アバターに声を当ててみよう
森崎夢叶、オタク。いま、生のVTuberを見ている……!
34歳のVTuberというと年齢が……という気もするけれど、美奈ちゃんの見た目は20代だから違和感はない。現在20代以下のVTuberもそのうち30代になるだろうから先駆者だと思っておけば良い。
大手事務所にも30代以上のVTuberはいるという噂なので、細かいことは気にしない。
手を振ったり頭を動かしたり、美奈ちゃんの動きに合わせて松風美波のアバターが動く。表情も読み取っている。頬のチークは手動のようだ。
「VTuberになれば、わたしも2次元の住人に……」
「夢叶、残念だけどVTuberは2次元の皮を被ってるだけだよ」
美奈ちゃんが言うと、松風美波のアバターにリアルタイムで声が吹き込まれる。
「松風美波のアバターで言わないで!」
「こんな風に、オッサンボイスもできるし、こんな風にロリボイスもできるよ」
ボイスチェンジ機能を用いて、と思いきや美奈ちゃんの生声!
「美奈ちゃんすごい! 声優さんみたい!」
「いや、夢叶に言われても嫌味にしか聞こえないよ。ほれ、この女騎士に声当ててみ?」
美奈ちゃんがフォルダーから呼び出したのは異世界ものに出てきそうな金髪ポニーテールの女騎士。
「問おう、お前が私の……」
「あーちょいとストップ! オリジナルの台詞で」
「ごめんごめん、女騎士といえばの台詞だと思って」
「夢叶ちゃんの声幅、本当に広いよね」
関心する舞ちゃんと、ポーカーフェイスの猫島くん。
「えへへーそうかなぁ」
いつもの腑抜け声を女騎士に当ててしまった。




