び契約により繋がっているのは理解している。

だが、頭でわかっていても心がまだ追い付いていなかった。


「ごめん、考え事をしていた」


「謝ることはないがの、気にしているのは我の事か?」


どこか不安そうに白夜が見つめる。


「なんで?」


「いや、我がこれほどまでの魅惑のボディを手にいれたし、マスターも男じゃから………な?」


急にモジモジと肩を揺らし頬を赤くする白夜をぼーぜんと見つめた。

魅惑のボディというが、黒の洋服を着ているとはいえ実際は凹凸のないスレンダーな体つきをしているのがわかる。


確かに身長も伸び成長した白夜に戸惑っている部分もあるが、まだまだ胸が………………ってそうじゃないだろう、白夜が変に意識をする前に誤解を解かないと。


「あはは、お子ちゃまに意識なんてしないさ。意識をしてほしいならミナホぐらいに………………」


「………」


最後まで言えなかった。

まさか白夜に殺気を向けられるとは………。

これでも空気は読めるつもりではいたんだが最後まで言葉にしていたら命はなかったかもしれない。


なんとか余計な事を言わずにすんだが、互いに無言になってしまった。


「にゃは、直斗はお姉さんに夢中かい?」


「えっ?………ぐはっ!」


油断した。

背後から接近したミナホに気づかなかった。

ミナホは僕の後頭部を抱え込むとその豊満な胸を押し付ける。そのとたん僕と白夜の間にあった重い空気が霧散した。


「なっ!な、なにしてますかミナホ!!!マスターから離れなさい!」


「グヘヘヘ、どうしたの白夜ちゃん?いつもと話し方がちがいますよ~」


「そ、そんなことはない。いつもと同じじゃよ。いいから離れろミナホ!」


「あの~」


「へぇ、妬いてるの?可愛い~」


「………ミナホ、いい加減にするのじゃ、このたれ乳が!マスターが迷惑しておる」


「ハア!………まな板ごときに噛みつかれるとはお姉さん怒るよ?」


「ねぇ、聞いてます?」


「だ、だれがまな板じゃ。まだ、発展途上なだけじゃ!それに今夜からマスターに………大きく………………」


「どうしたの?白夜ちゃん。私の後ろになにかいる………って………………ちっ、違うのよ茜さん」


目の前の白夜の表情が凍りついている。

僕の後頭部に自慢の巨乳で押し付けているミナホの声が震えだす。

僕の背後には怒りのオーラを発している先生の気配を感じた。


「いい身分だな直斗。女を侍らせて余裕じゃないか」


ミナホのせいで後ろを振り向けないが、先生の声は確実に殺気に満ちていた。


「ん、言い訳はなしか。なら休憩も終わりでいいだろう続きを話すぞ。ミナホと白夜は床に正座だ!もう酔いも覚めただろミナホ。白夜も成長したとおもったら色ボケしおって、そこで反省してろ」


「「はい!」」


先生に怒られた。


「直斗、夢から覚めたら性格が変わったかようだな?………いや、学園でも女子に囲まれていたな天然のハーレム気質か………いいか直斗、ここでは重婚はできんからな覚えておけよ」


「えっと………そんなつもりは全くないんですが………ごめんなさい」


誤解される行動を許した僕が悪い。

それにしてもミナホの奴、酒癖が悪すぎたろ!二日酔いの癖に絡んでくるとは………まぁ、柔らかかったけど………。


それと白夜もあれほど感情を乱すなんて思いもよらなかった。

これも進化した影響かな?

悪いことではないけれど変に人らしくなったな。

目の前で正座をさせられている二人は自業自得として、この中で一番の年長者はと後ろを見ると薄目を開けてこちらを見ている隼人さんと目があった。


僕の視線に気づくとすぐに目を瞑り寝たふりをはじめる。


(ああ、そうですか助けてくれないんですね………)


あんたの奥さんでしょうが!と叫びたかったが見ないふりをしてあげた。

これが大人の対応だろうか?機嫌の悪くなった先生には誰も逆らえないと痛感した瞬間だった。


「よし、休憩も終わりでいいだろう。これから直斗に私達の現状を説明しよう」


黒板にいろいろと書き出していく先生。

まずはこの洞窟、神木である亜弥音が守護する洞窟である。

住んでいる皆さんはシンプルに亜弥音洞と呼んでいるらしい。


初代がこの洞窟にたどり着いたときにはもうあの場所に神木は存在していた。

初めは神木だとは気づかなかったらしいが、卑弥呼が7匹の支配者を日本に放った頃に神木が活性化して今に至る。どうやら魔力に満ちた日本の影響をうけたようだ。


地下6階まで亜弥音の力で造られたこの洞窟は地下1階から2階は天然の洞窟として残してある。

3階は居住区、4階に神木である亜弥音が存在し、僕が目覚めた時に入っていた繭は亜弥音のユリカゴとい名で、その装置やこの会議室などがある階らしい。


地下5階が農業区で米から野菜などを作っている。

亜弥音のおかげで植物系は豊富に採れるのだが、牛や鶏など動物は飼っていないそうだ。

その為か昨日の歓迎会で見た皆さんは男女共、痩せている人が多かった。


最後に地下6階だが、ここは異世界に行くための転送陣やこれまで集めた武器や防具に各魔法道具の保管庫。それと戦闘の為の訓練所がある。


「………以上がこの洞窟の全容だ。直斗、質問はあるか?」


「そうですね、最下層に武器や防具があるのは何故ですか?地上からも浸入者がいるのに?」


「そうだな。ヴァルサスの造り出した神兵達には意思はない。何故なら奴はこの地で死んだ人間を使っている。人間を見つけたらヴァルサスに知らせるのが役目だ。それが5体で一組で行動をしているのを確認している。人間を見つけるとどうやっているのか直ぐにヴァルサスに連絡いれるから素早く倒す。だから先人達は身を隠しながら倒す術を考え出した」


