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森崎夢叶の18きっぷ  作者: おじぃ
組立

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高砂緑地と松風美波

 創作にはある程度の運動が必要ということで、自宅から20分ほど歩いて高砂緑地《たかすなりょくち》を訪れた。常緑樹の松が生い茂り、隣には美術館と図書館がある。茅ケ崎駅からは徒歩5分ほど。


「ふひ〜」


 歩き疲れてもうクタクタ。江ノ島ではこうはならなかったのに、目的地を決めて歩くと妙に疲れるのはなぜだろう。


 緑に囲まれたベンチに座ったわたしはワイヤレスイヤホンを装着し、スマホを横向きにして自然とは程遠いVTuberの歌唱動画を視聴中。


 初めて聴いたVTuberの、ハスキーな歌声。


 彼女の名は『松風《まつかぜ》美波《みなみ》』。松風という苗字からこの場で視聴を決めた。チャンネル登録者数は約18万人。カバー曲もオリジナル曲も歌う上級者のようだ。


 だけどこの声、どこかで聞いたような……。


 聴き終わり、イヤホンとスマホをポシェットにしまって歩き出す。


 目の前には日本庭園に足を踏み入れた。紅白の梅が咲き、幅5メートル、長さ10メートルほどの池には数匹の錦鯉が泳いでいる。


 ほとりにしゃがみ込み、錦鯉を目で追う。よく見ると小魚の群れもいる。ミシシッピアカミミガメも泳いでいる。どれもこれも自然ではない気がするけれど、なんだかのほほんとしていて癒される。

 

 喉が渇いたので緑地を出て、隣の図書館へ。建物前の駐輪場上には藤棚になっていて、時季が訪れると青紫に彩られる……のだろうか。出入口へ向かって左側の自販機コーナーでペットボトルのストレートティーを買って、自販機前のベンチに座ってそれを一口含んだ。


 午後の紅茶とは、よく言ったものよの。


 ただいま12時半。そろそろランチにしようと立ち上がると


「あ、夢叶さん!」


 肩甲骨あたりまで伸びた黒髪の女子高校生が図書館から出てきて、わたしを見つけ手を振っている。


「涼子ちゃん!」

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