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〈20〉己をみつめるミカリ

ミカリはキュートピアで一人、翼のないものとして存在していた。それは見せしめといってもいいだろう。そんなミカリを、キュートピアのキューピッドたちは、『掟破りのミカリ』『翼のないキューピッド』と陰口を叩いていた。しかし、ミカリはなんと呼ばれようと別に動じることはなかった。それよりもこの天界にあるキュートピアから自分が付いた人間、七尾さやかがどういう人生を辿るのか、ただただ見守ることしか出来ないことの方がよっぽど辛かった。ミカリは人間界の七尾さやかを見るたびに思った。

〈自分の選択は間違っていたのか?確かにネヘルスコール裁判長のいう通り、七尾さやかに鉛の矢を撃つのではなく、例え人間性に問題があったとしても泉堂海斗に金の矢を撃っていれば、また違った未来もあったのではないか?でも、確かに闇は見えた。しかし、その闇の正体が泉堂海斗と決まったわけじゃない。そこまではわからなかった・・・。僕は、ただ、初うちのキューピッドが陥りやすいといわれる人への恋愛感情に落ちてしまっただけなのではないだろうか?はじめから僕にはロビアン先生が期待するような能力なんてなかったんじゃないだろうか?〉

ミカリは自分の能力を疑った。そして思った。

〈僕はただ、人に恋して、分別がつかなくなったマヌケなキューピッドだったんじゃないのか?〉

ミカリはそう思うと突然可笑しくなった。そして、虚しく笑った。

愛は盲目である。それは人もキューピッドも同じ。ミカリは七尾さやかを愛するが故に視野が狭くなり、思うように力が発揮できなかった。そのことに気がつくには、ミカリはあまりに若すぎた。しかし、ミカリが、いやキュートピアが、やがてミカリの底知れぬ能力を思い知るときが来るのは、そう先のことではなかった。


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