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ピラミン遺跡の謎

直斗は腰を屈みながら横穴を進む、前を見れば背の低い白夜とティーアが光結晶で照らしながら進む。

その後を直斗は着いていった。


「白夜、変化はない?」


「はい、まだ続きそうです」


白夜の答えを聞いて直斗は渋い顔をする。

木の中に落ちて、この横穴を見つけた。

あきらかに人工的に作られた横穴を進んできたのだが、その距離が長い。


いい加減、直斗も腰が痛くなってきていた。

直斗の後ろの白雪も器用に這ってついてきている。


いつまで続くのかと思われたこの歩みも白夜の声で終わりが見えてきた。


「ん?………………行き止まりですか?」


白夜が横穴の終点らしき場所の壁を手で探る。


「どう?」


「う~ん、よくわかりませんね。マスターちょっと叩いてみます」


そう言うと白夜はガントレットを装着して壁を叩きだした。


ゴンゴンコン


「!」


白夜が叩いていった壁の一部から軽い音がした。


「みつけました!」


壁を叩いていた白夜が明るい声で振り返る。


「良し、やれ白夜!」


「はい!私の新たな力を見るがいい!………………ティーアさん風の攻撃魔法を私に撃ってください」


「え?………本当にやるのか?」


「はい、遠慮なさらずにどうぞ」


そう言われたのでティーアは渋々、白夜に向けて風魔法を放つ。


「エアーカッター!」


ティーアの放った風の刃が白夜を襲う。


吸収ドレイン!」白夜は向かってくる風の刃にガントレットの手を広げると手のひらの中心がキラキラと輝く。

それに触れた風の刃が消失した。


「な、なんなのだ?!」


驚きの声を上げるティーア。


「フフ、いい感じです」


ティーアのガントレットに緑の光のラインが数本伸びる。


「いきます!」


白夜は壁の一点を見つめ、そこに右拳を振りかぶると

右ストレートを放つ。

その拳が緑に光る、拳が壁に当たると壁の中に光が吸い込まれるように中に入っていった。


キィィーン!


金属が切れるような音が壁の中から聞こえた。


ズシン!


