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異世界の魔物肉、全部うまい。帰れないアラフォーパパ、冒険者しながら焼肉屋はじめました  作者: きりざく
2章

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第13話−1 はじまりの火 ― 炭と、骨と、隣の煙

◆ 帰路・街道



 ベルネを出る前、四天王と別れた。


 城門の外。クレイが荷台の縁に手をかけて、ヨーヘイを見る。何かを言おうとして、一秒置いた。


クレイ:「……またな」


 それだけだった。振り返らずに歩いていった。


ガド:「また食わせろよ!! 絶対だからな!! ホルモン焼きも、あのタンも、全部!!」


 シアがこちらに一度だけ視線をよこした。何か言おうとしている。口が少し開いた。それから、静かに閉じた。目が少し横にそれる。


ヨーヘイ:(三口食べてた)


 ピナが手を振った。笑顔だった。フィンに向けても振った。


フィン:「キュッ」


ピナ:「またね!! フィンちゃんもまたね!!」


 四人の背中が、ベルネの石畳に遠ざかっていく。ガドの大きな肩が人込みの向こうに消えた。


ベルタ:「あんたたち、面白いね。また頼むよ、絶対に」


ヨーヘイ:「こちらこそ、ありがとうございました」


 馬車が動き出した。石畳から土の街道に変わる瞬間、振動がやわらかくなる。


 荷台でリリアが、自分の手を見ていた。指を少しだけ曲げて、また伸ばす。包丁を握った時の感触を確かめている、そういう動作だった。ヨーヘイは気づいて、何も言わなかった。


 街道が続く。木々の間から午後の光が斜めに落ちて、草の上に長い影を作っていた。


ヨーヘイ:(解析さん。辛根。東縁の斜面、確かですか)


解析の声:「はい。林縁部、湿った土の斜面に反応があります」


ヨーヘイ:(着いたら、すぐ行きます)


解析の声:「……それだけです」


 馬車が揺れる。フィンが荷台の端で丸まって、目を細めていた。


 村の城門が、遠くに見えてきた頃、ヨーヘイは心の中で短く呼んだ。


ヨーヘイ:(蓮。帰ってきた。辛根、取りに行く。次が最後の一手だ)


 城門をくぐった。石畳が、足元に戻ってきた。



◆ ファスト村・再会



 宿に荷物を下ろすと、炊事場から声がかかった。


サーラ(女将):「戻ったかい。顔はついてるね」


ヨーヘイ:「ついてます」


 サーラがリリアを一瞥した。一拍だけ、まっすぐ見た。


サーラ(女将):「……顔が変わったね、あんた。前より少し、ちゃんとしてる」


リリア:「……そうですか?」


 本人にはよく分かっていない。サーラはそれ以上言わない。フィンが炊事場に鼻を突っ込んだ。


サーラ(女将):「食いもんはまだないよ」


フィン:「キューン」


 ギルドに寄った。ミナがカウンターを見ていた。顔を上げた瞬間、業務の目のまま、わずかに和らいだ。


ミナ(受付):「お帰りなさい。護衛依頼、問題なく?」


ヨーヘイ:「おかげさまで」


 掲示板を確認した。東縁方面の薬草採取依頼がある。カゲダケ5束、ゲドクソウ3束。辛根探しと同じエリアで兼ねられる。受注した。



◆ 東縁・辛根探し



 午後の東縁に入った。


 日陰の空気がひんやりしている。林縁部の奥、足元の土が湿り始めた辺りでフィンの動きが変わった。鼻を低く下げて、草の間を縫うように進む。いつもの食いものを探す鼻じゃない。何かを確かめながら歩いている。


