それが恋だとしたら
夢叶、猫島くんとバイバイして、私と舞は横浜駅地下街のマックに立ち寄り2次会を開いていた。
お嬢様育ちの舞だけど、ファストフード店や大衆酒場など、庶民的な店も好き。夜遅くまで営業しているのもあり、自然な流れでマックになった。
2人掛けのテーブル席で向き合いながら、アイスコーヒーのお供にナゲットとフライドポテトをつまむ。10ピースとLサイズのセットで、ソースはバーベキューとマスタードを一つずつ。私がまだ食べ足りないからこの量なのである。
舞は社外の男子、しかもタイプの可愛い年下の男の子との接触に、別れて1時間近く経っても未だ恍惚としている。
「手、出すつもり?」
電車内では敢えてしなかった質問。藤沢から横浜までの20分はロングシートの3、4番目に隣り合って座り、しかし会話はほぼしなかった。車内での会話は迷惑行為に当たる認識を利用した。
「さあ、どうかな」
庶民が集う賑やかな店内で、ささやくような声は響かない。
舞はそのまま、ガムシロップとミルクを溶かしてストローで吸い上げた。
「ほぼほぼ夢叶と両想いだよ」
両者穏やかで、大事なところは直視する。夢叶と猫島くんはピッタリの組み合わせだと、私は思う。
舞のそれが恋だとしたら、叶う筈がない。
しかし一夜を過ごしたいだけなら、可能性はある。
「だからいいんだよ。夢叶ちゃんが好きになるなら、ちゃんと現実を見てる子でしょ?」
それは、舞の過去に端を発する。




