メイドの増員
アレンは相変わらず、世継ぎ問題を抱えていた。
アレンの家系は、昔から子供ができにくい家系だった。
そのため、配偶者との間に子供ができない可能性も考えておく必要がある。
「まあ、子供ができなかったときの保険は必要だよな」
アレンはそう考えていた。
だが、これは建前だった。
アレンには別の目的があった。
「せっかく大きな屋敷に住んでいるんだ。メイドをもっと増やして侍らせたい」
アレンは以前から、そんなことを考えていた。
そこでアレンは、メイド長に指示を出した。
「屋敷のメイドの数を増やしてくれ」
「かしこまりました」
メイド長が募集を始めると、すぐに多数の応募が集まった。
しかも、応募してきたのは一般の女性だけではなかった。
派閥に属する貴族家からも、娘をメイドとして送り込みたいという申し出が次々と届いた。
アレンはその状況を見て、内心喜んでいた。
「こんなに集まるのか」
これなら、たくさんのメイドを侍らせることができる。
アレンとしては、それだけの話だった。
しかし、派閥の貴族たちの考えは違っていた。
アレンの家系は子供ができにくい。
そのため、配偶者との間に子供ができなかった場合に備え、側室や妾との間に子供を作っておく必要がある。
そして、その子供を後継者候補として確保しておく。
今回のメイド募集は、そのための準備だと考えていた。
「アレン様も世継ぎのことを真剣に考えておられる」
「万が一、配偶者との間に子ができなかった場合の保険でしょう」
「ならば、我が家の娘を送り込む絶好の機会だ」
貴族たちは勝手にそう解釈していた。
応募者が増えていくほど、アレンは満足していった。
一方、周囲の評価はむしろ上がっていた。
「アレン様は女遊びのためではなく、家の存続まで考えておられるのだ」
「若いのに立派なものだ」
そんな声まで聞こえてくる。
「……なんか違うんだよな」
アレンは釈然としなかった。
自分は単純にメイドを侍らせたいだけなのに、なぜか周囲からは世継ぎのために慎重な計画を立てていると思われている。
「俺、そんなに立派なこと考えてないんだけどな……」
またしても、アレン本人と周囲の評価は大きくずれていた。




