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深見エリーナ

私は早足で五堂教師のいる教員室に向かっていた。

先程までの悔しさや情けなさを中庭で味わったのに、もうそんな気分は無くなった。


光羽直斗君………。

彼と彼の精霊である白夜さん。

この二人のせいだ。


(私を………勧誘するなんて………本気?)


彼等と別れてから、ずっとそんな事を考えている。

リーダーだったあの人の言う通り、私は役立たずだ。


異世界の通貨に私達は困惑した。

冒険者ギルドから講習を受けたり、異世界でアルバイトもした。

勿論、学園でのお金の獲得も継続してやっている。


最低ランクの依頼ばかりだったが、私達はお金が貯まるとすぐに依頼を受けた。


数多く依頼をこなして、私達はCクラスで3位のパーティーになっていた。


それでもEランクの依頼から抜けだせない日々が続いた。

私達は常に日帰りの依頼を選び少しずつお金を貯める。


クラスで仲の良かった女子二人と5人組男子とでパーティーを組んだ。

初めは楽しかった、異世界に行き冒険をする。


でもだんだんと、仲の良かった皆と距離ができたように感じる。


「エリーナ、あの森に目的の果実があるって」


「深見、これ食えるかな?」


「深見さんあとどれぐらい採ればいい?」


「エリー、あの魔物の弱点は?」


と、私は常に皆から支持されていたと思う。

頼られるのは嫌いじゃない私は期待に応えようと頑張った。

でも………それがリーダーだには気に入らなかったようだ。


ある時から私は何故か孤立することが多くなった。

男子から話しかけられる回数が減り、いつからか仲の良かった女子も離れていった。


それでも私は頑張ったよ。

皆のために何かしたくて。


ある依頼で私は先行して探索を任された。

リーダーの言われた通りに行って戻ると仲間達は、その場所に居なかった。


どうしてと私が町に戻って聞くと。


「深見!魔物が近くに着たんだ、お前は何をしていたんだよ!」


そうリーダーに怒鳴られた。

私はそれに愕然として仲間達に謝りにいった。

でもリーダー以外は誰も怒ってはいなかった。

リーダー以外はその魔物を見ていなかったから。


私はその日からリーダーに不信感が募った。

初めはなんでも話し合った私達のパーティーも、リーダーがどんどん選んでくる依頼に疲れたのか口数が少なくなった。


すでに私達のパーティーは20回は依頼をこなしている。

雰囲気が悪くなっても依頼を達成した時には皆で喜びを分かち合った。


もしかしたらと、もう何十回も思った。

でもダメだった。


ある時、リーダーが皆の前であるパーティーの事を汚く罵る。

皆は押し黙ったままそれを聞いていた。

でも私はそれが我慢ならなかった、もしかしたらその時に決定的な亀裂が入ったのかもしれない。


そのパーティーとは光羽君がリーダーを勤める。


ートルネードーだった。


光羽君のパーティーは依頼が開始されたその日から学年のトップにたっていた。

四万ポイント、凄い数字だ。

私達のパーティーはこれだけ依頼をこなしてCクラスで3位。


あの誰一人、注目しなかった彼が、その日から1学年の注目を浴びている。

私達のポイントは3千ポイント、あれだけ依頼をしてそれだけだった。


たぶん、それでリーダーは思わず罵ってしまったのだろうと私は思った。

それからのリーダーは頼りがいのある男子から程遠くなり、光羽君のことを陰で愚痴る神経質の男子に変わった。


皆のやる気がだんだんと無くなっていくのを私は陰でフォローした。

でもそれが、だめ押しだったのだと知ったのは、リーダーに中庭に呼び出されたときだった。


リーダーが言う、お前は人望だけだと。

リーダーの性格が変わりはじめた後の私のフォローで少しずつまた会話が増えた。


でもそれは、全員がリーダーに対しての不満の声だった。

孤立気味だった私に皆が声をかける、それがリーダーの目に入り私に対してキツく当たることに繋がった。


お前は役立たずだとリーダーは言った。

私の魔法は周辺の探知と解析の魔法だけだった。

でもリーダーが持ってくる依頼の殆どが私の能力を使わなくても可能な依頼ばかり、魔物との戦闘など数える程だった。

それも弱い魔物ばかりで私の出番はほとんどない。


そんな私にリーダーは個人の依頼ポイントを減らし始める。

役にたっていない者にやるポイントは少なくても良いだろうとのことだった。


五堂教師はその事に何も言わずに了承したらしい。

その事でまたパーティーに不信感が増した。


私はときどき光羽君を目で追う時がある。

私自身は意識をしていないし、録に話したこともない人なんだけど不思議と目で追ってしまう。


そんな彼にも重大な変化がおきた。

彼の精霊の白夜ちゃん?


彼女が現れてから光羽君は笑う事が多くなった。

リーダーはおもしろく無さそうに不機嫌さを募らせているが、彼には何もできない。


何故なら、今の彼はレベル7の狩人。

たぶん、クラスで一番のレベルだろう。

そんな彼と話題の動画の彼を見て、私は少しずつ興味が沸いてきた。


小鹿の直斗、女子の間で可愛いと評判だ。

私も見たけどあれは………反則だ。


そんな彼がまたポイントを上げた。

現在、学年5位。

まだ2回しか依頼をこなしていないのに、その数字にリーダーの我慢の限界がきたみたいだった。


放課後に中庭に呼び出される。

私は覚悟を決めていた。

悪い予感しかしない、最悪パーティーから閉め出される事も想定してリーダーを待った。


リーダーが来て、私を見るともう仲間を見る目ではなかった。

散々、嫌味や罵とうされてパーティーから外された。


私は恐くて、悔しくて知らずに涙がでていた。

その時に気配を感じて声をかけたら、光羽君が出てきた。


思わぬ事に私は恥ずかしくなり、彼に背を向ける。

私は気が動転していて、思わず彼に八つ当たりをしてしまった。


それでも彼は怒らず、逆に私を彼のパーティーに欲しいと言う。

なんで?と思ったが理由を聞いて私は何も言えなくなった。


(私の能力が必要だって)


それを本気にしても良いのだろうかと考えるとグルグルと思考が回る。


そんな私に白夜ちゃんが、考える時間をくれた。

期限は4日、それで答えを出さなくてはならない。


光羽君は罰のために放課後に中庭に居ると言っていた、五堂教師の居る教員室に入り私はパーティー脱退の紙をその場で書いて先生に渡す。


先生は私の顔を見て、何も言わずに了承してくれた。

心が軽くなったように感じた。


だから私は光羽君と話をしてみようと思った。

まだ知らない人だから、明日から光羽君と話をしてみてそれから決めよう。


私は背が低いし目が悪く眼鏡をかけている。

金色の長い髪は腰の辺りまで伸びていた。

欠点も多い私だけど必要としてくれるなら応えたい。


………でも………


皆は気づいてもいないが、彼には伝えようと思う。

ハーフエルフの私でも良いのか?と。

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