76.最強秘宝決定戦
観客席に作られた特別席。
そこで国王が前へと出て杖を床に強く突いた。
タァンッ!
「よくぞ、集まった。秘宝使いよ。我は国王ソフィス十三世。魔族に打ち勝ち、世界の栄光と発展を祈願し、最強の秘宝使いを決めるべく『最強秘宝決定戦』を開催することを宣言する!」
タァンッ!
側近と思しき忍が前へと出た。
「詳しい説明の前に、大会には参戦せず、行方を見守るお三方と、その秘宝についてご紹介します。」
再び国王が前に出た。
人々の視線が彼に集まる。
「国王ソフィス十三世。"秘宝――幻の杖"を所持。太古に置かれましては、どれ程入り組んだ狭い道も、どれ程暗い場所も、この杖の力【録画】によって、全てがお見通しとなる最強格の偵察武器として扱われました。現在は古の都とその周辺の異常を感知し、その状況を録画する能力によって、我が都を守って下さっております。」
そう言えば、ダイセナが私達を襲った時に、録画を見た的なことを言っていた。それって、国王様の秘宝によるものだったのか……。
国王は下がり、今度は王女が前に出た。銀に輝く美しいドレスをヒラヒラとなびかせながら進む。
「王女ソフィア。"秘宝――究極の盾"を所持。太古に置かれましては、一定区域を特殊フィールドに変化させる効果と、そのフィールド化での復活能力――【電脳】を利用し、敵を翻弄しつつ何度も蘇る戦法で敵の戦意を削ったとされております。このバトルコロッセオは究極の盾により成り立っているのです。」
王女もまた椅子へと下がっていった。
最後に、話をする忍が光る矢を取り出した。
「最後に、わたくしめが預からせて頂いている"秘宝――神の矢"について説明します。能力【阻害】により、刺さるとどんなバフも無効化するという伝説の品です。」
運営が言っていた秘宝ね。あれがないと魔王を倒せないという……。
「以上三名は試合を見届けさせて頂き、他八名によるトーナメント戦を行います。そして、優勝した秘宝使いには、『秘宝――神の矢』を贈呈させて頂きます。」
……!
矢の先が力強く光っていた。その光が会場を包む。
その秘宝は優勝すれば手に入れることができるのか。魔王を討伐するためには優勝しなければいけないみたいだ。
私はアンチギルドと約束をしている。優勝すればカナリンを返して貰えると。
カナリンを取り戻すためにも私は絶対に優勝しなけらばならない。奇しくも、優勝しなきゃいけない理由に魔王討伐のためが加わった感じだ。
何にせよ――勝つ!
「では、ルール説明。戦闘は一対一のトーナメント制。どちらかが退場――つまり、電脳空間上での死になれば決着。勝者が次の駒へと進めます。フィールドは古の闘技場となります。」
芝生の上に立つ私達。試合になると、ただの硬い土の床に変わるみたいだ。
「最後に、秘宝使いの最強を決めるため、秘宝を使うこと。」
まぁ、言われてみれば当然のことだ。
「では、今から対戦組み合わせを発表致します!」
――。
対戦カードが紹介されていった。
第一試合。
〇王子ソフィス・ジュニア
……秘宝――魔法の勾玉【スポットライト】
〇ツェリ
……秘宝――呪釘四連【帳】
「第一試合は、王子と主忍のツェリね。ツェリは主忍だし相当強いのは分かるけど、王子ってどれぐらい強いんだろう。」
第二試合。
〇ハロミト
……秘宝――勇者の剣【あべこべ】
〇ジェノム
……秘宝――毘沙門の塔【召喚】
「絶対に勝ってきてね!」
「もちろんっす。勝利する姿見せるっすよ。」
第三試合。
〇アテナ
……秘宝――宝玉光の斧【蓄積】
〇ジュリネ
……秘宝――栄光の回転鉄具【遅延】
「私の相手はカリッジギルドのギルマスさんね。まさに相手に不足なしって感じよね。」
第四試合。
〇桃太郎将軍
……秘宝――伝説の如意棒【伸び縮み】
〇ルイレン
……秘宝――七支刀【七つの力】
「主忍対決ね。どちらも相当強い。どっちが勝つか予想できないわね。」
私達は控え室へ。
そして、第一試合をモニターで見ることに。
◆◆
第一試合。
〇王子ソフィス・ジュニア
……秘宝――魔法の勾玉【スポットライト】
〇ツェリ
……秘宝――呪釘四連【帳】
◆◆
二人が戦場に立った。
一人はギザな見た目のあからさまに王子っぽい見た目。一人はモデルみたいな容姿なのに眼帯と黒い翼をつけてる厨二病。
「汝よ。伝えなければならないことがある。」
美しい所作で王子を指名する。
「妾は賄賂に興味がない。我が左眼に封印されし悪魔神が疼いていてな。本気の試合を求めておる。手加減はしないぞ。」
わい……ろ? 今、賄賂って言った?
王子に白い目が向かれていく。
「くそっ。なぜ、人前でそんなことを言うんだ。貴様、こんなことして許されると思っているのか!」
「妾、何か良くないことでもしたのか?」
暴露した本人、何も気づいてなさそうだ。
それを見た王子が鋭い剣を引き抜いた。
「主忍がなんだ。私が徹底的に倒してやる!」
――!
『さぁ、試合のゴングがなりました!』
試合が開始された。
「白銀に輝く聖なる――【剣】【追尾】」
大量の魔法陣が空中に現れた。
魔法陣から現れる細く短い銀色に照らされる剣が、王子目掛けて進んでいく。
ザ、ザ、ザ、ザ、ザクっ!
一瞬にして剣山になる王子の体は、耐えきれずに消えた。つまるところ、リタイアだ。
『い、一瞬で決着だぁ! 勝者はぁ、ツェ……』実況がそう言いかけては止めた。
『審議に入りました。』
少しして……
『ただいま、審議が終わりました。勝者! 王子ソフィス・ジュニア!』
どうして、ツェリが勝ったはずなのに……。なぜ結果が覆ったの?
もしかして……賄賂? 審判を買収したってこと!?
「解せぬな。なぜ妾が負けねばならぬ。」
『大会のルールにより、一度も秘宝を使わずに倒したため、反則負けとなりました。』
あっ――。
ルールで秘宝を使うことって言ってたわ。それは反則負けになっても仕方ないわ。
まさかまさかの王子の勝利だった。
「次はハロミトの番だね。頑張って!」
「期待してて。俺の強さ見せるっすから。」
ハロミトが戦場へと向かった。
相対するジェノムもまた戦場へとやってきた。
剣と塔。二つの秘宝が太陽に照らされた。




