第11話−3 はじまりの仲間 ― 焼いたら、ついてきた
◆ 火
フィンの方が先に着いた。
岩場の窪みの中央に、ちょこんと座っている。金色の目がこちらを向いていた。尾がゆっくり揺れている。「遅い」と言っている顔だ。
ヨーヘイ:「……お前、走るの禁止って言われてる人間の気持ち分かるか。12メートルに3分かかったぞ」
フィンが耳をぴくりと動かす。分かっていない。
岩場の窪みは、ちょうどいい風避けになっていた。三方を岩に囲まれて、正面だけが開けている。地面は乾いた砂利混じりの土だ。
ヨーヘイ:「ここなら焚き火できるな。よし、やるか」
枯れ枝を集め始めた。右足を庇いながらだから効率は悪い。だが周囲に乾いた枝が散らばっていて、手を伸ばせば届く。
フィンが一本くわえてきた。細い枝だが、ありがたい。
ヨーヘイ:「お前、枝も運べるのか。助かる」
褒められたと思ったのか、フィンの尾が速く揺れた。もう一本くわえに走る。
火打ち石を取り出す。一度、二度。三度目で火花が枯れ草に移った。
炎が広がる。じわじわと枝に火が回り始めて、煙が細く立ち上がる。岩の壁に当たり、ゆるく巻いて空に抜けていく。
ヨーヘイ:「よし。あとは鉄板——がない。当たり前だ、ここサーラの炊事場じゃないし」
周囲を見回す。岩場の端に、平たい石がある。薄くて広い、掌を二つ並べたくらいの大きさだ。
ヨーヘイ:「解析さん。あの石、鉄板代わりに使えますか」
解析の声:「表面が平滑で、厚みもあります。加熱に耐える素材と推定されます。油を馴染ませてから使用すれば、問題ないかと」
ヨーヘイ:「油か。——ヤキボアの脂がある」
石を火の横に据えた。安定している。収納からヤキボアの肉を取り出す。
収納から出した瞬間、匂いが戻ってきた。
甘い。生の肉の匂いではない。脂の甘さだ。バラ肉の表面に乗っている白い脂肪が、外気に触れた途端にほのかに香り始めている。
フィンが飛びついてきた。鼻がヨーヘイの手元に突き刺さるように伸びる。前足が膝を掴んでいる。
ヨーヘイ:「待て。まだ生だ。生で食うな」
フィンの耳が前に倒れている。目が真剣だ。
ヨーヘイ:「お前、その顔は『早くしろ』だな」
短剣を使って、バラ肉を薄く切る。厚さは5ミリほど。断面が現れた瞬間に、息を呑んだ。
赤身と脂身の層が、交互に走っている。赤い肉の繊維の間に、白い脂が細かく入り込んでいる。断面全体が、薄い桜色と白のグラデーションだ。
ヨーヘイ:「……きれいだ。なんだこれ、焼肉屋の上カルビの断面じゃないか」
肩ロースも切った。こちらは赤身が主体で、脂が繊維の間にサシのように入っている。バラほどの脂量はないが、火を入れた時に脂が融けて肉汁と混ざるタイプだ。
ヨーヘイ:「バラは脂で食わせる。肩ロースは肉の味で食わせる。両方ある。両方あるんだ、この一頭に」
石の表面にバラ肉の脂身の端を押しつけた。脂を馴染ませる。白い脂が石の熱で融けて、表面に薄く広がっていく。煙が立つ。脂が焼ける匂いだ。
石が十分に温まった。
ヨーヘイ:「……行くぞ」
バラ肉を、置いた。
ジュウッ。
音が来た。
脂が石の表面に当たる音だ。低くて太い。サーラの炊事場でレバーを焼いた時の「ジュッ」とは違う。脂の量が違うのだ。バラ肉の下側から、透明な脂がじわりと滲み出して、石の上を伝い始めている。
フィンの耳が、ぴんと立った。音に反応している。
煙が、変わった。
枯れ枝の煙に、甘い脂の煙が混じった。空気が一気に重くなる。鼻の奥を直接つかむような、あの匂いだ。
ヨーヘイ:「……この匂い、反則だろ。焼肉屋の換気扇の下に立った時と同じじゃないか。まだ十秒も経ってないのに」
