2冊目 (自称)吸血鬼、登場
やっとヒーローとヒロインが出ました。
作者には勉強する気なんてものはありません←
「人間、オイ、聞いているのか」
「これは夢これは夢全て|夢幻想幻聴妄想空想空耳幻覚幻」
「聞けと云っているのが分からないのか人間!!」
今私の目の前でキーっとばかりに怒り心頭になっているのは、私の部屋に何故か居た、手乗りサイズの人(?)だ。
この部屋の主は私だというのに、何だか振るまいが私よりも偉そうだ。
男にしてはやや長めの銀髪に、吊り上がった三白眼はワインドレッド。口の端にはひょっこりと、牙が見えている。しかも黒くてフワフワしているけどなんかまがまがしい大きな翼。
ファッションとしては危ない系だ。首や腕に首輪やチェーンはジャラジャラ付いていて、黒くて大きな外套がついている。キンキン喚き立てるのは耳に心地良いはずのアルト。
これは一体なんだ?!
取り敢えず、下手に出る事にした。うん、きっとこれ、幻覚だから。
大丈夫、もし現実だったら精神病院行けばいいだけだから。
落ち着け、きっと精神病院の看護婦さんは綺麗で優しいぞ(あれ、もう混乱してる気がする)!!
「・・・・あのーどちら様ですか・・・?」
「僕は 外空からやって来た、コルメティスカ・ロザ・メイス。身分は伯爵だ。
お前は光の賢人だろう?魂を見れば分かる。お前は此処にいてはいけない。僕と一緒に外空へ来るんだ」
云っている意味が全く分からない。理解不能だ。
ガイクウってなんだ。
何処の都市の名前だ。少なくともこの近辺にはそんな街無い。
ヒカリノケンニンってなんだ。
そんなパッと漢字表記の出来ない様な役職に就いた記憶なんかない。
それでどうしてなんで私は此処に居ちゃいけないんだ自分の家だぞ?!
頭がプスプスと煙を上げ始めている。不測の事態に脳はショート寸前だ。
そんな私の腕を掴んだ(自称)吸血鬼は鏡を指さして傲慢不遜、と云うか、取り敢えず超偉そうに姿鏡を指さして、
「アレを潜れ」
と云いやがった。
確かにやろうと思えば出来る。私の身長よりも高いし。
それは決して私の身長が低いと云う訳ではなく、180センチ程の大きな鏡だという事だ。
でも、やっぱり抵抗がある(だってこれで鏡に激突したら唯の馬鹿だ)。
それに、私はまだ目の前にいる(自称)吸血鬼を信じる事ができていないのだ。
と云うか、普通に無理だ。どうしても自分の妄想の産物としか思えない(痛すぎる)。
その上この傲慢不遜な態度。私は決して温厚ではないし「石の上にも3年」とか云うアンビリーバボーな事が出来るような人間でもない。寧ろ短気だ。自覚有りだ。
私はムンズと自称吸血鬼の首根っこを掴んだ。
「知らないわよそんな事!大体何このチビッコ!チビどころかミニマム!ミニミニミニミニミニマムのくせに私に命令しよう何て良い度胸じゃない!!なんか偽物っぽいし何、何処に電池が内蔵されてんの?!」
「っ!痛いっ離せ人間!!誰がチビだ!元の姿に戻ったらお前の方がチビだ! 内空がエナの少な過ぎる下等な場所なのがいけないんだろう!!」
「今さっきからナイクウとかガイクウとかクウクウクウクウ意味不明な事ばっかり云ってんじゃないわよ!オレンジジュースでも飲んどけってんのよ!!大体ねぇ、現代日本、イヤ、世界に、吸血鬼なんて『バケモノ』が居る訳無いじゃん!!」
そう声高に叫んだ瞬間、頬を何かが横切って、背後の壁にガッと云う鈍い音がした。
頬は薄く皮が切れて血が流れていて、振り返ると背後の壁には薄い透明な板が突き刺さっていた。出所は、私が叫んだ瞬間、異様なまでの殺気を発した、手の中の自称吸血鬼。
「・・・・・・『バケモノ』だと?下等な人間が付け上がって、何を云う?我ら 空人は高尚で高等な生き物だ。ソレを『バケモノ』?巫山戯るな人間。お前なんか今この場で殺し、生首だけを持って行く事も可能なんだぞ・・・?」
赤い瞳が狂気に揺らめいた。目の奥で何かが激しく燃えている。
翼の黒い毛が1本1本逆立っているのが解った。
(自称)吸血鬼がグッと此方に向けてその小さな掌を向けてきた。何かを掴む様な形でその手は空中に固まっている。
一瞬で、背筋がゾクリと粟だった。
私はその吸血鬼を机の上に勢いよく投げ、素早く部屋から逃げた(「ぐぇ!」とか云う潰れた音なんて聞こえなかった!)。そして素晴らしいまでの勢いでドアを閉めた。
中から何か聞こえるのは、何かの間違いだ。幻聴だ。きっと疲れてるんだ。そう云い聞かせながら、ドアに外から鍵を掛けて、私は額の汗を拭った。
「ふぅー。これで一安心・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だと思ったか、人間」
「うわぅぐむぅ??!」
がんっと壁に押さえつけられて、口を塞がれた。見上げれば170センチオーバーの細身の男。
ただし、外見は中に居るはずの吸血鬼と全く同じ、だ。
「逃がすとでも、思ったか?人間・・・・・。我々を罵倒して、あの程度で済むとでも・・・?」
「(生命の危機生命の危機生命の危機ィィイ!!)ちょ、ドナタサマデスカ・・・・・・!!」
大きくなった事で、威圧感は倍増、だ。1.5割り増しとかそんな甘い物じゃなかった。
私を見詰める(と云うか睨め付ける)ワインドレッドの瞳は怪しく、激しく揺らめいている。
それは私を、何故か懐かしい気持ちにさせた。
一瞬で恐怖を忘れて記憶の海の中へと突き落とされた。
ずっとずっと、ずぅっと昔に、こんな瞳を見た気がする。あぁ、でも違う。彼の瞳は冬の湖面のような、静かで知性を湛えたブルーだ。見る角度で、水の中から太陽を見ているような輝きがあった。
彼って、誰だ。私は、何コレ、あの人を、こんな、忘れ、訳が解ら、な、ど、い、うし、
心の中で勝手に紡がれる言葉と思考がブツ切りにされている私の言葉が混ざり合って、訳が分からない。スパークしていく思考が、淡々としていて、感傷も何も引き起こさない、唯の確認のような、事務的な言葉に塗り潰されていく。あぁ、私はこの声に、言葉に、どうして、痛い程、胸が疼くのだろうか。
「・・・・・・貴方、は、彼、の人じゃ、な・・・の、ね・・・。・・・蒼・・く、な、い・・・もの・・・」
「・・・・お前は、いや、貴方は・・・・?」
私じゃない、誰だ。これは。殻を破ろうとするのは。
何かに何かが、押しつぶされ、そう、で。息が、出来な、い・・・?
「中に居るのなら、手荒なマネはできない」
吸血鬼は静かにそう云った。私は冬の湖面のようなブルーの中に意識を沈めた。
ヒロインの名前未だ考えてな(ry
どっかから使い回します←




