VTuberを始めた理由
3人が帰って、私ひとりの配信部屋。
乗務してカラオケでオールナイトして、さすがに今夜は疲れたから配信はしない。適当なタイミングで寝る。
私がVTuberになったのは、約5年前、29歳のころ。
当時の私も現在と変わらず、自宅と職場の往復を繰り返す単調な日常を送っていた。
鉄道の仕事は機械的で評価もされにくい。人事評価制度はあるものの、所謂仕事ができる人、できない人とも同一の評価をされやすい。
理由としては評価を担当する上司の資質や方針、運転業務だと丁寧で無駄のない運転をして当たり前。でもブレーキのかけ方が荒い、遅延しているのに速度を上げない等の下手な運転をしても評価は下がらない。
なぜなら上司がそれを現認していないし、現場を視るのは面倒で現認したくないから。
そうでない上司もいるかもしれないが、私はいまのところそれには当たっていない。
単調な仕事、いくら丁寧で経済的な仕事をしても評価は変わらない、事故を未然に防ぐのは当たり前、もし事故を起こしたら乗務停止か左遷。
上司に異議申し立てをしようものなら怒声を浴びせて共産主義を押し付ける。
以前、日本総合鉄道には地域分社化の話があったが、もしそうなっていたらどうだっただろうか。きっと資本主義体質と共産主義体質に分かれていたと思う。
たらればはさておき、そんな日々に辟易とした私の心は、私自身がしたことを評価してもらえる場を欲した。
私はギターをはじめ音楽が得意だから、それにまつわる活動をしてみよう。
だけど会社員という立場上、顔出しはしたくない。
そこで思い至ったのが、キャラクターのアバターに声を当てて活動するバーチャルユーチューバー、VTuberだった。
まずはキャラクターをデザインするところから始めた。絵心はまあまああるほうだから、それは幸いだった。舞ちゃんがイラストレーターだと当時から知っていたら依頼していたと思う。
紙に鉛筆でキャラクターを描き、色鉛筆で色付けをして、スキャナーで読み込む。それをCG化して仕上げる。
大雑把にいえばこんな感じだけど、勤務がある中で納得いくデザインに仕上げるまで1ヶ月くらいかかった。
それから機材を買い揃え、歌ってみた動画や雑談から活動を始めたものの、個人VTuberが認知してもらうのは簡単ではなかった。
評価など100点満点で1点にも満たないのになぜだろう、会社の50点よりしっくりくる。
そもそも最初から人気を得られるなんて思っていなかった。同接、つまりリスナーゼロはさすがに凹んだけれど、仕方ない。
地道に活動を続けよう。
とはいえこのまま人気を得られないのは癪である。
さて、どうしたものか。私という存在を知ってもらい、私という人間が実力をつけて発揮してゆくには、どうすれば良いか。
とにかくそれを考えた。