肉の縁が白く変わり始めた。生の桜色が、端から奥に向かって退いていく。焼き面と生の面の境界線が、じりじりと上がっていく。
脂が弾けた。
パチ、と小さな音がして、石の上で脂の粒が跳ねる。フィンがびくりと体を引いた。でもすぐに戻ってくる。怖いより気になるらしい。脂の粒が火の方に落ちて、炎が一瞬だけ橙色に膨らんだ。脂の煙が肉の上に立ち昇って、バラ肉の表面を撫でるように流れていく。
ヨーヘイ:「この煙が、肉に戻る。脂の煙で燻されて、外側がほんの少しだけ香ばしくなるんだよな。これが炭火の——いや、焚き火の力だ」
フィンが、石のすぐ横に座っていた。
顔を上げて、煙の行方を目で追っている。鼻がひくひくと動いている。尾がゆっくり左右に揺れる。金色の目に、炎の橙が映っている。
ヨーヘイ:「お前、完全に引き込まれてるな」
解析の声:「……」
ヨーヘイ:「解析さん?」
解析の声:「……いえ。何でもありません。加熱は順調です」
ヨーヘイ:「間があったな。サーラの炊事場でレバー焼いた時と同じだ。……解析さん、匂い届いてるんでしょ」
返事はなかった。
バラ肉の表面から、汁が浮いてきた。透明な液体が、肉の表面に小さな玉を作っている。肉汁だ。火の通り具合を見る一番確実なサインだ。
ヨーヘイ:「ここだ」
短剣の腹で、そっとひっくり返す。
焼き面が現れた瞬間、手が止まった。
焼き色がついている。均一ではない。石の凹凸に当たった部分が濃い飴色で、わずかに浮いていた部分は薄い黄金色だ。その色むらが、鉄板では出せない表情を作っている。焼き面全体に脂の艶がかかっていて、光を反射している。
ヨーヘイ:「……これは、いい。この焼き色、鉄板じゃ出ない。石焼きだからこそのムラだ」
フィンが身を乗り出している。前足が石のふちにかかっていた。
ヨーヘイ:「おい、近い。火傷するぞ」
フィンの鼻先が、ひっくり返した肉の5センチ先にある。匂いを嗅いでいるのか、焼き色を見ているのか。たぶん両方だ。
裏面を焼く。今度は時間を短くする。バラ肉は焼きすぎると脂が全部落ちて固くなる。両面に焼き色がつけば十分だ。
肩ロースも石に乗せた。こちらはバラとは音が違う。脂が少ないぶん、石に当たる音が高い。パチパチではなく、チリチリという乾いた音だ。
ヨーヘイ:「バラは脂の甘さ。肩ロースは肉の旨味。どっちが上かって話じゃない。どっちも要る。焼肉ってのは、そういうものだ」
塩が欲しかった。シーオの実はフィンが2体を引き離す時に使い切っている。
ヨーヘイ:「塩なしか。……いや、この脂の量なら、塩がなくても脂の甘さだけで食える。むしろ余計なものがないぶん、肉そのものの味が分かるはずだ」
焼き上がった。
バラ肉を石から下ろす。表面に脂の膜が張っている。光が当たると、薄く虹のような色が走る。
フィンが見ている。ヨーヘイの手元を、金色の目で、じっと。
ヨーヘイ:「いただきます」
口に出して、はっとした。
誰に言っているのか。横にいるのはフィンだけだ。サーラの宿のテーブルじゃない。美咲の作った朝ごはんの前でもない。蓮も結衣もいない。異世界の森の中で、石の上で焼いた肉に、「いただきます」と言っている。
でも体が勝手に言った。毎朝、食卓で言っていた言葉だ。体が覚えている。
口に入れた。
最初に来るのは、熱さだ。唇が、舌が、熱い。その次の瞬間——脂が融けた。舌の上で。じわっと広がる。甘い。砂糖の甘さではない。もっと奥の、喉の手前に溜まるような、重くて深い甘さだ。
噛んだ。
赤身の繊維がほどけて、肉汁が溢れた。飲み込みたくない。この味を、もう少しだけ舌の上に置いておきたい。
ヨーヘイ:「——っ、」
声にならない。
