最下層をめざして
直斗はティーアの願いを叶える為にテレビくんに最下層までの道を聞いてみる事にした。
「今、眠っているエルフを助けるためには最下層の部屋をクリアーしなければならない。それはわかった、ここからどう行けばいい?」
「本来なら私も試練の1つなのだがな、たが例外に例外を重ねても良いだろう。そこの扉から下に行けば良い。お前達が来た道は脱落者を輸送する道だから意味がない」
何もなかった部屋の壁がスーと下に下がり階段が見える。
「あの階段を降りて行けば次の訓練部屋に行けるよ。下は地下迷宮になっているから頑張ってね。………………そうそう、安全地帯もあるから無理せずに頑張りなよ」
「わかった、ありがとう」直斗はテレビくんに背を向けて、下の地下迷路に行く階段を降りていった。
「さて、例外くんの名前を聞き忘れたな。彼女達には何て言おうか」
近いうちに来るであろう氷依達を見て呟くように声が小さくなり消えていった。
最下層に行くためには地下迷路を突破しなければならない。
その入り口だと言われた扉の前で直斗はティーアを見る。
「本当に参加するの?」
「勿論だ、見ているだけなど論外なのだ!自分の手で助けたいのだ」
「わかった。僕と白夜が前衛、ティーアは後方で魔法を使って。白雪はティーアの守ってほしい」
直斗が全員の目を見て確認する。
それを全員が見つめ返して頷く。
「良し!じゃあ、行こうか」
直斗は扉を開け放ち中へと入っていた。
「なんだこれは?」
ティーアが目の前の光景に驚きの声をだす。
「これは凄いね」
直斗達は扉を開けて目に光景に息を飲んだ。
自然の岩肌が露出し、何かの光が光源となり照らす鍾乳洞。
先程までの人工物が嘘のように天然の自然がここにあった。
「とりあえず進もう」
圧倒される光景から立ち直り、直斗は皆に言うと全員がそれぞれの役目を思い出して配置につく。
道らしき場所を探っては進んでいく。
今はまだ広大な空間に居るために敵を発見しやすい。
もちろんその逆もあるが。
「こんな場所だとやっぱり、コウモリとかゴブリンとかかな?」
「もう少しレベルの高い魔物ではないでしょうか?………と、これで良し」
直斗の問に答えながら白夜は鍾乳洞の壁に印をつけていく。
「それは?」
「目印です。もし迷ってしまった時の為の」
「なるぼどね」
直斗は感心して白夜の行動を見ている。
「ガウ」
ん?と白雪の方を見てからその視線の先を見る。
ズジャ!ズジャ!
と踏みしめ歩いてくる音が聞こえてきた。
「トロール?ぽいけどそれに似た何かだ!」
直斗達の目の前に現れたのは片手に斧を持ったトロールの姿を真似た土のゴーレムだった。
「1体だけ?」
「そのようです、マスター」
トロールゴーレムの後ろを気にしていた直斗と白夜はそれを確認して、目の前のトロールゴーレムに集中する。
「ティーアは後ろから後続が来ないか注意をしつつ援護を、白雪はティーアの護衛をして」
そう言うと白夜とトロールゴーレムの元へ走る。
ギギギギ!と
ぎこちなく動くトロールゴーレム近づく直斗と白夜。
トロールゴーレムはまずは直斗に狙いをつけたようで、手にもっていた斧を振りかぶり攻撃をしてきた。
ドン!
地面に当たる斧の音が辺りに響く、直斗はそれを難なくかわしてトロールゴーレムの背後からわき腹辺りを殴りつける。
岩を殴った感触が拳に感じる。
直斗は振りきらずに当てるだけに拳をとどめた。
「白夜、そっちはどう?」
「マスターと同じかと、固いです」
「やっぱり、魔法での攻撃が必要か?」
「はい。ティーアさんに期待ですね」
二人は頷きあって、トロールゴーレムの狙いを自分達に向くように動いた。
「私がやらなければ。………ウォーターニードル!」
直斗達を攻撃していて背中を向けているトロールゴーレムにティーアが水魔法を放つ。
ティーアの放った無数の針のような水魔法がトロールゴーレムの背中に小さい穴を開けていく、さすがに奥深くまでは届かなかったが直斗達には十分な援護になった。
「白夜。奴の背中に穴が開いた、タイミングを合わせてそこを吹き飛ばす」
直斗がそう指示をだすと白夜が頷いた。
ティーアの攻撃に気をとられたトロールゴーレムが、後ろを気にした瞬間に直斗と白夜がトロールゴーレムの胸の辺りを殴りつけた。
ボコ!………………ドン!
