↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/60

三人目の奴隷

リサの妊娠が分かってから、アレンはすぐに次の護衛を探し始めた。

もともとアレンの護衛はアリス一人だった。

しかし、アリス一人では不安だったため、リサを二人目の護衛として加えていた。

そのリサが護衛を続けられなくなった以上、元の状態に戻すわけにはいかない。

アレンは新しい護衛を探すため、奴隷商を訪れていた。

「護衛として使える奴隷が欲しい」

アレンがそう伝えると、奴隷商の店員が何人か候補を連れてきた。

「条件は以前と同じでいい」

アレンが提示した条件は、以前リサを購入したときと同じだった。

ただ強いだけでは駄目だった。

アレンのそばに置く以上、命令に従えること、生活環境に馴染めること、そして何より護衛として育てられる素質が必要になる。

何人かを見て回った末、アレンが目を止めたのは一人の少女だった。

「この子にする」

名前はサキ。

特別に強そうに見えるわけではない。

少なくとも、現在のアリスと比べれば話にならない。

だが、それは当然だった。

アリスは長い間訓練を続けてきた。

今では騎士団のメンバーと戦えるほどの実力を持っている。

そんな人間の代わりを、奴隷商で簡単に見つけられるはずがない。

「また一から育てるのか……」

サキを連れて店を出たアレンは、少しだけため息をついた。

リサも護衛として育ててきた。

それができなくなったから、今度はサキを育てることになる。

同じことをもう一度やらなければならない。

正直なところ、面倒だった。

だが、それでもアリスが護衛から抜けるよりは遥かにましだった。

アレンにとって、アリスはすでに代わりの利かない存在になっている。

「アリスの代わりを探すなんて無理だな」

アレンはそう結論づけた。

ならば、アリスにはこれまで通り護衛を続けてもらう。

そして、新しく入ったサキを時間をかけて育てる。

それが一番現実的だった。

屋敷へ戻ると、アレンはサキに今後の方針を説明した。

「君には護衛になってもらう」

「はい」

「ただし、すぐに俺の護衛を任せるわけじゃない。まずは訓練だ」

サキは真剣な顔で頷いた。

アレンはサキをメイドとして働かせることも考えた。

屋敷で生活する以上、最低限の仕事を覚えてもらう必要はある。

しかし、優先順位を考えれば話は別だった。

「メイド仕事より、まずは騎士団の訓練を優先しよう」

アレンには理由があった。

護衛として必要なのは、掃除や料理の技術ではない。

アレンの身を守れるだけの戦闘能力だ。

そこでサキは、屋敷の仕事を覚えることよりも騎士団に混ざって訓練することを優先することになった。

最初に訓練場へ連れて行かれたサキは、周囲を見回した。

そこには日々鍛錬を続ける騎士たちがいる。

サキにとっては、これまでとはまったく違う環境だった。

「ここで訓練するのですか?」

「そう。アリスもここで鍛えてきた」

アレンがそう言うと、サキは少しだけ緊張した。

アリスを見る。

普段はアレンのそばに静かに立っているだけだが、訓練場では別人のような動きをする。

騎士たちと互角に渡り合う姿を見れば、その実力がどれほどなのかはサキにも分かった。

「……あれが目標ですか?」

「いや」

アレンは即答した。

「アリスと同じになる必要はない。まずは護衛として使えるようになればいい」

サキは少し安心した。

しかし、アレンは続ける。

「まあ、できるだけ強くなってくれたほうが助かるけど」

「はい!」

サキは力強く返事をした。

こうして、新しい護衛候補としてサキの訓練が始まった。

アリスの代わりにはならない。

リサの代わりにも、すぐにはならない。

それでも、アレンの護衛を二人以上に戻すためには、サキを一から育てるしかなかった。

「また育成か……」

訓練場を眺めながら、アレンは小さく呟いた。

以前と同じようなことを、また繰り返すことになる。

それでもアレンは、サキが成長していく過程を見守ることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。