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大森林へ出発

学園から届けられた荷物に群がっている氷依達を眺めつつ、直斗はティーアと大森林を見つめる。


「ティーア、先行して中に入ったパーティーの場所はわかってるの?」


「?、わかるぞ。それがどうしたのだ?」


不思議そうに直斗を見上げるティーア。


「彼等のパーティーとは絶対に遭遇しないルートをティーアに教えてほしい」


「それは構わないが良いのか?」


「うん、お願い」


「わかったのだ」


直斗のお願いにティーアは頷く。


「マスター、どういうルートで行きますか?」


「ティーア、二組のパーティーは今どこら辺?」


「ん、………………大森林を左回りに一組、中央から左寄りにもう一組だな」


「そう、なら僕達は右回りで大森林の境目に沿って行く。ティーア、他のエルフも僕達の居場所はわかる?」


「うん、わかるぞ。エルフの領域だからな、ある程度の行動は知られているぞ」


そう、と呟いて直斗は考え込んだ。


「マスター、知られては不味いですか?」


考え込んでいる直斗に白夜が聞いてみる。


「いや、大丈夫だよ」


そう言うと直斗は白夜の頭を撫でてあげる。

それを嬉しそうに微笑む白夜を、羨ましそうにティーアが見つめる。


「ん?ティーアも撫でてほしい?」


「………ちょっと羨ましいぞ」


そう。と言って直斗はティーアの頭も撫でてやった。


「何をしているのよ」


背後から氷依の声がしたので、直斗は振り向くと荷物を抱えた女性陣がいる。


「直斗、残りの荷物を持ってくれる?」


直斗の返事を待たずに氷依は直斗の前に梱包された荷物を置く。

それにならい他のメンバーも荷物を積みあげる。


「直斗さん、お願いしますね」


「直斗様、お願いします」


「直斗さん、すみません」


大きめのダンボールが四個、それを直斗はギフトにしまう。


それとは別に人数分のリュックサックが置いてある。


「これは?」


「簡易食糧と水に小物よ、アイテムボックスに入れるとダンボールごと出さないといけないから」


確かに、と直斗は思った。

まだギフトのアイテムボックスは10個が限界だった。

早く容量を拡大したいが、条件がわからないので諦めていた。


「準備ができたのなら行こうか?」


「そうね行きましょう」


「直斗さん、私が先行します」


直斗の問いに氷依が賛成して、大森林の中へと向かう。

エリーナが探索魔法を発動して先頭を歩く、そのすぐ後ろに直斗と白夜がついて不測の事態に備える。


大森林の中は想像以上に薄暗かった。

まだ午前中で青空が広がる快晴なのだが………………。


「直斗さん、どっちに行きますか?」


「エリーナさん、大森林を右回りに移動して夜営できる場所をまず探して下さい」


「わかりました。」


直斗の言葉に頷くとエリーナは方向を確認して先に進む。

エリーナは大森林の奥には向かわずに大森林の外側を直斗に言われた通りに進む、時折立ち止まっては地面に生えている草を摘まむ。


「なにをしてるんですか?」


後ろにいる魅沙がエリーナの行動を不思議に思い聞いた。

ちなみに今日の魅沙の耳は狼耳だ。


「はい、薬草をとってます」


エリーナは摘んだ薬草を魅沙達に見せる。


「へえ、これが薬草てすか?」


「私には雑草にしか見えないわね」


「お嬢様、雑草よりは香りが良いみたいですよ」


薬草を見た魅沙達は思い思いの感想を述べる。

エリーナはそれをティーアに渡す。


「?、なんなのだ?」


「え?………………付き添いの方が評価ポイントをつけてくれると聞いたのですが?」


「………………あっ!忘れてたのだ。えっと、この薬草は2ポイントだな。薬草は処分してもいいのか?」


「ええ、お願いします」


ティーアの言葉にエリーナは頷くとそれを確認したティーアは薬草を腰につけていた皮の袋の中に放り込む。


「これでいいのだ」


ティーアはいい仕事をしたような笑顔だ。


「エリーナはそういうのに詳しいのか?」


直斗はふと疑問に思って聞いてみる。


「いいえ、探索魔法を使うとその範囲の有効そうな物が、この眼鏡に表示されるんです」


「………なんで、その力があって……」


直斗の呟きはエリーナにしか聞こえない。

エリーナは曖昧な笑みを浮かべて直斗だけに聞こえる声で言う。


「あまり活躍するとリーダーがよく思わなかったので………………」


「そうなんだ。なら今は遠慮なくやっていいからね」


それを聞いてエリーナは張り切って、再び歩きだした。

エリーナが何処に向かっているかは不明だが、着実に薬草やら果実などを集めていく。


大森林に入り結構な時間が経過した。

直斗はエリーナに休憩できそうな場所を探してもらう。


