メンチとコロッケと作詞と飲み会
メンチは無事に入手できた。ワカメの微塵切りが練り込まれたサザンコロッケも。
耐油性の紙袋を抱えながら幼馴染の味と食感に別れを惜しむ。あきらめずに並んだからこそ得られたメンチとコロッケ、これが最後か。
さっそく店の隣にある粘土質の空きスペースで立ち食いする。同級生の店だからこそできるやつ。
外はサクッ、中はジュワジュワ、大きく5ミリ角くらいに微塵切りされたタマネギ。サザンコロッケはコリコリしたワカメの食感。
「そういえばさ、まみ子ちゃんのクラスの卒業生にバンドやってる子いなかったっけ」
「ああ、沙希か。茅ヶ崎ハッピーデイズってバンドやってる」
茅ヶ崎は芸能関係の道に進む人も多い。わたしたちの1学年上には国民的俳優になった子もいる。元生徒が芸能人というのはあまり珍しい話ではない。
「いるじゃん、立派な生徒」
「ああ、うん、まあ、そうだな……」
言い淀むまみ子ちゃん。何か訳ありか、ギャンブル依存症の遅刻魔で減給されまくりだから相当見下されているのか。もしくは制度に問題があるのか、そのどちらもか。
プロダクションやテレビ局などエンタメ界隈の関係者が多く住む茅ヶ崎では、芸能人本人が地元ゆかりかは無関係に裏話がどこからともなく聞こえてきたりする。
メンチとコロッケを食べ終えたら即刻解散。次は飲み会だなんだとだらだら続かないので執筆をしている者としてはとても助かる。
帰宅して自室に籠りPCを開くも特に捗りはせず、それでも意地で粘って作詞をする。脳内でメロディーを思い浮かべ、言葉のピースをテグスに紡いでビーズ細工にしてゆく。
「ふひ〜」
反り返って絨毯に両手を着く。
時間もお金も消費するので飲み会に頻繁に行くのは憚られる。しかしそれは、質による。
ということで舞ちゃん、美奈ちゃん、猫島くんと連絡を取り、お付き合いのほどをお願いした。




