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森崎夢叶の18きっぷ  作者: おじぃ
組立

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シンガーソングライターになりたいんです!

 涼子ちゃんもランチはまだというので、街を歩きながら店を探すことにした。


 春夏秋冬、緑が照らす高砂たかすな通り。アスファルトに敷き詰められた白と水色の砂利が、歩道もない狭い道路をコーストポップに彩っている。海岸のサイクリングロードも同じ仕様だから、恐らくその認識で合っていると思う。


「夢叶さんは、図書館で何してたんですか?」


 前後に並んで歩くわたしたちを、水色のコミュニティバスがゆるり追い越してゆく。


「図書館は自販機の飲み物を買いにきただけだけど、高砂緑地のベンチで執筆を……しようと思ってた」


 ははははーと苦笑する涼子ちゃん。


「涼子ちゃんは? お勉強?」


「はい! そのつもりだったんですけど、混んでたのでそのまま出てきちゃきました」


 待機児童2年連続ゼロの茅ヶ崎市は、学生も安定して多い。図書館で席を確保できなかったり、混んでいて落ち着かないのもザラである。そのようなところに飛び込む勇気など、このわたしにはありませんでして。


「お互い思うようには行きませんな」


「人生思うようには進まないのかもしれませんね!」


「それをひしひしと感じながら努力不足を拗らせつつ歳を重ね、苦労しているのがわたしです」


「あー、社会人の言うこと刺さるー。夢叶さんは会社勤めしながら小説書いてるんですか?」


「えぇ、それはもう大変でして、体力的にも精神的にも」


「ああー、それなのにちゃんと連載は続けてますもんね」


「我ながらよくやってると思う。涼子ちゃんは将来やりたいことあるの?」


「私? 私ですか? ふふふふふー」


「えー、なになに、勿体ぶってないで教えてよ」


 とことこ歩いていると、松並木が途絶え、空が開けた。その先には茅ヶ崎公園野球場の白いスタジアムがずんと構えている。


 この球場では過去に3回、地元ゆかりのサザンオールスターズがライブを開催している。


「私、シンガーソングライターになりたいんです!」

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