「あと100メートルぐらい進むと開けた場所に出るみたいです」


エリーナは直斗にわかるように、その場所を指で差す。

直斗は頷いて皆に進むように指示を出した。

確かにエリーナの言った通りに進むと休憩ができそうな平地が見えてきた。


「ここで休憩をとろう」


直斗がそう言うと、氷依達は中央に集まり腰を落とす。

花さんは皆にお茶を配り、皆が美味しそうに飲んでいるなか、直斗と白夜は辺りを警戒する。


「直斗さん、周辺の警戒なら私がしますよ」


花さんからお茶を貰い飲んでいたエリーナが直斗に声をかける。


「ここは任せてくれていいよ。エリーナは休憩していて」


「そうですか、ありがとうございます」


お茶を飲み、ホッと一息ついた氷依が直斗を見て聞いてきた。


「直斗、昼食にしたいんだけど」


「そうですね、氷依さんに賛成です」


魅沙がすぐにその提案に賛成をした。

直斗もそのつもりでいたので構わないと思ったのだが、何故か直斗の後をついてきているティーアに一応聞いてみた。


「ティーア、ここで火を使ってもいいの?」


「いいぞ、火事にならなければ大丈夫だ」


「そうなんだ………」


「直斗さん?」


何か試案し始めた直斗に魅沙がどうしたのかと声をかける。


「花さん、火を使って匂いが、広がる料理をお願いします」


「匂いですか?」


「はい。まだ大森林の魔物を見ていないのでおびき寄せられるかと思って」


白夜と氷依以外の皆が驚きの顔をした。


「直斗、いい案ね。作戦は?」


「この中央で花さんに料理を作ってもらいます。魅沙さんとエリーナはその隣で待機、もしものときは魅沙さんのシールドで二人の防御をお願いします」


「はい!わかりました」


「直斗さん私は?」


「エリーナさんは周りを警戒して、敵がきたら教えて下さい」


エリーナが頷いたの確認して、直斗は氷依を見る。


「氷依はエリーナさんの指示で魔物が来たら魔法で攻撃を!」


「ええ、任せて!」


目を輝かせて力強く頷いた氷依に直斗も頷く。


「僕と白夜は遊撃兼、囮役になるよ。ティーアは魅沙さんの近くにいたほうがいいかな?」


「戦いになるのか?」


「多分ね」


「わかった。私は戦いに参加はできないので、魅沙のそばにいるぞ」


直斗の隣にいたティーアはそう言うと魅沙の側にいった。

それぞれの役割が決まり、実行する。


花さんが巧みに簡易釜戸を作り料理を始める。

辺りに肉の焼ける匂いが広がる。

何処からコレが?と氷依に聞くと2週間分の食材が荷物で送られてきていて、花さんは1ヶ月分を要求したのにと文句を言っていたらしい。


これなら何か魔物が来るかな?と直斗が思っていると、エリーナから警戒を促す声がした。


「何か来ます。1時の方向に3匹!」


氷依は直ぐに魔法を出せるように身構える。


ガサゴサ!


こちらに向かってくる足音がする。

直斗は氷依の射線上に重ならないような位置で身構える。


ガウ!ガウ!ガウ!


直斗が見たのは、この国の狼のような魔物だった。

飛び込んで来た勢いのまま直斗達に向かってくる。


「氷依!一匹任せた!」


そう言うと直斗と白夜は同時に前に出た。

狼の大きさは大型犬ほど、2匹が直斗と白夜に狙いを定めたらしく向かってくる。


直斗と白夜はすでにガントレットを装備していた。

狼が口を開けると鋭い牙が覗く。

直斗は足に噛みつきにきた狼の顎をおもいっきり蹴りあげる。


ギャッフ!


狼は悲鳴をあげながら体が上へと伸び上がると、直斗は目の前にきた狼の頭部を上から下へ殴り付けた。

地面に叩きつけられる狼、まだ息はあったが動けるほどの力はないようだった。


それを確認して直斗は白夜を見るとすでに白夜は狼の頭部を砕いており、狼の頭に足を乗せて涼しそうな顔をしていた。


直斗はもう1匹、直斗と白夜の間を抜けて後ろの氷依の方へと行った狼をみる。

そのときに直斗が目にしたのは、氷依の氷の弾丸で体に穴があいた狼が直斗の足下まで吹き飛ばされた姿だった。


ひとまず戦闘が終わり、直斗はエリーナに視線をやると、エリーナは気配なしと首を振った。


「ティーア、これは食えるのか?」


「お、森狼か。食えるぞ、全部肉にするのか?なら直ぐに血抜きをするのだ」


「いや、1匹だけでいい。それと血抜き?」


「そうだぞ、血を抜かないと肉に血が染み込んで不味くなるのだ。なんならやってやるぞ」


「いいのか」


「戦いじゃないから良いぞ」


「そうか、なら後で約束通りにチョコをやろう」


ティーアは絶対だぞ!と言いながら森狼を1匹、捌いていく。

残りはポイントへとするべく、ティーアに預けた。


直斗は戦ってみたところ、以外に楽に森狼を倒せたことで交代で食事をしながら、匂いに釣られてやってくる魔物を狩っていった。

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