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『詩忍にくちなし』~文字で戦う世界のお嬢様と勇者執事~  作者: ふるなゆ☆


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85.『雷忍』参

 突如、悪魔と変わり果てた雷忍。

 威圧感がとてつもない。


「その状態は知らない実際。その正体を見破るショウタイム。罪被る前に消し去ろうかい。俺ら兄弟、魅せる力、強大で壮大!」


【ドラゴン!】


 ドラヴァスがドラゴンに変わる。そして、雷を(まと)う牙で噛み付こうとする。


【龍!】


 リュウジャスが龍に変わる。


「そうだ。俺らは最強の兄弟。【リズム】と【リッスン】で響け、爽快(そうかい)! 爺は出しゃばるな、俺らの時代。"ドラゴンダイブ"ですぐに死体。そうさ、勝敗は俺ら次第!」


 龍は渦巻くエネルギーを纏って突撃していく。



 瞬間移動――。



 パッと消えては、龍の目の前に現れる悪魔。

 龍の頭を強く殴った。吹き飛ばされたリュウジャスは木へとぶつかり、その場にのしてしまった。


 斬撃――!


 黒い斬撃が飛ばされた。

 それがドラゴンに直撃した。変身状態を解けてドラヴァスはその場に倒れてしまった。



 武器【ルーレット】


 七――バックラー。



 ルイレンが手にくっついた盾を前にして突撃しに行った。素早い速さでサッと敵に真後ろから詰め寄る。


 盾を殴る一撃。まるで後ろからの攻撃が見えていたみたいだ。


 粉々になる盾。ルイレンは遠くへと吹き飛ばされてしまった。



「強すぎやろ。これが……悪魔。」


 瞬間移動に、斬撃、死角なし、何より圧倒的なパワー。

 勝てるビジョンが浮かばない……。


 ビシビシビシ……。


 悪魔から剥がれ落ちる皮膚。


 

「さっきまでのダメージに耐えきれとらんか、悪魔にゃあ制約があるんか。どっちにしても、ここで耐え切りゃあ勝てるチャンスがあるはずじゃ。」



 ここで倒さないと、こんな悪魔が都市に進行して、都市に大きな被害が出る。

 お互い疲弊してる状態。けど、油断はできない。



【フェニックス!】



 フェルナがフェニックスに変身した。



「イモータル【フレア】!」



 強烈な炎が現れる。



削除(デリート)!】



 炎が消された。


 ブーメランで削る!


 カンッ!



 投げようとした時に、いつの間にか私の目の前に瞬間移動してブーメランをどこかへと殴り飛ばしてきた。


 やばい――。



 ……。


 体が……真っ暗になっていく。


 何が起きてるの……?


 体が……体の中から力が(みなぎ)っていく。



 不思議な力が体に巡る。

 腕に溜まっていく謎の力。この力を投げ飛ばせるような気がする。直感がそう言っている。


 シュッ!


 私は黒い斬撃を目の前に放っていた。悪魔を吹き飛ばしている。


 本当に私の体の中で何が起きてるの?



 ふぅ……。少し冷静になろう。目を(つむ)った。


 今、何故か黒の背景を通して見る私達を上から俯瞰(ふかん)した景色。少し体を強ばると前へと移動した。その強弱でそこから見える景色を前後左右上下自由に動かせるみたいだ。



 私は今――半分悪魔になっていた。まるで悪魔を纏っている感じだ。


 なぜ、こうなっているのかは分からない。ただ、あの悪魔と触れた瞬間からこの力に目覚めたことだけは分かる。


 もしかして、これがジェノムの言っていた悪魔の――力?



 見える景色を移動させていく。悪魔のいる所を見つけた。



 目を見開くと、さっき目を瞑って見ていた景色の所まで瞬間移動していた。


 殴る一撃。悪魔も殴る。


 お互いの拳がぶつかった。



 悪魔が吹き飛ばされた。



 ふっ――。私からさっきまでの力が消えた。



 吹き飛ばされた悪魔が立ち上がる。

 この戦闘中、もう同じ力は使えない――そう直感が言っていた。よく分からなくても、せっかくのチャンスだったのに……。倒しきれてない。


「ここで決めるっすよ!」


「ああ、これで終わりじゃ!」



【発火!】――【燃えろ!】



 ハロミトの剣が炎を纏う。桃太郎の刀が炎を纏う。二人の炎の(なまくら)が悪魔を同時に斬り裂いた。


 崩壊する悪魔。



 悪魔は消滅した――。



 勝ったんだ……私達。どっと疲れが襲ってきた。


 安心からか笑い声が聞こえた。それが安堵感を生んでくれた。

 




