12話
「では、いきなりで悪いのだがこの書類にサインをしてくれ。」
すでに、用意してあったのかユニは書類を取り出すと縛られたハンイに突き出す。
「書類とかあんのかよ!!本格的だな…悪の組織……っていうか、拘束を外してくれ。そうしないと書く事ができないだろ?」
「それもそうか…すまない…すっかり忘れていたよ。」
「いや、そこは忘れるなよ…」
「ユニは天然だからな。よくあることだ。はっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」
「これは天然のレベルなのか?」
ユニはハンイの拘束具を手馴れた手付きで外してゆく。
しばくするとガチャと音を立ててハンイの手足から外れた。
ハンイは縛られた跡が少し残る手首をさすりながら手術台から起き上がる。
「では、これがその書類だ。きちんと読んでから書きたまえよ?」
「あ、ああ…わかったよ。」
書類を渡されたハンイは律儀に目を通す。根は真面目なのだ。
「えぇーと…えっ!?悪の組織給料でんのかよ!!」
「当たり前だ。働いた分だけ対価を渡すのが社会の常識だろ?」
「悪の組織が社会の常識気にするなよ…しかも…た、高けぇ!!」
「口座番号はそこに書いてくれ?そこに振り込まれるから。もし、振り込まれていなかったらすぐに言え。」
「功績を上げた分だけ金額が上がるし、ボーナスも出る実力主義だからな!!これから頑張るのだ!!!」
「きちんと休みもあるから安心したまえ。有給は一月前から申請してくれ?」
「悪の組織っていうよりホワイト企業だな…」
ハンイは書類に記名し、確認してユニに手渡す。
「うん、きちんと受け取ったよ。」
ユニは受け取った書類を折りたたみ、白衣の懐にしまう。
「はああ………」
急に実感が湧いたハンイはこの世の終りのような顔をして溜息を吐きながら項垂れた。
「ん?どうしたのだ?」
「そんなまるでこれからの人生を諦めて、苦難の道を歩いていくことに絶望した人のような溜息を吐いて……」
「なんだよその具体的な例え…的確にその通りだよ…これで俺も悪の組織の仲間入りか…もう家とか帰れないだろうって思って…ハァ…」
「いや、帰ってもいいよ?」
「……はいっ!?」
「ところで君、今日のそのはいっ!?って何回言った?」
「うるさいよ!!!」