目を閉じている。気づいたら閉じていた。焼肉屋で本当に旨い肉を食った時と同じだ。他の情報を全部消して、味だけに集中しろと、体が命令している。
ヨーヘイ:「……旨い」
声が、震えていた。
ヨーヘイ:「旨い。旨いぞこれは。異世界に来て一番旨い」
肩ロースに手を伸ばした。こちらは歯応えがある。繊維がしっかりしていて、噛むごとに肉の味が濃くなる。バラとは方向が違うが、これも——
言葉が途切れた。旨すぎて、語彙が追いつかない。
解析の声:「……スキル《料理》の熟練度が上昇しました。1/100から3/100です」
ヨーヘイ:「上がった! こんなので上がるのか」
解析の声:「素材の特性を活かした調理が評価されたものと推定します」
ヨーヘイ:「素材の特性を活かした調理って。つまり、旨く焼いたってことですよね。解析さん、たまにはもっと素直に言ってくれませんか」
解析の声:「……業務の範囲内です」
ヨーヘイ:「その『業務の範囲内』、褒めてる時と誤魔化してる時と二種類ありますよね。今のはどっちですか」
返事はなかった。
◆
フィンが、じっとヨーヘイを見ていた。
石の横に座ったまま、動かない。口は開いていない。鳴いてもいない。ただ目が——金色の目が、ヨーヘイの手元の肉を追っている。視線が、肉からヨーヘイの顔に移り、またすぐ肉に戻る。
ヨーヘイ:「……催促してないつもりだろうけど、お前のその目は完全に催促だぞ」
バラ肉を一切れ、小さく切る。フィンの前に置いた。
フィンが鼻を近づける。匂いを嗅いでいる。慎重だ。一度引いて、もう一度嗅いで、それからゆっくりと口をつけた。
小さな顎が動く。噛んでいる。
途中で、動きが止まった。
フィンの耳が、ゆっくりと左右に開いていく。目が閉じていく。噛む動きが再開する。でもさっきより遅い。味を確かめるように、一口一口、丁寧に噛んでいる。
ヨーヘイ:「……お前も、目を閉じるのか」
声が小さくなっている。
旨い肉を食って目を閉じるのは、人間だけだと思っていた。でもフィンが今やった。小さな顎で丁寧に噛んで、途中で耳が開いて、目を閉じる。あの顔を——どこかで見た。
蓮だ。
焼き鳥屋で、ハツを口に入れた蓮が、「ハツ、おいしい」と言った時の顔。目を閉じて、少し首を傾けて、噛んでいた。あの顔と、今のフィンの顔が重なる。
ヨーヘイ:「……っ」
喉の奥が詰まった。
泣きそうになっているのが分かる。旨い肉を食っただけだ。それだけなのに。でも、蓮の顔が浮かんで、美咲の「おかわりは?」が聞こえて、結衣が椅子の上で足をぶらぶらさせていた景色が見えて——全部が一気に来た。
ヨーヘイ:「……お前、旨かったか」
フィンが飲み込んだ。
そして、ヨーヘイを見上げた。
金色の目が、真っ直ぐだ。尾が揺れている。前足が一歩前に出ている。もう一切れ、と言っている。声を出さなくても、体が全部言っている。
蓮と同じだ。食べ終わったら、もう一つ欲しい顔をする。言葉は違うけど、あの目は同じだ。
ヨーヘイ:「……ああ。食え。好きなだけ食え」
もう一切れ置いた。今度は肩ロースだ。
フィンが食べる。同じように途中で目を閉じている。こっちは噛む回数が多い。肩ロースの繊維を、小さな歯で丁寧にほぐしている。
ヨーヘイ:「お前、ちゃんと噛んで食うのか。偉いな。蓮より偉い。蓮は噛まないで飲み込むからな」
声が震えないように気をつけた。普通に言えた。たぶん。
フィンが食べ終えて、顎を持ち上げる。口の端に脂が光っている。
ヨーヘイ:「……もう一切れ行くか」
フィンの尾が、速く揺れている。
ヨーヘイ:「分かった。もう仲間だ、お前は」
笑った。
泣かずに、笑える。
フィンがヨーヘイの膝に前足をかけて、顎を乗せてくる。さっきの従魔契約の時と同じだ。でも今度は、口の周りに脂がついたまま乗せてきた。
