表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/24

第15話 翌朝のこと

 ちゅんちゅんと小鳥が鳴く声で、ノーチェは目を覚ました。


「……ん、朝……?」


 ほんのちょっと喉が渇いている。眩しさに目を細めていると、ふと、自分のものではない温もりが手にあることに気づいた。驚いた彼女はベッドサイドを覗き込む。


「……え? ……アルバ……?」

「……ん……。ノーチェ、起きたの……?」


 困惑するノーチェをよそに、アルバは目をこすりながら彼女を見た。


「……ノーチェ、大丈夫……?」

「ええと、何、が?」

「昨日……」

「昨日?」


 アルバはノーチェと視線を合わせる。そのアメジストに困惑しか映っていないことを確認したアルバは「……なるほどね」と微笑んだ。


「ごめん、寝ぼけてたみたい」

「……なら……いいんだけど……。どうしてここに?」

「……あー」


 アルバは視線を上に向けたあと、にっこり笑って口を開いた。


「昨日ね、トイレに起きちゃったんだ」

「……トイレに……」

「うん。寝ぼけてたのかな? ここで力尽きちゃったみたい」


 彼はにこにこと笑う。怪訝な表情を浮かべるノーチェに手を振って、「着替えてくるね」と自室へと向かった。





 ノーチェがデイドレスに着替えて食堂に行くと、既にヌーベとブリッサが席についていた。


「おはよう、ノーチェちゃん」

「よく眠れた?」

「おはようございます。えっと、よく眠れました」


 その答えを聞いた二人は顔を見合わせる。ノーチェはさっきから変だな、と首をかしげた。


「……あ、そうだ。クローゼットのドレス、気に入ってくれた?」


 空気を変えるようにブリッサがそう口にする。ノーチェは「どれも素敵でした」と微笑んだ。


「そう、気に入ってくれてよかったわ。でも、せっかくだから好みのものがいいわよね? 今日、買いに行きましょう?」

「ええと、いや……あれで……」


 ノーチェは遠慮するように首を振る。だけどもブリッサは止まらない。


「娘とドレスを選ぶの、夢だったのよ」

「おばさん、ノーチェが困ってるでしょ」


 食堂にやってきたアルバがすぐに助けに入る。ブリッサはアルバを見て笑った。


「でも、かわいい格好をしたノーチェちゃんも見たいでしょ?」

「それはそう。でも、無理しなくていいよ」

「……呪われた姫には……似合わないよ」


 ノーチェがそう呟いた瞬間、三人は一瞬動きを止めた。息を呑む音が聞こえる。だが、彼らはすぐに笑顔を浮かべた。


「ノーチェは呪われてなんかいないよ」

「そうよ。そんなひどいこと言う人たちのことなんて、忘れちゃいなさい」

「ここにはもう、そんなことを言う人なんていないよ」


 三人は優しく微笑む。ノーチェは三人の顔を見て、おそるおそる口を開いた。


「……その、ありがとう……」

「どういたしまして」


 ノーチェはぎこちなく笑う。まだ胸の奥に残る言葉は消えない。けれど、それでもほんの少しだけ、軽くなった気がした。

読んでくださりありがとうございました。評価、いいね、ブックマークをしてくださると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