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森崎夢叶の18きっぷ  作者: おじぃ
組立

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全く潔白ではなかった

 僕らは全くもって潔白ではなかった。


 ふーう、ふーう……。


 両者仰向けになり、鏡に映る姿に命が滾ってまた繰り返し、そうして何時間経っただろう。乱れたままの呼吸は未だ整わない。


 先に口を開いたのは、美奈さんだった。


「やるじゃん猫島くん」


 身をよじり、僕のほうを向いて微笑んでいる。


「不全だったので、自分でも驚きました。乱暴にしてしまってすみません」


「乱暴なのに、ちゃんと心を通わせてくれたね、ふふ」


「美奈さんも凄かったです」


「ふたりの相乗効果で猫島くんの機能不全を治しちゃったか」


 過去、そのような関係を持った女性は何名かいた。しかし20代半ばころになるといざというときに何も起きなくて、最後までは至らなかった。


 内心に引っかかる大きなモヤを抱えながら、僕らは笑った。美奈さんもそう、だと信じたい。


「あの、僕、責任は取りますので……」


「あー、はは……そうだね、もしもがあったらね……」


「それで、いいんですか?」


「え? うん、何もなければそれでヨシ。次からはちゃんとね」


 こういうことは、これまでもあった。僕のいままでがすべてこうだった。恋人関係ではない相手と、健康のために。だが、蓋をしなかったのは初めてだった。


「次もあるんですか?」


「夢叶と付き合うまでだよ? それまでは健康のお手伝いをしてあげる。私に彼氏ができなければね」


 貞操観念はしっかりしてるんだ。


「でも、もし森崎さんと付き合えたとして、あんなふうにしてしまったら……」


 彼女の尊厳を、自我を、僕は損壊させてしまうだろう。


「ああ、それ? それはね、心配ないよ、きっと。夢叶はそういう願望強いと思う」


 ごくり、胸が詰まって、唾を嚥下する。


「女の人って、やっぱり恐いですね」


 いちばん恐いのは、ここに入るまでそんな素振りを一切見せず、あっさり僕を取り込んだ美奈さんだ。


「そうだよーお、女は恐いよ〜、こわいこわ〜い。ひひひっ」


 彼女は無邪気に、僕に笑ってみせた。

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