トロールゴーレムの背中から鈍い音がしたと思ったら大きな音をたてて背中の土が大量に吹き飛ぶ。
トロールゴーレムの背中を半分吹き飛ばしてもその動きを止めずに、直斗に向かって来るトロールゴーレムの脇を白雪が駆け抜けた。
ゴトン!
トロールゴーレムの首が落ちる。
白雪がすれ違いざまに切り落とした。
落ちた頭部からコロっと転がる青い珠。
直斗はそれを足で踏み潰すと、残っていたトロールゴーレムの体が崩れさった。
「ハアハア………、やっぱりゴーレム系は苦手だよ」
「そうですね、核を潰さないと止まりませんものね」
トロールゴーレムの崩れさった残骸を見ながら、直斗と白夜は疲れた表情で話す。
「やったぞ直斗。私の魔法が通じたぞ!」
笑顔で走り寄るティーアとゆっくりと近付く白雪。
「助かったよティーア、これからも宜しく」
直斗にお礼を言われてティーアが更に笑顔で頷いた。
戦闘が終わり辺りを見渡す、近くに敵の気配が無いみたいなので直斗達は先に進んだ。
進むにつれて、ある法則のようなものが有ることに直斗が気づいた。
鍾乳洞の道らしき所を進むとその先に大小の戦いやすい空間が存在する。
その場所に必ず敵が出現する。
まるでここで戦えと言っているぐらい敵が出てくる。
直斗達はすでに5戦ほど戦ったが、その全部がゴーレムだった。
ゴブリン、オーク、トロールと戦い勝ったが、さすがに疲労の色が顔に出てきた。
「さすがに疲れた」
「わたしも」
「マスター、ここで休憩でもしますか?」
先程倒したゴブリン三体が土にかえったその空間で直斗は休憩をとることにした。
直斗は壁際に行き、腰をおろすとギフトから水を取りだし皆に配る。
「訓練だからかな、ここの敵はゴーレムだけみたいだけど?」
「そうかもしれん。生き物の臭いが感じられないぞ」
「そうなると白雪の鼻は当てにできませんね」
「そうだね、でもこの階層は法則が有るみたいだから大丈夫だよきっと。それよりテレビくんの言ってた安全地帯が見あたらないね?」
ここまでの道のりにそのような場所は無かった。
もう少し先なのか、道が違うのか判断ができなかった。
この鍾乳洞に入り6時間が経過しているのをスマホで確認している。
法則があるかもしれないで、ここでキャンプはできない。
いつ復活するともわからないからだ。
テレビくんの言っていた安全地帯が近くに有ることを願いながら直斗は先に進む事にした。
ここまで、ほぼ一本道だと記憶しているがもしかしたら違う道があったのかもと思ってしまう。
そんな迷いにとらわれながら直斗が進んでいくと。
「マスター!これを見てください!」
白夜がある一点を見つめ、直斗を呼んだ。
「ん?、なに白夜。………………これって………」
呼ばれて直斗とティーアが白夜に近づく、そこには御休憩はこちらと日本語で書かれていたプレートがあった。
「日本語?」
「なんと書いてあるのだ?」
「この先で休憩が出来る部屋が有るみたいですよ」
「なんと、そのような事が書かれていたのか。誰も意味が解らずに放置してあったプレートにも意味があったんだな」
考え深げにプレートを見るティーアに直斗はエルフには、教えを請う姿勢が無いのかとつくづく思った。
直斗達はプレートに書いてあった事を信じて進む。
前方にまた空間が見えた事でまた戦闘をしないといけないのかと思ったが、その手前に白夜より低い位置にボタンがあった。
「こんな所にボタンなんて、いじが悪いな」
「そうですね、私でも見落としそうです」
しみじみ直斗が頷くと白夜にボタンを押すように言う。
ボタンを押した白夜の目の前の壁がスライドして、隠し部屋が現れた。
「うお!こんな所に部屋が現れたのだ!」
直斗達のやり取りを聞いていたティーアがいきなり現れた部屋を見て興奮気味に声をだした。
ここがテレビくんの言っていた部屋だと判断して直斗達は中に入る。
「意外に広いな」
直斗は8畳ほどの隠し部屋を見て呟いた。
「マスター、ここにもボタンがあります」
白夜が見つけたボタンが二つ。
そこには開く、閉まる。
とあるので白夜に閉まるのボタンを押してもらい、今日はここで一泊することを決めた。