 十メートルほど進んだところで、フィンが急に止まった。


 耳が倒れる。鼻を引いた。前足で鼻の頭を二度、擦る。


フィン:「キュウッ!」


 後退した。一歩、二歩。三歩下がってそこで止まる。遠い位置で座って、こちらを見ている。「頑張ってください」とも「止めた方がいい」とも取れる目だ。


解析の声:「反応はありません。辛根の匂いに過反応しています」


リリア:「……大丈夫です。私たちが行きます」


フィン:「キューン」


 リリアがフィンの頭を軽く撫でた。フィンはそのまま動かなかった。


 ヨーヘイが斜面に膝をついて、採取へらを差し込んだ。土が湿っていて、刃が素直に入る。少し掘ると、薄茶色の根茎が顔を出した。人差し指ほどの太さで、ごつごつした表面が土に絡まっている。


 引き抜いた瞬間、来た。


ヨーヘイ:「っ——」


 鼻の奥が一瞬で焼けた。涙じゃない。でも視界が縁から白くなる感じがして、反射で目が細くなった。後ろでリリアが半歩引いた気配がある。


リリア:「……すごい」


解析の声:「辛根です。加熱により辛味が柔らかくなり、香気成分が引き出されます」


 遠くで、フィンが見ていた。鳴かない。ただ座って、じっと見ている。「だから言ったじゃないですか」という顔だった。


 奥歯を噛んで、もう4本掘り出した。鼻が慣れない。5本揃えて収納に入れ、立ち上がった瞬間、フィンが「キュウッ!」と鳴いた。


 今度は別の声色だ。


 右の茂みが揺れた。低い姿勢で草を割りながら、クロアシイタチが2体出てきた。黒い足先が土を蹴る音。距離は十メートル。まだ間がある。


 リリアが槍を構えた。穂先を低く保ったまま動かない。目が右に固定されている。


リリア:「……2体です。右が速い」


 言い終わる前に、右の1体が地面を蹴った。腰を落として跳ぶ前の一拍——その予備動作が見えていた。蒼魔鉄中剣を引いて、《瞬歩》を踏む。3秒が消えて側面が開く。1体の首の後ろが視界に入った。刃を横に流した。そのまま止まる。


 2体目の軌道がリリアに向いた。リリアの穂先が正面に入って、1体の足が一拍乱れる。距離を詰めようとして、詰められない。脚の動きが止まった一瞬に体を滑り込ませた。右手の剣を短く引いて、首の付け根に差し込んだ。


 あたりが静かになった。


 ヨーヘイが一度、深く息を吸った。リリアが穂先を引いて、槍を構えたまま周囲を確認する。フィンが「キュッ」と鳴いた。大丈夫のサインだ。


 素材だけ収納に入れた。解体はしない。今日は辛根が目的だ。


 帰り道、フィンが前を歩いた。今日は一度も先走らなかった。辛根を引き抜いた辺りを、わずかに迂回しながら帰る。その判断だけで、こいつが今日何を学んだかが分かった。


フィン:「キュッ」



◆ 宿・炊事場



 夕方、炊事場を使わせてもらった。


 卓の上に素材を並べる。発酵液の小瓶。刻んだガルニク草。コガネ草油の小壺。ミツノミの袋。アマリュ酒。そして今日掘り出した辛根が5本、並んで横たわっている。


 全部、揃っている。


 ベルネの宿でやったのと同じ動作で、素材を一つずつ確認した。発酵液の色。ガルニク草の香り。コガネ草油の黄みがかった光沢。ミツノミのつやつやした果皮。アマリュ酒の封。全部がこの卓に来るまでに、どれだけの道があったか。


 辛根を手に取った。


 皮ごとすり下ろす。細かい繊維が崩れるたびに、空気が変わった。採取した時の鋭い刺激とは違う。削れた断面から立ち上がるのは、もう少し奥深い匂いだ。爽やかで、なのに喉の奥まで真っ直ぐ届いてくる。リリアが半歩引いて、口を押さえた。


