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森崎夢叶の18きっぷ  作者: おじぃ
組立

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帰ったら執筆だぁ~

 なんか変なのと遭ってしまったけれど、特急に乗って無事エスケープ。大船から茅ケ崎まではたったの十数分、しかもその間は各駅に停車だが、混雑した普通列車に乗るくらいなら窓側、通路側とも空席がある特急に乗ったほうが楽と考えて予約したが、こんなかたちで功を奏すとは。


 全車指定席ではあるものの、車掌の車内精算で割増料金を払えば特急券を持たず乗車しても良いが、さすがにわたしを知る車掌(美奈ちゃん)の監視下で付きまとい目的の乗車は避けたのだろう。


 ビクビクしながら美奈ちゃんにお金を渡すアイツの情けないツラを拝んでみたかった気もするけれど。


 鉄道ファンの行き過ぎた行為は時折世間を騒がせるが、発覚し、それが犯罪なら逮捕される。


 アイツ、鉄オタだったのか……。


 特急の割にはのんびり80キロくらいで夜の東海道を駆け抜け、定刻通り茅ケ崎に到着。


 ほかの旅客に続き、乗務員室前のドアから最後に降車。ホームの支柱に取り付けられた発車メロディーのスイッチを押す、凛々しい制服姿の美奈ちゃん。聴き慣れた『希望の轍』が流れている。


「夢叶またねー!」


 美奈ちゃんはワンコーラスでメロディーを切り、わたしに声をかけながら乗務員室に乗り込んで乗務員室扉をガチャンと閉め、窓から顔を出しホーム上の出発反応標識レピーターとモニターを指差しさ確認しながら閉扉操作をした。前者は通常の信号機が見えにくい位置から赤以外か赤信号かが現示されているかを確認するためのものである。点灯している場合は赤以外の『進行を指示する信号』が現示されている。


「またね〜おつかれさま〜」


 駅の自動放送に続いて車両からも『ドアが閉まります』と音声が流れて閉扉し、特急列車は発車。


 わたしと美奈ちゃんは互いに手を振り合って別れた。わたしも念のため、列車や架線に以上がないか指差確認しながらカーブの向こうへ消えてゆく列車を見送った。


「ふひ〜」


 帰ったら執筆だぁ〜。


 自動放送が流れる人気ひとけのないホームに、腑抜けた声が霧散していった。

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