78.斧 対 ブーメラン
向けられる熱気が凄い。
多くの人が私と彼女にだけ視線を向けている。
取り出すブーメラン。相手は斧。
「リュウジャスさんの代わりやね。カリッジギルドの代表として、ヴァリアントギルドには負けられへんのよ。負けて貰うで。」
「私には私の勝つ理由がありますから、こちらこそ負けませんよ。」
試合のゴングが鳴った。
◆◆
第三試合。
〇アテナ
……秘宝――宝玉光の斧【蓄積】
〇ジュリネ
……秘宝――栄光の回転鉄具【遅延】
◆◆
カチッ。ダイヤルを軽くだけ回してから……
投げる!
「様子見なく攻撃するんやね。いいやん。けど、防がれたら、武器が落ちて終わりやない?」
斧を盾代わりにした。
『おーっと、開始早々、ブーメランと斧がぶつかり合うっ!』
――。すり抜けるブーメラン。
そのまま弧を描いて進む。
『何が起きたんだっ! すり抜けたぞっ! どうなってるんだ。あのブーメランは!?』
ブーメランを掴……
【集まれ!】
ブーメランは引っ張られるように空中を動いて、それをアテナがキャッチした。
「よー、分からへんけど、武器がなかったら、何もできひんやろ?」
「それは……どうかな?」
【自分自身】【重火器】
とりあえず、重火器で攻撃。斧で防がれた。
その攻撃で隙ができた。とりあえず走り出す。
「バレバレやよ。残念やったな。」
斧を振りかぶるアテナ。
『おーっと、この斧の一撃は当たるぞっ!』
ザンッ!
攻撃が当たる前に、アテナを襲う剣戟。持っていたブーメランが手から零れる。
それをキャッチして、ブーメランの刃で直接殴る!
斧を盾代わりにして防がれた。
『一体、何が起きたんだー!? 突然、アテナがダメージだぁ!』
このまま攻撃を与える。
ブーメランで切り裂きにいく。が、斧でいなされていく。鉄の音が広がっていく。
「それがブーメランの効果って訳やな。"遅延"って何を遅延するのか分からへんかったけど、攻撃を遅らせる効果で、そのついでにすり抜けるんやな。」
ひとまず距離を置いてから……
投げる!
「二度は通じひんよ。」
攻撃は簡単に横に移動されて避けられた。
なら、私も走って……
【磁力!】
軌道を変えるブーメラン。それがアテナと斧を背中側からすり抜けて、私の元へときた。
『おっと、直撃だー! が、またまたダメージは入っていないぞ!』
「読み負けた。けど、まだやられた訳やないからな。最後の最後まで粘らせて貰うよ。」
キャッチ。それに合わせて私は軸を意識して回転。そのままキャッチ&リリーフで隙なく投擲できる。
突っ込んできた。斧と彼女をすり抜ける。
「うちさ、賢く避けて戦うなんて向いてへんのよ。だから、泥臭くやらせてもらうで。」
【重火器!】
振られた斧。重火器の盾で守る。
【重力!】
斧が振られる。私は重火器を振っていく。
斧と重火器がぶつかり合う。
『斧と重火器。重量系鈍器対決だぁ! これは面白くなってきたぁ!』
ブーメランが壁に刺さった。
取りに行きたいけど、攻撃をぶつけ合うので必死で、取る余裕がない。
チクタクチクタク……タクッ!
ザンッ!
アテナを襲うブーメランのダメージ。二発分のダメージは相当なはずだ。
その間に……【磁力】でブーメランを引き寄せて、キャッチ!
「そろそろ溜まった頃やな。ラストスパートいこか!」
斧が眩しく光っている。
『眩しい。眩しいぞぉ! 斧がピッカピカに光っているぅ!』
確か、光れば光る程、威力が上がるんだっけ? その攻撃を受ければ一溜りもなさそうだ。
【暴れる!】
早い――!
【時間!】
五秒――。たった五秒だけ時間を遅らせて、何とか避けた。
『なんだなんだ。さっきのジェノムと同じことが起きてるぞー。まるで時間を止めたみたいだー。』
ひとまずそこから離れる。
「当てたと思ったんやけどなー。まぁ、まだまだ終わらんよ。」
やっぱり速い。
【時間!】
何とか避ける。
当たれば致命的。だから、避けるしかないが、防戦一方。"時間"の技も使えば使う程に、止めれる時間も少なくなってくる。限りもある。
「これなら……どう?」
【地雷!】
フィールドの中に幾つもの地雷が埋められた。
「動き回れば回るほど、地雷を踏んで爆発だよ。」
「この地雷……あんたの技やったんか。まぁ、既に対策済みやけどな。」
【上がれ!】
埋められているはずの地雷が目に見える位置に現れた。
【集まれ!】
それが全て彼女の元へと集まっていく。
【与える!】
さらに、それらが私に向かって飛んできた。
「知ってるよ。アナココさんから聞いたから。」
三大ギルド対抗覇戦で、アテナに地雷を軽々と対処されたことを事前に聞いていた。彼の言ってくれた方法と同じ方法で攻撃を返してきてくれた。
【重火器!】私は重火器を蹴り出して、そこに向かって重砲を放った。
私達の真ん中らへんで地雷に当たり、周りの地雷を巻き込んで大爆発を起こした。
フィールドが爆発物による煙幕で包まれてしまった。
『大爆発だぁ! 煙で何にも見えないぞぉ!』
「まるで呪釘の修行じゃない?」
ヴァリアントギルドで馬鹿達が行っていた真っ暗闇で遊ぶ呪釘の試練みたいに、目の前が全く見えない状況。
煙が邪魔だけど、敵の位置は分かる。
――斧が眩く光ってくれている。
私はブーメランと重火器を上手くいじくった。
『一体、どんな展開になっているんだぁ!?』
よしっ。一か八か。これで決める!
【磁力!】
アテナに近寄っていく人寸台の黒い影。その影にはブーメランがくっついている。
「見つけたで。もう逃がしはせんよ。」
段々と近づいていく一つのその影。
眩い斧が振られる。
発光――!!
超強力な一撃。その勢いに煙が吹き飛んだ。
『なんなんだ、この破壊力はぁ。喰らったら、もう一溜りもないぞぉ!』
「すごい。重火器が木っ端微塵……。」
ブーメランはやはり秘宝だからか無事でいた。
「なんで生きてるん?」
「なんででしょう?」
『何が起きたんだぁ!?』
重火器にブーメランをくっつけて、彼女の後ろに周りこんで"磁力"で引っ張った。彼女に近づくその重火器を、全く周りが見えない中で、きっとブーメランを持っている私だと思い込んだのだろう。
すごい一撃を放っても、それはデコイ。私はあなたの後ろで引き寄せていただけ。
【磁力!】
ブーメランをキャッチ。
そのまま、ブーメランを振りかぶって……剣みたいに振り下ろす!
タイマーは使用しない。そのまま鉄のダメージを喰らえっ!
ザンッ!
「やるやん。」
「やった!」
アテナは消えた。――そう、リタイアしたのだ。
『なんと決着。勝者は、ジュリネだぁ!!』
歓声の声が聞こえる。
とっても心地よい音だ。
◆
「お疲れ様っす。流石っすよ。」
「やった。とりあえず一勝!」
次に駒を進めることができた。
けど、まだ二回も勝たなきゃならない。
「まあ、気は抜けないよね。」
次は第四試合。
その試合に勝った方が私と戦う。
岡山大河町の主忍――桃太郎将軍。
そして、ルイランの兄、永久の町の主忍――ルイレン。
どっちも相当な実力者。
どっちが私と戦うことになるのか――。