リリア:「……やっぱり、すごい匂いですね」


ヨーヘイ:「慣れません」


フィン:「キューン」


 フィンが入口から顔だけ出して、また引っ込んだ。


ヨーヘイ:「お前は外で待ってろ」


 火を起こして、小鍋を置いた。


 発酵液を底に張る。酸みが立つ。ガルニク草を刻んで落とすと、刺激が重なった。コガネ草油を一筋引く。香ばしさが来た。ミツノミを三粒、指で潰して加えると、甘みが溶け込んでいく。アマリュ酒を入れた瞬間、ジュ、という短い音とともに甘みが弾けて、旨みが熱で凝縮する。ガルニク草の香りを引き連れて匂いが立ち上がる——あの夜の炊事場と同じあの感触が、体の中に戻ってきた。


 そこへ、すり下ろした辛根を加えた。


 鍋の中で何かが変わった。


 甘くて香ばしかった空気が、一瞬で引き締まった。丸みを持って広がっていた匂いに、一本の芯が通るような感触だ。刺激が来る。でも尖らない。ガルニク草の香りよりずっと奥で、ひっそりと構えている。腕まくりをした料理人が後ろに控えているみたいな存在感だ。


ヨーヘイ:「……匂いが、変わった」


 声が出た。独り言だった。


 木べらで少量すくって、舌に乗せた。


 塩気が来た。旨みが後ろから来た。甘みが薄く広がって——その後から、辛みが静かにやってくる。主張しない辛みだ。「俺もいる」と、静かに教えてくる。旨みを両側から引き締めて、口の中で全体を一本にする。飲み込んでも消えない。辛みだけが薄く残って、次の一口が来るまでずっとそこにある。


ヨーヘイ:「……尖ってない」


 鍋を見たまま、もう一度だけ確かめた。塩気、旨み、甘み、丸み——そして辛み。全部が同じ場所に向かっている。素材が重なっているのではなく、一本になっている。


 収納からボルガウのタンを出した。


 薄く、均等に切る。包丁の角度だけで切れる。鉄板を火にかけた。タンの脂が端から溶け始め、透明な液体になって広がっていく。音が弾ける。細かく、小気味よく。脂だけが先に熱くなって、肉の奥はまだ生のままの段階の匂いだ。


 焼き色が乗ってくる。端が締まりはじめている。


 タレを刷毛につけて、肉に置く。


 ジュッ、という音が来た瞬間——煙の色が変わった。


 前回の白い煙じゃない。透明に近い、芯のある煙だ。発酵液の旨みとガルニク草の香りに辛根が混ざって、別の何かに変質している。焼肉屋の換気扇の下に立つと来る、あの匂いに近い。でもそれより鋭く、鼻の奥をまっすぐ抜けていく。タレが鉄板の上で踊って、端が焦げながら照りになって、その煙がまっすぐ天井へ立ち上がる。


 甘みと辛みが同時に焦げる匂い、というものがある。それが今、この炊事場にある。


 鼻の奥で、何かが震えた。匂いだけで、全部分かった。


 一口、食べた。


 噛む。


 タンの弾力が来て、脂が溶けた。タレが入ってくる。塩気が先に来て、旨みが追いかけて、甘みが広がる——そこへ辛みが来た。最後に来る。旨みの後から静かに来て、口の中の全部を一本に締める。飲み込んでも、辛みだけが薄く残る。次の一口が来るまで、その余韻がずっとそこにある。


