〈18〉失望
マクシミリアンを中心にロマン派の中心人物のアルフォンソ、エルンスト、マティアスの三人が、密かに集まっていた。そして、ミカリのことについて論じていた。
マティアスが口火を切って言い出した。
「我々はミカリに期待しすぎていたのかも知れない」
するとアルフォンソがミカリを突き放すように言った。
「いや、そもそも何の実績もないミカリに期待する方がおかしかったのだ」
エルンストはミカリを擁護するかのように、
「でも、あのロビアンがミカリの素質に惚れ込んでいたのだから、高い能力を秘めていたことは間違いない」
その発言にアルフォンソが噛みついた。
「秘めていたでは話にならん。しっかり表に出してもらわないと。能力があるのかどうか全くわからんではないか。それにどうだ?初うちで。結局、墓穴を掘っただけじゃないのか?ミカリの素質とやらも疑わしいものだな」
マティアスが口を挟んだ。
「しかし、私の情報では、この件に関して、グラシアーノが一役買っていたらしい」
エルンストが驚いた声を出して、
「あのグラシアーノか?」
「ああ」とマティアスは答えた。
エルンストは驚いたまま言った。
「初うちのキューピッドに、わざわざグラシアーノをぶつけてくるのか?それはちょっと大袈裟すぎないか?」
マティアスは答えた。
「それだけ、現実派もミカリを警戒していたということかも知れん」
アルフォンソが言った。
「それにしてもだ。例え、グラシアーノがいたとしても、高い能力を秘めているなら、それなりに対応して欲しかったものだな」
エルンストが咄嗟に反論した。
「無茶を言うな。ならお前はグラシアーノに勝てるのか?」
アルフォンソは何も言えず、そのまま沈黙した。それを見て、マティアスが言った。
「アルフォンソだけじゃない。グラシアーノに目をつけられたら、ただでは済まん。いや、済まないどころか潰されるのがおちだ」
三人の論争を静観して聞いていたマクシミリアンが、話し始めた。
「しかし、あのグラシアーノの妨害があったとしても、ミカリには越えて欲しかった。そうしなければ、我々は決して現実派の圧力から脱することは出来ない。それはキュートピアを古き良き時代に戻すという我々の大義を成すことが出来なくなる。グラシアーノの壁を越えなければロマン派の再興などあり得ない」
それを聞き終えると一同、沈黙した。




