ほろ酔いの甘美
全員ビールをみるみる飲み干し、2杯目へ移行。僕は普段あまり酒が進まないほうだが、疲れているときのビールはうまい。歩き回って血行が良くなっているためか、もうかなり酔っている。
僕はサワーのなかに投入された梅干しをマドラーで潰し撹拌させながら飲む梅干しサワー、青山さんはウイスキーロック、御城さんは梅酒ロック、森崎さんはカルピスサワーを注文し、間もなく配膳された。
青山さんはグビッ、グビッと一口が多く、御城さんは華奢で長い指を微かに反らし、艷やかな爪を魅せる所作でロックグラスをゆらゆら回しながら酒を口に運んでいる。
無意識のうち、僕は右人差し指の爪を下唇に当て、彼女の所作に見惚れていた。
そのままぼんやりしていると、僕の視線に気付いた彼女が微小に口の端を緩めた。ほか二人の視線は酒に落ちている。
酸っぱいサワーが、胸を焦がしてゆく。
そのとき、カルピスサワーを口に運ぶ森崎さんの右肘がさらり、僕の左腕を撫でた。
それを見た青山さんがグラスに口を付けたまま、ニヒルに微笑む。
御城さんは助兵衛な視線を遣った僕を赦しただけか、あわよくばの意図があるか。それは一晩か、可能な限り永くか。
森崎さんの腕が当たったのは偶然か、必然か。
青山さんも森崎さんも、見ていないフリをして見ているのか。
アルコールに侵された脳でまどろみながら想いに耽る。




