〈26〉ロマン派の決意
「グラシアーノが動くぞ」
その知らせを持ってきたのは、マティアスだった。
「やはりそうくるか」と、アルフォンソが言う。
「早いな。それにしても、いきなりグラシアーノとはな」と、エルンストが続いた。
「それだけ、ミカリがうまくやっているということだ」と、マクシミリアンが締めくくった。
「どうする?」
アルフォンソがマクシミリアンに尋ねた。
「どうするも何も、こうなることははじめから分かっていたことだ」
「ミカリはグラシアーノに勝てるのか?」と、マティアスが言った。
マクシミリアンはゆっくりと目を閉じて答えた。
「わからない」
「わからないって!やられてしまっては、元も子もないぞ」と、マティアスがマクシミリアンに迫った。
マクシミリアンはマティアスと違い冷静に受け止めていた。そして、言った。
「相討ちに持ち込んでくれればいいと思っている」
「相打ちか」と、マティアスがため息混じりに言った。
マクシミリアンがみなに言った。
「兎に角、あの狡猾なグラシアーノをなんとかしなければならない」
「どうするつもりだ?」と、アルフォンソが尋ねた。
マクシミリアンは考えを述べた。
「どの道さけては通れない道だ。ならこちらからグラシアーノをおびき寄せる。ミカリとの対決の場を用意してやるんだ」
「対決の場?」と、アルフォンソが言った。
「そう。対決の場を」
「それは?」と、アルフォンソが尋ねた。
「サンタローザが、キュートピア先導師に就いたとき、その記念に結びつけた夫婦をミカリを使って破綻させる。それを前もって教えてやるんだ」
「情報をリークするのか?」と、エルンストがマクシミリアンに尋ねた。
「ああ。サンタローザも次のミカリの標的が自分が結びつけた人間とわかれば、間違いなくグラシアーノを差し向けるだろう。ミカリも前もってグラシアーノが来るということが分かっていれば、なんとか戦いようはあるんじゃないか?」
「そうだな。用心はするだろう」と、エルンスト。
「不意打ちを食らって、一方的にやられるということはないんじゃないか」と、マティアスが続いた。
「しかし、それでもミカリは相打ちに持ち込めるか?」と、アルフォンソが言う。アルフォンソは、ミカリの能力には終始、懐疑的であった。
「それでも、ミカリにはやってもらわなければ困る。グラシアーノを止めること、それがミカリの最大の役目だからな」と、マクシミリアンは言った。
アルフォンソがため息混じりに呟いた。
「グラシアーノ相手に、相打ちか・・・。随分厳しいな」




