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悪役令息に転生した俺は改心しない  作者: まゆな


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セリナとの結婚式

アレンは、セリナとの婚約から十分に周知する時間は取れたと判断した。


これ以上先延ばしにする理由もない。


「そろそろ結婚するか」


アレンの一言で、セリナとの結婚式が決まった。


結婚式は、アレンのこれまでの人生でも最大規模のものになった。


侯爵家当主の長男と、高位貴族の令嬢との結婚。


参列する貴族も多く、屋敷では連日準備が進められていった。


「こんなに盛大にしていただいて、本当にありがとうございます」


セリナは準備された式場を見ながら、嬉しそうに微笑んでいた。


「せっかくの結婚式だからな」


アレンは何でもないことのように答える。


もちろん、費用は相当なものになった。


料理も最高級。


装飾にも大量の金が使われている。


衣装も妥協していない。


アレンとしては、これまでで一番贅沢な結婚式をやるつもりだった。


「俺の結婚式なんだから、このくらい派手でいいだろ」


そして結婚式当日。


多くの貴族が見守る中、アレンとセリナは夫婦となった。


式が終わると、アレンは町へ目を向けた。


結婚を祝うため、町では平民にも料理と酒が振る舞われることになっていた。


大通りには料理が並べられ、領民たちは結婚を祝って集まっている。


「本日はおめでとうございます!」


「セリナ様、お幸せに!」


「アレン様、セリナ様、末永くお幸せに!」


領民たちから次々と祝福の声が上がる。


セリナはその様子を見て、胸がいっぱいになった。


自分の結婚を、貴族だけではなく領民まで祝ってくれている。


「私……幸せです」


セリナは小さく呟いた。


「領民の皆さんにまで祝っていただけるなんて……」


自分が嫁ぐ相手が、この領地を治めるアレンだからこそ、これだけ多くの人に祝ってもらえている。


そう思うと、セリナは改めてアレンと結婚できたことを嬉しく思った。


一方のアレンは、町の様子を見ながら別のことを考えていた。


「ふっ……」


アレンは満足そうに笑う。


「過去一贅沢な結婚式を、お前たちの税金から盛大に挙げてやったぞ」


料理も酒も大量に用意した。


式場も豪華にした。


衣装も装飾も妥協していない。


これだけ金を使えば、悪役令息としてかなり良い仕事をしたはずだ。


「これぞ貴族ってものだな」


アレンは満足していた。


しかし――。


「アレン様、ありがとうございます!」


「今日はごちそうだ!」


「こんなに豪華な料理を食べられるなんて!」


領民たちは誰も気にしていなかった。


むしろ、自分たちまで結婚を祝わせてもらえたことを喜んでいる。


「セリナ様は本当にお綺麗だったな」


「お二人ともお似合いだった」


「これからもこの領地を頼みます!」


アレンが税金を使って贅沢をしたなどと怒る者は、一人もいなかった。


そもそも結婚式の祝い事で料理や酒が振る舞われているのだから、領民たちにとってはありがたい話である。


「……?」


アレンは少しだけ首を傾げた。


「なんで誰も文句を言わないんだ?」


アレンとしては、領民の金を使って豪華な結婚式を挙げるという、いかにも悪徳貴族らしい行動をしたつもりだった。


だが領民たちからすれば、


領主が結婚した。


そのお祝いで料理と酒が振る舞われた。


それだけだった。


むしろ、普段より豪華な食事を楽しめるため、大歓迎である。


「まあいいか」


アレンは深く考えなかった。


こうしてアレンは、人生で一番贅沢な結婚式を挙げた。


本人は「領民の税金で贅沢をしてやった」と満足していたが、領民たちはそんなことなど気にも留めず、ただ新しい領主夫人の誕生を心から祝っていた。


セリナもまた、そんな領民たちの姿を見ながら幸せそうに微笑んでいた。


「この人のもとに嫁ぐことができて、本当によかったです」


アレンだけが、その言葉の意味を少し違う方向に受け取っていた。


「当然だ。こんなに金を使ったんだからな」


「……ふふっ」


セリナは何も言わず、嬉しそうに笑った。

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