 消えない。


 ベルネの夜に感じた「丸み」が口の中で解けていった感触とは違う。あれは全部がほどけていく感触だった。今日のは、全部が締まって、締まったまま終わる感触だ。


 喉が、動かなかった。


 息が出た。声より先に、息が出た。


ヨーヘイ:「……できた」


 静かな一言だった。「これだ」より短くて、「これだ」より重かった。


 奥歯を噛んだ。目の奥が少し熱かったが、すぐ引いた。


解析の声:「……業務の範囲内です」


 おかしくて、残っていた熱が全部消えた。


 リリアに皿を差し出した。一口どうぞ、と言いかけて、やめた。リリアの手はもう動いていた。


 一口、食べた。


 目が細くなる。何かを確かめようとしている目だ。咀嚼して、飲み込んで。二口目に手が伸びた。今回は間がなかった。三口目と続いて、途中で一度だけこちらを見た。


リリア:「……前より、締まっています」


 今日は味の変化を言葉にしている。前と違う何かが、ちゃんと分かっている。


 食べ終わったリリアが、自然に包丁へ手を伸ばした。押しつけた動作ではない。気づいたら手が動いていた、という感じだった。


リリア:「……続き、やってもいいですか」


ヨーヘイ:「どうぞ。今日は薄切りの次、繊維を断つ方向を覚えてみましょう」


 残ったタンを前に置いた。リリアが刃を当てた。集中した顔だ。先日より手の固さが少ない。繊維に対して垂直に、ゆっくりと刃を動かす。


 一枚、切れた。リリアが切れた断面を見た。言葉より先に、手を見ていた。


 フィンの前に焼いたタンを一切れ置いた。フィンが恐る恐る近づいて、匂いを確かめてから一口食べた。


フィン:「キュッ」


 目を少し細めた。尾が一度、揺れた。


 サーラが炊事場に顔を出した。薪を確認しに来た、いつもの流れだ。でも視線が鉄板の上に一度だけ落ちた。


ヨーヘイ:「よかったら」


 タンを一切れ、小皿に乗せて差し出した。


 サーラが受け取って、口に入れた。


 何も言わない。咀嚼している。ヨーヘイが息を止めたまま、その横顔を見ている。


 サーラが小皿を返した。


サーラ(女将):「……これは、うちの宿の客にも出せそうだね」


 そのまま帳場に戻った。足音が廊下に遠ざかっていく。


 宿代の話は、出なかった。それがサーラの答えだと分かった。



◆ 夜



 部屋に戻った。


 フィンが耳を立てた。鳴かない。窓の外を、静かに向いている。


解析の声:「……2つの反応があります。村の外縁、南側。動いていません」


 リリアがこちらを見た。目が合った。何も言わない。


フィン:「キュッ」


 丸まった。


 収納からタレの小瓶を取り出した。


 軽い。でも、重かった。発酵液を初めて手にした日。森でガルニク草の匂いに泣いた日。草地でフィンが一直線に走り出した日。今日、東縁の斜面で鼻が焼けた瞬間。全部がこの小さな瓶の中にある。


ヨーヘイ:(蓮。できた。本当に、できた)


ヨーヘイ:(お前が知ってる焼肉屋のタレより、旨い。そっちに戻ったら、必ず食わせる)


 収納に戻した。


ヨーヘイ:「明日、ラルフさんに会いに行く」


 場所の話を、そろそろ始めてもいい頃だ。炊事場のある場所。客が来られる場所。タレが出せる場所。


ヨーヘイ:(解析さん。ベルネのギルドマスター……あの人、俺のカードを見て何かを確認してましたよね)


解析の声:「……」


ヨーヘイ:(業務の範囲外ですか)


解析の声:「……そういうことにしておきます」


ヨーヘイ:(つまり、ある)


 フィンがもう一度「キュッ」と鳴いて、目を閉じる。


 部屋が静かになった。



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【第22話 リザルト&ステータス】

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▼ ヨーヘイのステータス(22話終了時点)

Lv:4 HP:135/135 MP:60/60


スキル熟練度:

・《解析》Lv1 熟練度 82/100(+2)

・《収納》Lv1 熟練度 37/100(+1)

・《採取》Lv1 熟練度 57/100(+3)★辛根採取(新素材)

・《解体》Lv2 熟練度 9/100(±0)

・《料理》Lv2 熟練度 7/100(+7)★完成タレ試作・試食

・《従魔契約》Lv1 熟練度 19/100(+1)

・《瞬歩》Lv1 熟練度 10/100(+1)★クロアシイタチ戦


▼ 本話の収支

・宿代:無料(サーラの厚意)

・22話終了時手持ち:316枚


▼ 収納アイテム(22話終了時)