白夜の力で切れた壁が倒れる。

すると壁の向こうに通路が見えた。


「やりました!さあ、行きましょう」


開いた壁を跨ぎ、白夜が通路に降りる。


「直斗、ここを出たらぜっったい!その力の説明をしてもらうぞ!」


ティーアの常識を破る直斗と白夜、ついに我慢の限界がきたティーアが直斗に怒りながら下の通路に降りていった。


それを見て直斗が苦笑いを浮かべる。

ツンツン!と直斗の腰を鼻先で押す白雪に謝りながら直斗も下に降りていった。


白雪が余裕で移動できるほどの通路、直斗達は取り合えず上に向かった。


通路には明かりもついていて、とても歩きやすい。

大森林の木を利用した木目の通路を歩きながら直斗はここが何の為に作られたのか疑問に思う。


上がっていった先に木の扉が見えた。


「開けるよ?」


直斗は皆を見渡してから扉を開ける。

そこで直斗達は何も無い広い空間を見た。


地下とは思えないほどの広さと明るさを目にして直斗達はボー然とする。


「ようこそピラミン遺跡へ、例外の存在よ」


ビク!と体を震わす直斗達は声のする方へと顔を向ける。

白雪にも気配を感じさせなかった声の主は床からせりあがったテレビ画面から声をだしていた。


「お前は誰だ?」


「私はここを管理する者の一人」


「管理?」


「そうだ、例えばこれを見てみろ」


そう言うと近付いて来た直斗達に映像を見せる。


「氷依?」


テレビ画面に映しだされたのは、遺跡の中だと思われる氷依達の姿だった。


「これは………………氷依達をどうするつもりだ?」


テレビに向かって直斗が聞く。


「どうもしない、私達は観察して導く」


「導くとは?」


「私達はそう造られた、例外の存在よ」


「例外の存在?どういう意味だ?。それにここはピラミン遺跡の中なのか?」


「まず1つ目、これまでお前達のようにいきなりこの階層まで来た者はいない。そして2つ目、想像通りだここはピラミン遺跡の中だ」


その答えに直斗達は安堵するが、テレビ映しだされる氷依を見て直ぐに厳しい表情にもどる。


「彼女等はどこにいる?」


「遺跡最上部から中に入ったから地上3階層だな」


氷依達は敵とはまだ遭遇していないようで、石造りの通路を歩んでいる。


「では、ここは何処だ」


「ここは地下10階層だ。お前達はどうやってここまで来たのだ」


「木の穴に落ちて、横穴を通ってきた」


「………………どういう事だ?私の知らない道があるのか?………………」


独り言のように呟くと考え込むように沈黙した。

直斗達は沈黙したテレビを無視して画面に映し出される氷依達を見る。


氷依達は着実に進んでいた。


「ティーア」


「ん?なんだ」


「ここ遺跡の中だけど大丈夫なの?」


「………………何とも無いようだ」


ティーアは直斗に言われて初めて気づいた。

体を手で触れて確かめると、いつもとまったく同じで圧迫感や足の震えなど無くいつものティーアだった。


「そう、ならいんだ」


直斗は遺跡の中でも平気そうにしているティーアを見て、ひとまず安心する。


敵か味方かわからない存在を前にして、白夜と白雪もどうしたら良いのかと困惑顔だ。


「この遺跡はなんだ!」


テレビ画面に向かって直斗が叫ぶ。


「ここはただの遺跡だった物を日本人の手により、新たに造られた遺跡だ。私はその時に造られた人工精霊」


「人工精霊?」


思わず直斗はティーアを見るが、聞き覚えのない単語にティーアが首を振る。


「マスター、人工精霊と私は似ている存在です。ギフトに宿り意思のある精霊、人工精霊は精霊に意思を与えて存在する。とても似ていて否なる存在」


「人工的に意思を与える?」


「はい。例を挙げるならゴーレムが近い存在でしょうか」


成る程と直斗は思った。

意思の無いものへ意思を与える。

ゴーレムは決められた行動を与えられ動く、それの最上位の存在がこのテレビかと直斗は思った。


「何となく理解はした。それで、ここが存在する理由は?」


「簡単な事だ。エルフとダークエルフが住む大森林、ここは娯楽的戦闘訓練施設だよ」


「訓練施設?。………エルフに死人がでているのにか?」


ティーアの過去を思い出して、直斗はテレビに尋ねた。


「死人とは?」


「ダークエルフがここで死んだと聞いた!」


「否。こので死んだエルフはいない」


「「えっっっ!!」」


ティーアと直斗はそれを聞いて驚く。


「だってティーアの両親がこの遺跡に入って帰って来なかったと」


「なるほど、事情は把握した。昔、ここに入り出ていかなかった者は存在する。コレを見ろ」


テレビがそう言うと画面が氷依から、どこか別の場所のカプセルが並んでいる場面を見せる。


「これは?」


直斗は見せられた映像の意味がわからなくてテレビに聞いた。


「人工冬眠をさせているエルフ達だ」


「はあ!!!」


直斗達が驚愕の声をあげた。


「生きているのか?」


「勿論だ、47名全員が生きている」


「………………何故、外に出さない?」


「解放の条件が最下層に行き、最終試練をクリアーする事に決められているからだ。私の一存では決められない」


「………何故、その事をエルフ達が知らない」


昔の日本人達が何を思ってこの遺跡を改造したかは知らないが、エルフ達にそれが伝わって無いのが不思議でしょうがない。


「憶測だが、プライドだと結論する」


「プライド?」


「そうだ、人ごときが造った物をクリアーできなかったエルフの誇りがこの遺跡の事を忘却した」


「エルフの誇りの為に遺跡に取り残されたエルフを見捨てた?」


「見捨てたのかは判断できない。エルフは長寿の種族である、エルフの地位が高いものが未来にかけたのかもしれない。生存しているのは知っているはずだからだ」


ティーアの心臓は早鐘を打っていた。

直斗とテレビの会話はティーアの両親が生きていると言っているのだから。


「最下層の試練をクリアーすれば、皆が解放されるのだな?」


感情を圧し殺したような声でティーアがテレビに問いかけた。


「勿論だ。私達はその為に造られた存在。娯楽訓練施設ピラミン、与えられた事を当たり前にこなす。クリアーできた者に祝福を」


それをきいてティーアが直斗達に頭を下げた。


「直斗、お願いだ。お父様とお母様を救ってほしい。お願いします」


いつもと違うティーアに直斗はそれだけ真剣なのだと思った。

そして………………。


「当たり前だティーア、仲間が困ってたら助けるよ」


直斗自身、らしくないなと思ったが小さいティーアが助けを求めている。

ならば全力でそれを果たすと直斗は誓った。

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