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森崎夢叶の18きっぷ  作者: おじぃ
組立

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VTuberのお宅訪問

 グレーの窯業ようぎょう系サイディングの外壁、築20年未満と思われる賃貸住宅。


 重厚なサッシのドアの向こうは、カーテンを閉め切った暗い部屋の中には柑橘系アロマの香りが漂っている。


 他人の家に上がったとき「何かイヤな臭いだな」と感じることがよくあるが、それはなかった。複数人で暮らしていれば言い逃れができなくもないが、一人暮らしでそれは通用しない。


 僕も気をつけなければ。



「おじゃましまーす」


 森崎さんが恐る恐る言った。僕と舞さんも続いた。


「はいよー。ちょいと散らかってるけど、まあそこはなんというか、勘弁して」


 暗くて先がよく見えないが、狭い廊下、白い壁、フローリング。よくある一般的な住宅。


 左に浴室、右に何らかの部屋、奥へ進むとダイニングキッチン。外は晴れているのに、家の中はどこも真っ暗だ。


「ごめんごめん、真っ暗だね、カーテン開けよう」


 数歩、窓辺へ向かった美奈さんが厚手のベージュのカーテンを開けると一気に光が差し込んできた。


 これといって特徴のないリビング、黒い縁の32インチテレビ。ダイニングキッチンといえばテーブルと椅子が付きものだがそれはなく、キッチンから3メートルほど離れたリビングの中央に質素なベージュの絨毯と1メートル四方ほどのガラス張りの座卓がある。


「ごめんねー、うち誰も来ないから座布団もないや」


「ううん、突然押しかけちゃってごめんね」


「舞ちゃんも初めてなの?」


 謝る舞さんに森崎さんが訊ねた。


「うん、近所っていっても1駅離れてるし」


 僕らは一先ずコンビニで買ったおにぎりやサンドイッチを食べ、VTuberの部屋が気になりつつもオールナイトで疲れたので仮眠を取る前に順番にシャワーを浴びさせてもらうことになった。

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