いざ、出版社へ
東京駅でガラガラの中央線快速に乗り換え、御茶ノ水駅で座席の前は全て立ち客で埋まるほど混雑した中央線各駅停車に乗り換えた。奇遇にも、先日わたしが車輪を削正した車両だった。
下車駅は飯田橋。出版社は飯田橋駅から徒歩3分。約束の時間まで約2時間。時間調整のため九段下まで10分ほど歩きマックに寄った。
ベーコンレタスバーガー、ポテト、ドリンクのセット。ドリンクはコカ・コーラゼロ。注文カウンターは混雑していたので、店員さんの手間を考慮して普段は使わない座席からのモバイルオーダーを利用。
配膳まで20分、ファストフードとはなんぞやと思いつつも混雑しているので仕方ない、余裕を持って来て良かったと受け入れて咀嚼と飲用。ここで50分滞在した。
それでもまだ待ち合わせ時間まで1時間ほどある。時間ピッタリの到着は日本国に於いて非常識であるため少し早く行くつもりだが、歩幅は控えめに歩いてゆこう。
アップダウンの坂が続く幅の広い歩道に広がって歩く者ども。せっかくの機能性が台無し。
周囲の景観は落ち着いたオフィス街や私立学校と落ち着いた雰囲気を放っているが、行き交う人々のマナーが茅ヶ崎と比較して大変宜しくない。他所者により街が穢されているように感じる。
大樹が覆う通りを左へ。これまた坂である。駅方面から逸れたからか、山手線の内側なのに人通りまばら。
一見すると閑静な高級住宅地で、お洒落な隠れ家カフェのような店舗も見受けられるが、こんなところに出版社があるのだろうか。
あった。
目の前に突如現れたのは小さな宮殿のような小ぢんまりとした建物にライトノベルのキャラクターがプリントされた垂れ幕。ウェブ小説サイトのポスターも掲示されている。建物そのものもだが、周囲の景観も加味してなんてミスマッチだろう。
とはいえ時代とともに文化は変わる。我々が描く萌え作品も格式高い文化へと昇華しつつある。
しかし今回指定された建物はここではないようだ。出版社はいくつかのビルを保有していて、この慎ましく聳える宮殿はその一つ。
簡単な迷路のような路地を進むと、また上り勾配が現れた。高級住宅街から一転、今度はガラス張りのビル群だ。コンビニやカフェチェーンといったメジャーな商業施設が目立つ。
その向かって左側、ガラス張りの高層ビル。
こ、ここかぁ……。
思わず、狭い空と無数に敷き詰められたガラスの塔を仰いだ。




