65.かくれんぼ対決
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サイド――ハロミト。
対――イッスー。
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ジュリネお嬢様はギルド嬢と共に墜落した。
俺はイッスーと一対一で戦うことになっているが、空のどこにも見当たらない。
「家のどこかに隠れたっぽいねー。」
「探すとなると見つかりませんのね、多分。」
市街地には沢山の家がある。その中のどれかに隠れられたら探し当てるには相応の時間がかかる。
「まぁ、俺にかかれば余裕っすけどね。」
新しく身につけた技――。
【発見――!】
大まかな位置が分かるサーチスキル。
「大体あそこらへんっすね。」分かったのは多分、そこら辺にいるなーってことぐらい。
「いや、どこ?」
フェニックスが滑空する。地面スレスレを飛んでいった。その際に地面へと飛び降りる。
そして、家の玄関に手で触れた。
【発見――!】
ここにはいないみたいだ。
遠くから使えば大体の位置しか掴めないが、このように家に触れれば、その中に対象の物や人がいるかが分かるという技だ。
二軒目。三軒目。いない。
四軒目――見つけた!
「お邪魔するっすよ!」玄関は相手いた。この中にイッスーがいる。
リビング。どこにもそれっぽいのは見つからない。
キッチン。椅子に化けてはいない。
風呂場、いない。
「どーこだっ。」
和室へと進む。それっぽいのは見つからない。
「ここっすか!」
敷戸を開くもいなかった。
一階にはいなさそうだ。
階段を上がる。
二階――。
「椅子、多っ!」
部屋に敷き詰められた椅子。まさに二十脚。
大雑把に見てもどれも同じに見える。
一度、そこを後にして、他の部屋も探してみたが、やはり気配がない。
やっぱり……
「この椅子の中に本物がいそうっすね。」
しかし、数が多すぎるし、じっくり見てもよく分からない場合がある。
もしかして今まで見てきた椅子も、イッスーの擬態という可能性がある?
なら……。
一階にあった椅子も全部持ってくる!
ついでに使えそうなのも持ってくる。
「わざわざ増やすなんて馬鹿でしょ!」なんて言葉がその部屋の中のどこかからか聞こえた。
「あっ、ここにいるんすね。」
じゃあ、やることは一つ。
「ハロミト三分クッキングっす!」
「ハロミト三分クッキング!?」
まずは床にオリーブオイルとサラダオイルとお酒をこれでもかという程、たっぷりかけます。
そしたら、ライターで強火にします!
「熱っつ! 熱っつ! 放火魔だ」
燃えかかるイッスーが飛び出してきた。
体当たりを仕掛けてきた。「道連れにする気か!」普通に攻撃は避けられた。
そのまま逃げるイッスー。それを追いかける。
「ここからは鬼ごっこっすよ。」
急いで階段を駆け下りるイッスー。俺もまたそれを追う。
勢いよく開かれるドア。
家を出ると、向かい側の家にイッスーが入り込むのが見えた。
行くしかない。
「お邪魔するっす!」次の家に入った。
廊下の向こう側に立つイッスー。
「まんまと誘き寄せられたね。僕はわざと君にこの家に入るところを見せたんだよ。その理由は分かるよね? 僕の"移動"は空を移動するだけではなくて、物も移動させられるからさ。まあ、『文字の綾』ってやつさ。」
【移動――!】
包丁が空中で漂いながら、俺目掛けて飛んできた。
今度はダンベル、電子レンジ、はさみ、カッターナイフ……。
当たれば痛いものが飛んできたけど、何とか避けれた。
今度は黒い大きな何かでかいものが飛んできた。前が見えない。
何か飛んでくる。ちょっと避ける。
ザッ。
避けきれずに、腕に包丁が刺さった。
「なんなんすか……これ。」
「包丁を飛ばす前の目隠しに使ったのさ。ツェリイチオシ漆黒のインフィニティな翼だよ。かっこいいだろ?」
「俺、そういうのはとっくの昔に卒業したっす。」
今度は椅子が近づいてきた。
「もう終わりだよ。とっておきの必殺技。トラックに跳ね飛ばされる強ささ。受ければ一撃で終わりだ。」
【インパクト!】
強烈な一撃――
が、剣で簡単に防がれる。
「な、なんで、攻撃が効かないんだ……。」
「勇者の剣の効果っす。攻撃の威力とかがあべこべになるんすよ。」
「そうか。その道具自体が能力を持つ――十一の秘宝。その一つを君が持っていたのか!」
「説明してくれるのはいいっすけど、その前に自分の身を案じた方がいいんじゃないすか?」
軽く横振り。椅子は家を出た外の奥へと吹き飛ばされた。
市街地の道路。
「これで終わりっすね。」
【発火――!】剣が燃え出した。
後は以前、同様イッスーを倒すだけ。
たったった。人の足音。
そこに来たのはジュリネだった。向こうはもうノルマの敵は倒したみたいだ。
俺もさっさっと倒すしかない。
「油断禁物。君が近くにきた仲間に気を取られていた間に僕はもう空中に浮いてる。君は空にいる僕を追う手段はないのだろう。」
以前、俺は技を使おうとしなかった。そもそも戦うことすらしようとしなかった。
けど、今は違う。色々な技を、可能性を信じて技を放てる。
「何をしてるんだい? 自暴自棄?」
「つけてるんすよ。あの羽を。」
俺は黒い羽を背中につけた。
「ツェリイチオシ漆黒のインフィニティな翼をつけて何になると言うんだい?」
「うわっ、出た。なんかたまに目にする厨二病の翼。」お嬢様は呆れた声を出していた。
意外としっかりとくっつく体。
【はばたく!】
羽が動き出す。羽ばたく羽――
俺は今、翔いている!
「なんで、飛べるのっ!」
「何となくっすよ。」
何となく使ってみた技。――成功した。俺は今、空を飛んでいる。もうすぐでイッスーに辿り着きそうだ。
炎の剣が揺らめいた。
ブゥワゥァッ!
一刀両断。イッスーはリタイアした。
――――――。
地面に降り立った。
「やったね!」
「もちろんっす!」
俺ら二人は何とかなった。
他は――
大空では赤い光が現れる。
そして、龍が近くに落ちてきた。
龍は人間の姿へと戻っていく。
「まさに孤立無援って感じかぁ?」
リュウジャスの周りに集まる四人。
向こうは残り一人。こちらは全員が揃って、囲んでいる。
「そうね。これで終わりじゃない?」
「ほんと逃げまくって、跳ね返してきて、挙句の果てには耐えまくって……。ほーんと疲れたよー」とマユダ。
「はっ。椅子の野郎の言う通りだったな。勝負に負けて試合に勝つ。次こそは勝負でも勝ってやる。」
ひび割れていく体。
リュウジャスの体は内部崩壊し消えていった。
「ひとまず勝利っすね。」
喜びを分かち合おうとするも――
「勝利のアナウンスがなくない?」
異変に気付いた。
「運営のエラーとか時差とかじゃないっすか?」
「そういうもんなのかな……。」
そこで試合終了のアナウンスが鳴った。
胸を撫で下ろした。
「勝者――フライングフォース!」
え?
なんで――?