ヨーヘイ:「おい、ズボンに脂がつくんだが」
フィンの目が、半分閉じている。満足した顔だ。
ヨーヘイ:「……まあいいか」
解析の声:「……よい昼食でしたね」
ヨーヘイ:「……解析さん、今の、感想ですか」
解析の声:「報告です」
ヨーヘイ:「感想だろ、絶対」
焚き火の残り火が、じわじわと小さくなっていく。脂の焦げた匂いが、まだ岩場の空気に残っている。
右足の痛みが、少しだけ遠くなっていた。
◆ 帰路
東縁を抜けると、草地が広がった。
午後の光が低くなり始めている。村までは30分ほど。右足を庇いながらだから、もう少しかかるかもしれない。
フィンが最初は地面を歩いていたが、ヨーヘイのペースが遅いことに気づいたのか、途中から肩に飛び乗ってきた。小さい割に温かい。右肩に乗っているから、右足の方に少し体重がかかるが、我慢できる範囲だ。
ヨーヘイ:「お前、重くないからいいけど。自分で歩ける時は歩いてくれよ」
フィンの耳が、風に揺れている。返事はない。
ヨーヘイ:「110枚。カゲダケとツキシダで依頼達成の110枚。それにF魔石が1個。ヤキボアの素材もある。全部換金したら——ツケの60枚と朝食分を返しても、まだ残るぞ。なあフィン、今日は大勝利だ」
フィンの尾が、肩の上で揺れた。
解析の声:「F魔石の換金相場は未確認ですが、G魔石より高いと推定されます。ヤキボアの素材は脂肪含有量が高いため、加工業者の買い取り対象になる可能性があります」
ヨーヘイ:「ボルドさんのところに持っていけば、何か分かるかもな。あの人は肉の扱いを知ってる」
村の門が見えてきた。
夕暮れ前の光の中で、門番が立っている。ドルグではない。交代したのだろう。門番がヨーヘイを見て、次に肩のフィンを見る。目が少し動いたが、何も言わなかった。
ヨーヘイ:「ただいま。……とは言わないか、ここでは」
村に入る。
◆ ギルド
カウンターにミナがいた。
台帳に向けてペンを動かしていた手が、ヨーヘイの顔を見た瞬間に止まった。ペンの先が、台帳の上で宙に浮いている。
ミナ(受付):「——レンさん」
立ち上がった。椅子が少し後ろに下がる音がした。何か言おうとして——唇が一度動いて、閉じる。もう一度開いて、閉じる。
三度目に、声が出た。
ミナ(受付):「……ご無事で、よかったです」
いつものてきぱきした声ではない。低くて、小さくて、少し震えている。
ヨーヘイ:「帰ってきました。心配かけてすみません」
ミナが目を一度伏せる。それから顔を上げた時には、もういつもの表情に戻っていた。切り替えが速い。でも、さっきの声は聞こえた。あれは本物だ。
ミナ(受付):「業務として確認します。——依頼の成果を」
ヨーヘイ:「カゲダケ10束、ツキシダ10束。依頼達成です。あと、余りのカゲダケ1束と、F魔石1個」
カウンターに収納から出した。カゲダケとツキシダが、束ごとに並ぶ。ミナが手早く確認していく。数を数え、状態を確かめ、台帳に記入する。その手つきを見ているだけで、プロだと分かる。
ミナ(受付):「カゲダケ10束、ツキシダ10束。依頼完了を承認します。報酬110枚。カゲダケ1束追加で2枚。F魔石の査定は——」
F魔石を光にかざした。少し間があった。
ミナ(受付):「F魔石1個、12枚です。Gより上位のため、査定が上がります」
ヨーヘイ:(12枚。G魔石が2個で19枚だったのに比べると、1個で12枚は大きい)
ミナ(受付):「合計124枚。手数料を引いて、お渡しは118枚になります」
銅貨の束が、カウンターに置かれた。
ヨーヘイ:(118枚。ツケが60枚と朝食分。返済しても余りが出る)
