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「なんだ、そこまで気づかれていたのね」

 話が終わるとすぐにミラノは言った。

「認めるの?」

「うん、認める」

 それはあまりに呆気ない答えだった。そして、彼女はやけにスッキリとした表情をしていた。

「それで……君の目的は達成出来たの? あの羽で君は自分の存在を知ることが出来たの?」

「あの羽は使わなかった」

 一瞬、彼女が嘘をついているのではないかと考えたが、その表情はとても嘘をついているようには思えなかった。

「どうして?」

「なんか……怖かったのよ」

「怖い?」

「真相を知りたい。誰もが思うことよね。でも、それを本当に知る勇気があるかっていえば、実は曖昧なのよね。そこに私の知らない、知りたくない真実があったとしたら、私はそれに向き合うことが出来るかどうかわからない。弱いって思われるかもしれないけど」

「思わないよ」

 思うはずがない。その思いは自分の中にもあるものだからだ。

「優しいんだね」

「あの羽はどうしたの?」

「しまってある。知りたいって気持ちがないわけじゃないから。捨ててしまうっていうのも違う気がして」

「そう。それじゃ自分の力についてはわからないままなんだね」

「そうでもないわ。夢を見たの」

「夢?」

「私の中に住みついた妖かしからの手紙みたいなものみたい。私に憑いたのは猫なの。自らが望むまで死なない猫」

「死なない猫?」

「嘘から出た真っていうことかしら。でも、『不死の妖かし』とうものとは違うみたい。私に憑いた猫はね。会いたい人がいるらしいの。その人に会うまでは決して死なないと決めたらしいの。だから、私も死なない」

「それは誰なの?」

「それがわからないんだって。でも、私に関係する人。私が会ったことのある人。わかるのはそこまで」

「それってあの写真の?」

「そうかもしれない。ハッキリとはわからないけどね。私に憑いた猫が、昨夜、それを教えてくれたわ。ひょっとしたらあの羽の影響もあるのかもしれないわね」

「うん。そうかもしれない」

 ミラノはそんな響をジッと見つめた。

「ねえ、草薙君は……どういう人?」

「それってどういう意味で?」

「一条家にいるってことはそういうことなんじゃないの?」

「そういうことだよ」

 素直に響は頷いた。彼女が全てを話してくれた今、自分が嘘をつくわけにはいかない。彼女が本当に望んでいたのは、同じような仲間なのかもしれない。

「ありがとね。草薙君は優しいんだね。利用するようなことをしてごめんね」

 ミラノはこれまでとは違う明るい表情をしていた。

「次は正直に話してほしいな」

「そうだね。草薙君なら、きっと正直に話しても協力してくれたんだろうね」


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