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『詩忍にくちなし』~文字で戦う世界のお嬢様と勇者執事~  作者: ふるなゆ☆


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68.チームワーク

 転送――。それが開始の合図。


 森の中。私達の目の前には大きな透明な水晶がドンと構えてある。これが――クリスタル。


【龍!】


 リュウジャスは龍となり、クリスタルを噛み砕いた。クリスタルは割れて新たなクリスタルが現れる。新たなそれは赤色に光り輝いていた。



「じゃあ、先手必勝。作戦通り、さっさっと行くよ!」


【プテラノドン】


 プルリューはプテラノドンに変化し、それに私は乗らせて貰った。


 森の中を見渡していく。


 奥へと行く事に傾斜を下りていく地形となり、木々は少なくなり、真ん中に至ってはほぼ平らな砂地だった。


 パサッ。パサッ。



 やはり、カリッジギルドは固まって地道に進む方針だ。

 一方でアルカナギルドは個々人がバラバラに動いている。最初の陣地には女の子――ユーヒメだけが残っていた。



 やはり空の移動は早い。さらに敵の位置も分かり、一石二鳥だ。


【自分自身】私は私に変身した。


【アルマジロ】アナココはアルマジロに変身した。



【磁力!】アルマジロを放つ攻撃。クリスタルは割れた。そして、赤くなった。



 これで二つ目。



「ここから、いくよ。アナココさんはここを防衛。他で外側から遊撃するよ。」


「面倒くせぇなぁ。俺様は勝手にやらせて貰うぜ! お前らは勝手にやっとけ。」


 龍は言うことをきかない。

 勝手に行ってしまった。


 あーもう、もういいや。私よりも立場は上だし、何とかなるでしょ。私はもう知らない。


 

【地雷!】



 この能力は半径(いく)数メートルの中に地雷を幾つか埋めた状態で召喚する能力。


 私自身もどこに埋まってるか知らない。下手に動けば被雷(ひらい)する。ドヤッ!


 正直危険すぎて使い道が見つからなかったが、この作戦には相当使える技。なぜなら、


「プルリューさん!」


 私はプテラノドンに運ばれて空に出た。

 空から脱出すれば問題ない。


 無人だと罠だと怪しまれる可能性もあるし、バレた時の追い討ちができないため、防御力が硬いアナココを置いている。


 できれば、アナココが全員のヘイトを集めつつ、隙のできた他のクリスタルを私達が破壊して、点を稼ぐ算段だ。



 ドゥムドゥムドゥム。



 聞き馴染みのあるビートが空間を支配している。

 目立つ所に龍がいて、龍の口から強烈な炎の波動がアルカナの拠点に向けて放たれた。


 炎の余りの明るさに一瞬、その周りが暗くなったのかと思った。


 一直線に進む炎。


 そして、出戻る炎。



 炎はそのまま龍に直撃した。そして、龍が地面に向かって倒れる。



 ドガンっ!



「地雷の音だ。助けに行かないと!」


 下手に動けば地雷が爆発する。避けるには飛んでいくしかない。


「僕、行ってきます。」



 さっと進むプテラノドン。少し待ってると人に戻ったリュウジャスを連れて戻ってきた。そして、私達の近くに降ろされた。


「勝手なことしてんじゃねぇ!」


「危なかったから助けてあげたのに、なんでそんな事言うの!」


 お互い同じ方向を向いて戦わないといけなぃはずなのに、リュウジャスと上手く噛み合わない。


「邪魔すんじゃねぇ。俺は強ぇ。それを早く証明しねぇといけねぇんだよ!」


 何か切羽詰まったような雰囲気を感じる。まるで提出期限を超えてしまった提出物を出し迫られてる状況みたいな――そんな焦りを感じる。


「無理ですよ。それにリュウジャスさんは弱いです。」


 荒れかけの彼に真っ向から立ち向かうプルリュー。


「なんだと、こら。もういっぺん言ってみろや。俺様が直々に証拠見せてやらぁ。」


 凄む彼に負けじと張り合っている。


「どれだけ胸を張っても中身は変わりませんよ。あなたの力じゃ……足りないんです。」


「んだと、こら!」強烈な一撃が頬に入った。



「ねぇ! なんで仲間同士でやり合ってんの! あのさぁ――」「いいんです。ジュリネさん。」



 プルリューが立ち上がった。



「あなたの肉体的強さも、バトルでの技量も僕は強いと思ってますよ。」


「じゃあ、なんで弱ぇって言ったんだ? おちょくったんか? あ?」


(しん)()(たい)。どれか欠けたらそれは弱さになります。あなたは心が強くない!」


「な……。」


「胸に手を当てて思い返して下さい。どれだけ頑張っても報われない自分に嫌気がさして、心に余裕が無くなっていって、今ではまるで自暴自棄。このままだと、あなたは本当の強さに辿(たど)りつけず、いつまでたっても足踏みして、結局そのレベルに収まって、諦めの一生を迎えることになりますよ。」


 空気が変わった。

 まるで空気が止まった。


「本当に強くなりたいのなら、あなたは心に打ち勝つべきです。」


「心に打ち勝つだと……?」


 近くの木にふらっと進むリュウジャス。



 ガン!



 突然、頭を強く木に打ち付けた。

 何をしてるの!?


「ったく。その通りだぜ。目を覚ましてくれてありがとな、プルリュー。ここから挽回(ばんかい)してやんよ。」


 彼がこちらを見た。


「おい、ジュリネぇ。これからどうすりゃいいんだ。"中堅"さんよぉ。」


 怖っ!


 今の一連見てたから体制があるけど、それ見てなかったら逃げ出してたよ。マジで!



 ひとまず状況を確認する。



 あ――!



「今、アナココさんのいる場所に、敵が六人来てる。」


 耳を済ませば爆発音が聞こえてきた。今まさに戦闘中だろう。


「私とリュウジャスさんで横槍を入れて漁夫の利を狙う。プルリューさんは作戦通りね。」


 プルリューと別れて、真ん中の拠点へと向かった。



 森を駆けていく。



 ついに、開けた砂地に出れる。



 えっ――?



 (くぼ)んだ土地は凍っていた。その氷上をフィールドは所々、燃え盛っている。


 そして、目の先には巨大すぎる三つの顔の犬の怪物がいた。



 地獄の番犬とも呼ばれる怪物――ケルベロスだ。

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