ヨーヘイ:「ヤキボアの素材があるんですが、ここで引き取りますか。それとも加工業者の方がいいですか」
ミナ(受付):「脂の多い素材はギルドより直接取引の方が高くなる場合があります。ボルドさんが扱ってくれるかと」
ヨーヘイ:「ありがとうございます。そうします」
フィンが肩の上で、ミナの方を見ていた。ミナの目がフィンに止まる。
ペンを置いた。
ミナ(受付):「……かわいいですね」
声が、さっきまでの業務口調と全然違っていた。
ヨーヘイ:「フィンです。相棒に——なったと思います、たぶん」
ミナ(受付):「……たぶん、ですか」
ミナが少しだけ笑った。口の端がわずかに上がっただけだが、ヨーヘイがこの表情を見たのは二度目だ。
ギルドを出た。夕暮れの通りを、宿に向かって歩く。
フィンが肩の上で鼻を動かしていた。右の方——宿がある方角だ。くん、くん、と匂いを追っている。
ヨーヘイ:「どうした。何か匂うのか」
フィンの耳がぴんと立って、尾が小さく揺れた。
ヨーヘイ:「……宿の方か。サーラが飯を作ってるのかもな。お前の鼻は本当にすごいな、村の中でも反応するのか」
フィンが肩の上で前のめりになっている。早く行きたいらしい。
ヨーヘイ:「分かった分かった。急ぐよ」
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【第11話−3 リザルト&ステータス】
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▼ ヨーヘイのステータス(11話−3終了時点)
Lv:3 HP:62/118(右足負傷継続・出血なし) MP:52/52
スキル熟練度:
・《解析》Lv1 熟練度 52/100(+0)
・《収納》Lv1 熟練度 17/100(+0)
・《採取》Lv1 熟練度 28/100
・《解体》Lv1 熟練度 11/100
・《料理》Lv1 熟練度 3/100(+2)★ヤキボア調理で上昇
・《従魔契約》Lv1 熟練度 1/100
▼ 本話の収支
・依頼報酬:110枚(カゲダケ10束+ツキシダ10束)
・カゲダケ余り1束:2枚
・F魔石1個:12枚
・手数料差引後:118枚
・ツケ返済:76枚(宿代60枚+朝食16枚)
・手持ち:42枚
・ヤキボア素材:未換金(ボルド持ち込み予定)
▼ インベントリ
・短剣×1
・採取へら×1
・冒険者証(Gランク・探索者)
・ヤキボア素材(残・ボルド持ち込み用・スペアリブ相当含む)
・ポーション:0本
▼ パートナー
・フィン(正式加入。料理の旨さで決定的に懐いた)
▼ ヨーヘイの考察
解析さん、報告します。
焼きました。ヤキボアのバラと肩ロース。石の上で。塩なしで。
これが——旨かったんですよ。脂の甘さがすごかった。バラは口に入れた瞬間に脂が融けて、赤身と混ざって、飲み込みたくなくなる。肩ロースは噛む肉で、噛むほど旨味が出てくる。
フィンにも食べさせました。あいつ、途中で目を閉じてたんです。旨い肉を食った時に目を閉じるのは、人間だけだと思ってました。違った。あれで完全に仲間になったと思います。
換金は118枚。ツケを76枚返して、手持ちが42枚。ヤキボアの素材をボルドさんに持っていけば、もう少し足せるはずです。
以上、記録終わり。次は宿に戻ります。
【第11話-3】はじまりの仲間 ― 焼いたら、ついてきた
焼いたら、ついてきた。
フィンが目を閉じた瞬間、ヨーヘイの中で蓮の顔が重なりました。「泣かずに笑える」と書いた時、この話は書き終わったと思いました。
ミナさんの「ご無事で、よかったです」も、ぜひもう一度読み返してみてください。




