娯楽の強化
アレンは遊技場を眺めながら、もう少し娯楽施設を増やしてもいいかもしれないと考えていた。
街には以前より人が増え、商売も活発になっている。
食事を楽しめる店も増えた。
ダーツやビリヤードも少しずつ知られるようになり、遊技場を訪れる人も多くなっている。
それでも、アレンにはまだ物足りなかった。
「他にも何か作れないかな」
アレンは前世の記憶を思い返す。
娯楽そのものなら、前世にはいくらでもあった。
しかし、何でも作れるわけではない。
巨大な設備が必要なもの。
高度な機械が必要なもの。
大量の材料を必要とするもの。
そういったものは、この世界で再現するには手間がかかりすぎる。
せっかく思いついても、作るのが大変なら意味がない。
「場所と材料、それに作る手間を考えると……」
アレンは候補を絞っていく。
そして、二つの遊びが頭に浮かんだ。
「ボウリングとパットゴルフならいけるな」
ボウリングなら、必要なのはレーンとボール、そしてピンだ。
レーンも木材を加工すれば作れる。
ボールは木製でもいいし、素材を工夫すればもっと丈夫なものも作れるだろう。
ピンも同じだ。
複雑な機械など必要ない。
パットゴルフも同じだった。
本格的なゴルフ場を作る必要はない。
小さなコースを作り、そこに穴を用意する。
坂や障害物を設置すれば、それだけでも十分に遊べる。
「これなら作れる」
アレンはさっそく遊技場の管理者に話をした。
「新しい施設を作りたい」
「またですか?」
「今度はボウリングとパットゴルフだ」
管理者は聞き慣れない言葉に首を傾げた。
「どのような遊びでしょうか?」
「実際に作ったほうが早い」
アレンは必要なものを説明した。
ボウリング場には、木材を使った細長いレーンを複数作る。
レーンの先にはピンを並べる。
ボールを転がして、何本倒せるかを競う。
ルールもそれほど難しくない。
パットゴルフは、もっと簡単だった。
芝生の上に短いコースを作り、木製のクラブでボールを打つ。
決められた場所にある穴へ、何打で入れられるかを競う。
普通のゴルフほど広い土地も必要ない。
「これなら、遊技場の近くにも作れるな」
アレンは満足した。
工事が始まると、職人たちはアレンの説明を聞きながら施設を作っていった。
ボウリング場は木材を丁寧に削ってレーンを作り、表面を滑らかに仕上げる。
ピンも同じように木材から作った。
一方、パットゴルフは空いている土地を利用してコースを作る。
平坦な場所だけでは面白くない。
小さな坂を作り、途中に障害物を置く。
簡単なコースもあれば、少し難しいコースも用意した。
数週間後。
「完成したか」
アレンは新しく作られた施設を見て満足した。
そして、すぐに一人の男を呼び寄せた。
「レオンを呼んでくれ」
しばらくすると、悪友のレオンがやってきた。
「また何か作ったのか?」
「今回は新しい遊びだ」
「またかよ」
レオンは呆れたように言いながらも、明らかに興味を持っていた。
まず二人はボウリング場へ向かった。
「この玉を転がすのか?」
「そうだ。あのピンを全部倒せばいい」
「簡単そうだな」
レオンがボールを持ち、レーンに向かって転がす。
ボールは真っ直ぐ進み、ピンにぶつかった。
何本ものピンが音を立てて倒れる。
「おお!」
レオンの顔が一気に明るくなった。
「結構面白いな、これ!」
「だろ?」
今度はアレンが投げる。
アレンのボールもピンを倒した。
二人は何度も勝負を繰り返した。
「くそ、また負けた!」
「まだまだだな」
「次は勝つからな!」
ボウリングを十分に楽しんだ二人は、今度はパットゴルフへ移動した。
「こっちは何をするんだ?」
「このボールを穴に入れる」
アレンがクラブを握り、ボールを軽く打つ。
ボールは芝生の上を転がり、坂を越えて穴へ向かっていく。
「おお、入った!」
「こういう遊びだ」
「これも結構難しいな」
今度はレオンが挑戦する。
ところが力加減を間違え、ボールは穴を大きく通り過ぎた。
「……」
「力を入れすぎだ」
「分かってる!」
二人はその後もコースを回り続けた。
ボウリングで競い、パットゴルフでも競う。
気がつけば、二人ともすっかり夢中になっていた。
「いやあ、いいな。こういうの」
レオンが満足そうに言った。
「そうだろ」
アレンも満足していた。
前世で人気のあった遊びの中から、今の世界でも作れそうなものを選んだ。
そして実際に作ってみれば、ちゃんと楽しめる。
「遊技場も、まだまだ増やせそうだな」
アレンは新しい遊びを楽しみながら、次に何を作ろうかと考え始めていた。




