ワンナイトカーニバル
わたしは酔っている。その自覚がある。
故にその先への期待は高まっていた。
しかしオイルサーデンを注文した時点で、今夜その可能性がないのも理解した。猫島くんはニンニク料理を食べてからワンナイトカーニバルするような男性ではない。奥手だからかわたしに興味がないのかは判然としない。
でも、互いに良い関係だとは思う。
星空の下を歩いて帰りたかったけれど、夜道は危険だからとタクシーで帰宅。二人同乗して、わたしの家の前で下車。猫島くんはそこから徒歩数分の賃貸マンションに住んでいる。運賃は折半した。
鉄砲道のコンビニ正面で、わたしたちはタクシーを降り、住宅街の細い裏道を辿った。森崎家の前にはすぐ着いた。
「じゃあ、またね。気を付けて帰ってね」
「うん。家すぐそこだけど、油断はできないね。数百メートルでもタクシー続けて乗れば良かった」
心なしか名残惜しそうな猫島くんの背を見送り、ふと空を仰ぐ。オリオン座が南西に瞬いている。
照明の落ちた家に入る。母はもう就寝しているだろう。
洗面所で手洗いうがいをして一旦自室に戻り、着替えを持って再び洗面所へ。
また、すぐ会いたい。
そう、言えば良かった。
喉から出かかった言葉を呑み込んだ。
シャワーを浴びても、後悔は洗い流せなかった。




