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森崎夢叶の18きっぷ  作者: おじぃ
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猫島創の邂逅

 春うららかに、桜舞い散る横浜、みなとみらい。かつて線路だったこの並木道には、現在もレールが残っている。周囲にはパシフィコ横浜、横浜ランドマークタワーなどのビルが聳え、目の前の入り江には屋形船が停泊している。


 平日なのに若者も多く騒がしい中で、僕は独り、桜木町駅方面へ歩いていると、


「あ、猫島くんじゃん!」


 人混みの中に青山さんの姿。擦れ違いざまに声をかけられるまで気付かなかった。黄色いアウターシャツ、白いインナー、ベージュのチノパン。


「やっほー! きょうは取材かな?」


「はい、こんなところで会うなんて」


「ひひひ、そうだね、私、スカトカ担当だし、ハマ線沿線民だし、みなとみらいではなかなか会わないよね」


 ハマ線が横浜線なのはわかる。


「スカとか?」


 だがこれは謎だ。地元民は横須賀線をスカ線と呼ぶが、つまり横須賀線とかの担当だろうか。


「あーごめんごめん、横須賀線と東海道線の略ね。私の担当線区」


「なるほど、東海道線はどこまで乗務するんですか?」


 東海道線は東京から兵庫県の神戸こうべを結ぶ長距離路線。さすがに神戸までは乗らないだろう。


「普通列車だと沼津ぬまづまで、貨物列車だと静岡しずおかの貨物駅まで運転するよ」


「貨物列車も乗るんですね」


「そうなのよー、貨物は運転難しいのよー。荷崩れしないように慎重に、だけどスピードも出さなきゃ普通列車に追いつかれる、熱海から西は厳しい支社の管轄になるからダイヤがタイトだしね」


 そういえば、同じ日本総合鉄道でも名古屋方面へ向かう東海道新幹線は駅員さんの挙動がキビキビしている気がする。逆方面の東北新幹線はアナウンスがハキハキしている印象。支社によって力の入れどころが違うのだろうか。


「大変なんですね。僕にはとても勤まりそうにない」


「そうそう、ストレス溜まるし大変大変。私もギリギリやれてる感じ。そんなときはこうして遊ぶのさ」


「きょうは、御城さんはいっしょじゃないんですか?」


「舞も仕事だよー。あれれ? もしかして舞に会いたかった?」


 イジワルな眼差しで、青山さんは僕を挑発してくる。


「あ、いえ、そういうわけでは……」


「そっか、舞には会いたくないか……へーえ」


「あ、いえ、そういう意味ではなくっ」


「へへへ、冗談冗談。猫島くんはこれから予定あるの?」


「いえ、きょうは当てもなく街歩きするだけのつもりです」


「よーし、じゃあいっしょに遊ぼう!」


「え……」


 遊ぶつもりで来たわけじゃないんだけど。あくまでも取材目的で、みなとみらいや伊勢佐木町いせさきちょうなどをてきとうにぶらぶらと。


「イヤ?」


 上目遣いで僕を見つめる青山さん。


「創作の参考になるところを歩かせてくれるなら……」


「任せろ湘南ボーイ! 私が色んなところ教えてあげる!」

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