 雷忍との戦闘から次の日。

 私達は王宮へと招かれた。


 とっても横長のテーブルがあり、椅子が横並びに並んでいる。


「ご自由にお座りください。その後すぐに撮影を撮ります。」


 私は少し左側よりに座った。

 そう言えば、ルイレンだけ来ていない……。


「パルゥ!」


「パルパルも座る?」


「パルっ!」


 パルパルは戦ってないけど、ペットとして連れてきた。


「可愛いやんか。撫でさせてくれへん?」


 アテナが割り込んできた。パルパルは初対面のアテナに懐いていた。まぁ、いい人だもんね。そりゃ、懐きやすいか。



「はいっ。凛々しく、美しく~。」


 真ん中に国王が座った状態で写真が撮られた。


 パシャリっ。


 ついでに、私も写真を撮ろう。"時空"で可愛く撮れるように空間を歪めてから、"自撮り"でパシャリ……と。



【時間!】【自撮り!】



 あっ……!

 間違えたっ!


 最近、"時空"の技を使っていなかったから、よく使うようになった"時間"の技を使ってしまった。


 これによって自撮りが発動されるタイミングが時間差で行われることになった。しかし、一向に写真は撮られない。



 国王が去った。

 写真は一向に撮られない。仕方ないから諦めることにした。


 すぅ……。


 ルイレンが一番端っこに座った。ルイランが「おい! もしかしてティータイム取ってたろ。」と大きな言葉を放つ。


「……やばい。バレた……。」と呟くのが聞こえた。

 

 何をやっているんだか……。



 料理が運ばれた。

 それをそれぞれ食べていく。

 

「熱っつ!」ハロミトは盛大に口に熱々のトマトソースをつけた。



 はぁ……「なにやってんの……。」



 そこに、アテナが「これティッシュやねん。あの勇者さんに渡してあげてや」と私に手渡された。それをハロミトに渡すことにした。



 横からカナリンが「何? あんた、何一つ活躍してないのに、よく堂々とこれたものね。カナリンだったら恥ずかしくてここに来れなかったわよ」と冷たくあしらいながら、食事を口に運んでいた。


 それを聞いてルイランが「はぁ? 今すぐぶちのめしてやろうか!」とカナリンに手が出そうになっていた。


 それを見て、見兼ねたリュウジャスがルイランを止める。「やめろや。食事(メシ)がまずくなるだろ。まじで。てめぇ馬鹿だろ。」


 ルイランとリュウジャスって同じヤンキー臭があったけど、やっぱりリュウジャスの方がギルマスを勤めてるだけあってまともなんだと思った。




 パシャリ――!



 時間で遅らせた自撮りが今発動した。

 チェキのようにすぐにフィルムが出来上がった。


 

 ……。


  

 その写真を見た。

 ――祝杯の晩餐。


 左から右に向かってそれぞれ説明――。


 一番左に座るのはルイレン。何を考えているのか、ボーっとしているように見える。

 次にパルパルが右側を向いている。

 続いて、アテナが私にティッシュを手渡した後の様子が撮られた。

 その横にいるのは私。執事であるはずのハロミトが情けなく、そのままだと恥ずかしいので、顔についたトマトソースをティッシュで拭き取ってあげている様子を撮られた。

 その横はマユダがいる。楽しそうに横を見ながら、片手でテーブルの上にある銀貨で遊んでいる。……食事中だよ! 銀貨で遊ぶな!

 その横はハロミトで目を瞑って、私に汚れを拭き取って貰ってる。執事だろ! 甘えるな! まったく……。 


 たまたま真ん中にいたのはカナリンで、黙々と食事をしている。

 その横では立って、体全体を使ってカナリンに向かっていくルイランを止めている。……なんかご苦労さま。

 ルイランはリュウジャスに邪魔されながら、カナリンに向かって中指を立てていた。

 その横にいるナギサは、その様子を見て苦笑いを浮かべていた。


 さらに右に向かってフェルナ、桃太郎、ドラヴァスはそれぞれ三人と話していた。



 この写真を私は大切にしまった。



 楽しい時間と美味しい料理が、疲れた体を癒してくれた。



◆◆



 『詩忍にくちなし』~悪魔化の謎と主忍との修行、そして裏切りの仲間編~



◆◆



 その日、私は王宮に呼ばれた。

 国の忍が語りかける。


 

「ジュリネさんとハロミトさんに提案があります。主忍の下で修行をしませんか――?」

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