・蒼魔鉄中剣×1

・短剣×1(予備)

・包丁×1

・採取へら×1

・冒険者証(Fランク)

・ポーション×1

・解毒薬×1

・ガルニク草×残量(収納保管)

・タレ完成品(辛根入り・本完成版):少量(収納保管)★更新

・コガネ草の実:多数(収納保管)

・コガネ草油:少量(収納保管)

・ミツノミ:残量(収納保管)

・アマリュ酒:残量(収納保管)

・辛根:残量(収納保管)★新規

・ボルガウ肉(残):タン・ハラミ・レバー・ハツ・ミノ・シマチョウ(収納保管)

・クロアシイタチ素材(未解体・収納保管)

・リリア所持:木製柄+鉄穂先の槍×1


▼ 本話の出来事

・ベルネ→ファスト村帰還(ベルタの馬車・1.5日行程)

・四天王との解散(クレイ「またな」・ガド「また食わせろ」・シア目が泳ぐ・ピナ笑顔)

・サーラ「顔が変わった」・ミナとの再会

・東縁で辛根発見・確保(フィン過反応→ヨーヘイとリリアも鼻をやられる)

・クロアシイタチ2体討伐(蒼魔鉄中剣+《瞬歩》+リリア槍連携)

・炊事場:辛根投入→「匂いが、変わった」→「……できた」

・リリア:「前より、締まっています」(味の変化を言語化)

・リリア:包丁2回目・繊維方向まで習得

・サーラ:「うちの宿の客にも出せそうだね」→宿代免除(厚意)

・夜:追っ手2名の監視気配(村外縁・南側・動かず)

・蓮への約束:「できた。本当に、できた。必ず食わせる」

・翌日ラルフ訪問を決める(焼肉屋の場所の話へ)

・解析「……そういうことにしておきます」(初めて使った言葉・いつもと違う返し方)


▼ タレ開発状況(22話終了時点)

・確保・使用済み:発酵液・コガネ草油・ガルニク草・ミツノミ・アマリュ酒・辛根(★22話で確保)

・タレ本完成:「焼肉屋で出せる」に到達

・次の課題:発酵辛味ペースト(コチュジャン相当)→23話以降


▼ 新素材

・辛根:東縁・林縁部の日陰の斜面。人差し指ほどの根茎。薄茶色・ごつごつした表面。加熱で辛味が柔らかくなり香気成分が引き出される。異世界では「辛くて食えない」として食用・調味料の認識なし。フィンの食欲センサーは拒否。


▼ ヨーヘイの考察


 解析さん、記録します。


 辛根を取りました。鼻の奥が焼けました。フィンも焼けました。2人と1匹で焼けました。フィンに「だから言ったじゃないですか」という顔をされました。正しかったです。


 クロアシイタチが2体来ました。リリさんが「右が速い」と先に言いました。解析さんより速かったです。《瞬歩》を1回使いました。問題ありませんでした。


 炊事場でタレを完成させました。辛根を加えた瞬間、煙が変わりました。「全部が一本になる」という感触が、今日初めて出ました。「できた」と声に出ました。解析さんが「業務の範囲内です」と言いました。変わっていないです。ありがとうございます。


 リリさんが「前より締まっています」と言いました。今日は繊維の方向も覚えました。あの人は料理を覚えます。


 サーラさんが「うちの宿の客にも出せそうだね」と言いました。宿代の話は出ませんでした。それがサーラさんの答えです。


 夜、2つの反応がありました。動いていません。まだ終わっていないことは分かっています。


 ガロンさんの件、「そういうことにしておきます」は確認しました。覚えておきます。


 明日、ラルフさんに会いに行きます。場所の話を、そろそろ始めます。


 記録、ここまで。


【第13話-1】はじまりの火 ― 炭と、骨と、隣の煙


スペアリブを炭火で焼く回です。


骨付き肉を炭で焼く音と匂いを、できる限り丁寧に書きました。「隣の煙」というタイトルに全部入っています。

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