1冊目 昔話をしましょう
主人公である彼女の独白です。割とシリアス?
もう10年以上昔の話だ。その頃、おばあちゃんが脚を悪くして、一時的に私達一家はおばあちゃんの家で暮らしていた。幼い私は、友達と離れ離れになる事よりも、おばあちゃんと一緒に暮らせる事にとても喜んでいた。私のおばあちゃんは昔話を沢山知っていたからだ。
そして私は、そんなおばあちゃんが大好きなおばあちゃんっ子だった。
おばあちゃんのレパートリーは果てしなかった。西洋、東洋、亜細亜に欧羅巴。
色んな昔話の中でも、私が1番好きだったのが、『吸血鬼』の話だ。
陽の光も大蒜も十字架も恐れないし、棺桶でも眠らない、どの本にも載っていない、別世界のファンタジー。私はその話が面白くて、何度も何度もおばあちゃんに話をしてと強請った覚えがある。その御陰で、私はその話を空で云えるまでになった。
その物語の主人公は、普通の人で、流行病が流行っている村の子供でした。
その流行病は不思議な事に、子供にだけは罹りませんでした。
病に罹ると云われている歳は、16歳。
主人公の少女はは15歳で、その日が、16歳の誕生日でした。
病に罹った人達は苦しみながら死んでいきました。そのためそれはとても恐ろしいものでした。
ですが、誰も村から出る事はできませんでした。何故なら村は山で囲まれていたからです。
山には獣が居て、とても病人や子供だけで逃げる事はできません。それに、村には殆ど食べ物がありませんでした。別の村まで歩いて丸4日もかかります。そして山には木の実やキノコなどが1つもありませんでした。なので逃げたとしても、直ぐにお腹が空いて動けなくなってしまうのでした。
子供達はどんどん、大人になっていく事が恐ろしくなっていきました。
苦しんで死んでいく大人達を見て、死ぬ事が怖いものだと思ったからです。
生きていたいと思いながら、生き続ける事を諦めていました。
ですが、主人公の少女は違いました。死ぬ事よりも『今』を生きていこうとしたからです。
大人達も、子供達も、その少女の事を理解出来ませんでした。もうじき死ぬかも知れないのに笑っている彼女を、みんなどんどん嫌いになっていってしまいました。
少女の誕生日の前の日、それは満月が綺麗な夜でした。少女は村はずれの大きな木の下で、1人の綺麗な男の人と出会いました。それ人は吸血鬼でした。
吸血鬼は鋭い歯を持っている事以外、人間と殆ど変わりませんでした。
唯、とても綺麗な顔をしていましたが、それ以外、吸血鬼は可笑しいくらい、吸血鬼らしくありませんでした。
少女は吸血鬼と一晩中楽しく話をしていました。少女はずっと村の中で独りだったので、話し相手が出来て、本当に嬉しかったのです。吸血鬼もにこにこと楽しそうでした。
そうこうしているうちに、夜明けがやってきてしまいました。
少女はぎゅっと目を瞑って死ぬのを待っていました。
ですが、幾ら待っても少女が死ぬ事はありません。
少女が驚きながらも村へ行くと、村からは、大人も子供も消えていました。
病に罹ったのか、それとも別の何かなのかは解りません。唯、1人1人が死んでいました。
痛い痛いと云う声も、泣き声も、全部消えて、村で無事なのは何故か病には罹らなかった少女と吸血鬼だけになっていました。
それから少女と吸血鬼は一緒に旅に出ました。色々な所を巡って、色々な冒険をしました。
少女にとって村の外の事は、全てが新しく、新鮮だったのです。
村の外には沢山の吸血鬼達が居て、人間もいました。
吸血鬼達は人間から恐れられ、吸血鬼達が世界の頂点でした。
それを、吸血鬼は悲しそうに見ていました。
吸血鬼は少女の事を、心から愛していました。
『僕は人間と笑って過ごしたいのに、人間達は僕から離れていってしまう。でも君は違う』
と、何度も何度も、少女何度も云いました。
吸血鬼は、吸血鬼達の王様でした。ですが吸血鬼はそれを嫌っていました。
そして独りで旅に出たんだ。と、彼は彼女に話しました。
『冒険に出たのは、僕が生まれて100年後の事。それから、もう200年になるんだ。びっくりしたかい?』と、吸血鬼は嗤いました。300年以上前から変わらないこの世界を、どう思っているのだろう。と少女は胸を痛めました。しかし、それは彼にしか解りません。
そして、彼はそれでもこの世界が好きでした。
唯、彼は王様で、たくさんの吸血鬼達から必要とされていました。
吸血鬼達には彼が必要で、彼女にも、彼が必要でした。
吸血鬼が彼女を愛しているのと同じ様に、彼女も又、吸血鬼の事を愛していたからです。
そして少女から女性になった主人公は王様である彼に提案をしました。
どちらの願いも叶いますように。と、願いを込めて、こう云いました。
『人間のいる世界と、吸血鬼のいる場所を、分けてしまいましょう。そうすれば詰まらない喧嘩なんて、すぐなくなるわ』
彼も、吸血鬼達も、人間達もその提案を素晴らしいと云い、それは実行に移されました。
ですが―――
少女から女性になった主人公は人間で、彼は吸血鬼で、吸血鬼の王様でした。
2人は離れ離れになってしました。
2人は今でも再会を望んでいます。
千切れてしまった1つの世界。
2つ離れた世界の角で、互いの名前をずっとずっと叫んでいるのです。
永遠に、永遠に。
幼い私は、その結末に何度も涙した。なんて彼女は愚かなんだろうと歯を食いしばっていた。そんな私を見て、祖母は背中をさすりながら、私を慰めてくれた。
「なんだか、悲しいね」
「でもね、2人とも幸せになれたんだよ。吸血鬼の方はまだ生きているかも知れないけどね。もしかしたら、2人とも一緒にいた方が幸せだったかも知れないけど、それでもきっと、幸せだろうよ」
「そうなの、かなぁ?」
「勿論、そうだとも」
おばあちゃんはとても軽やかに笑っていた。
そんなおばあちゃんが亡くなったのは去年の春。苦しみもなく、大往生だった。
小さい頃、私は別の世界の存在を固く信じていた
でも、もう高校生だ。良い加減、空想と現実の違いくらい分かる。
それでも、確かに嫌な事があった日とか、思い通りにならない日とか、無性に苛々した日とか、思った事はある。
『別世界が在ればいいのに』なんて。
でも人間は、そうは思っても平穏が崩れるのを厭がるものなのだ。今までの積み重ねである日常が、非日常的な事で崩れる事を極端に嫌う。現代日本人的思考『事ナカレ主義』の産物である。かくいう私も勿論、事なかれ主義である。
自分が今まで築き上げてきたキャラを突発的事象なんかでぶっ壊された日には、そいつに明日の朝日を拝ませてやるつもりはない。
だから思ったんだ。コレは幻覚なんだって。
16歳の誕生日、学校から家に帰って自分の部屋に行くと、そこには手乗りサイズの吸血鬼が居ました。しかもなんだか傲慢不遜な態度でした。
お願いだから、誰か幻覚だと云って。
云い訳をさせて下さい(ちょっと必死)。
これ、作者が小学生の頃に書いた物をベースにしてるんです。
あまりにも非道かったんです←
表記揺れ、誤字など、多大にあると思います(でも、でも2回も確かめたんです・・・!)
あと作者はテスト期間に入ったので、また、ま た(強調)消えます。すみません。。。