「えっ?身を隠しながらですか?」


「そうだ。地上から浸入した神兵は亜弥音が教えてくれる。だから地下1階~2階は罠が張ってあるのさ」


「………罠を仕掛けているんですか?」


「ああ、8割はそれで全滅するから凄いだろ」


「………ええ。残りは?」


「運よくたどり着いた生き残りを我々が倒す」


「そうそう、隼人さんが鍛えた防衛隊が迎撃するのよ」


目の前で正座をさせられているミナホは割りと平気そうにしているのに対して白夜の顔色は悪い。

隼人さんは相変わらず死んだふりをしている。


「今ここの住人は283人。その中で何とか戦えるのは40人程だ。それも亜弥音の罠を使ってようやく戦えるぐらいの力しかない」


「力が衰えているのですか?」


その問いに先生は頷いた。


「無理やり与えられた力だ。世代を重ねるごとに弱くなった者がほとんどだよ。隼人にミナホと私、それに直斗ぐらいだな異世界を行き来できるだけの力を持っているのは」


「異世界に行き来するんですか?」


「そうだ、我々の最終目標は卑弥呼の打倒だ。だが、東京に行くには障害がある。強大な力をもつ7匹の神徒を倒さなければならない。その為にも七つの星、異世界セブンスターに行って各星にある7匹の神徒の命のコアを破壊しなければならない」


「………なんですかセブンスターって?」


話が大きくなってきた。

勿論、最終目的は卑弥呼を倒すことだとは想像はついた。

また、その為には卑弥呼が日本に召喚された7神徒を倒さなければならないことも何となくわかる。


だが何故、聞いたこともない異世界セブンスター?に行かなければならないのだろうか。


「直斗、お前も既にセブンスターに行っているはずだろ。なにせお前があの学園から行っていた異世界がそのセブンスターだからな」


「………はっ?」


「マスター、その話は本当ですよ。我々精霊はその七つの星を行き来していたんですから」


先生の語ったことに言葉もなくボーぜんとしていると、白夜が正座をした姿勢のまま顔だけ振り返り先生の言葉を肯定する。


「………それが本当だとして何故、異世界に行くことが7神徒を倒すことに繋がるのですか?」


「それは簡単な話だ。奴等の命はその星に根を張っているからだ。なぜなら7神徒は元々セブンスターの守護者だから。卑弥呼は奴等の力だけが必要だった。

だから体はセブンスターに魂は日本に連れていった。その命というべきコアは各星に置いてある。我々はそれを探して破壊しなければならない。そうしなければ卑弥呼に手が届かないからだ。だから異世界に行く為に転送陣を作る必要があった」


珍しく熱く力説する先生の話を黙って聞く。

しかしどう考えても人手不足ではないだろうか。

しかもいまだに7神徒は健在である。

どれだけの時間をかけているのかは知らないが不可能ではないのかと頭に過る。


「なんだ直斗?言いたい事でもあるのか」


どうやら考えていた事が顔にでていたらしい。

誤魔化してもいいが、先生達は未来にどういう展望をいだいているのかも気になる。


「先生は今の代でそれをなし得るのですか?」


「………そうだな、厳しいだろう。隼人もミナホもよくやってはいるが、まだ命のコアの場所の特定もできてはいない。私も探りはいれているがここ数年はなんの情報もないのが現状だ」


「それでもやるんですね?」


「当たり前だ!卑弥呼は力ない者は野に捨てたが、力がある者は7神徒の餌に使っている。私はあの学園で調べたんだ開放されなかった者達はどうなったかを、この地球には魔法など存在しない。なら7神徒はどうやって存在を維持できているのか?答えは単純だ!卑弥呼は捕らえた日本人を直斗が入っていた繭のような装置に入れ彼等の感情と成長した魔力を7神徒の餌に使っている。数千万の人間が家畜のように使われているのだ!………………絶対に卑弥呼は殺す………」


「………………」


言葉がでなかった。

先生は怒りを、ミナホは顔をふせて悲しみを隼人さんも寝たふりを止めて苦々しい顔を見せている。


重苦しい沈黙が会議室を満たす。


「マスター、どのような決断をしようと白夜は着いていきますよ」


僕の手を白夜の小さい手が包み込む。

小さな暖かいなにかが僕の手を伝って心に流れてくる気がした。


「わかりました。僕も手伝います」


「………そうか、ありがとう直斗。なら直斗には肉の調達係りをしてもらう」


「………えっ?」


先生が何を言っているのか理解ができなかった。


「なにを間抜けな表情をしている。いまの直斗はレベル1だぞ、隼人やミナホと同じ事など頼めはしない。まずはレベルを上げつつ、ここに足りない肉を異世界から狩ってきてほしい」


「えっと肉………ですか?」


おもわず目の前の白夜を見る。

白夜は???と首を傾げるが僕には昨夜の白夜の言っていた肉肉肉の声が頭の中で聞こえた。


「そうだ。先ずは1ヶ月程、隼人と戦闘訓練をしたのち向こうに行ってくれ。ここに住む皆が期待しているぞ直斗」


僕はやる気を外され項垂れる。そんな僕をみかねて白夜が同情するように僕の頭を撫でてきた。

少し心が落ち着いたので僕は先生に了承する返事をした。

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