64.フライングフォース戦
「相手は空中戦を得意として機動力が高いの。様子見してると前みたいに拠点に追い込まれちゃう。」
「そうしたら、派手に戦えなくなるよね~。」
「だから今回、フェルナはフェニックスで攻めて欲しい。」
フェルナには二つの変身能力を持っている。
不死鳥――何度も回復する最強のタンク。
フェニックス――何度も技を放てる最強の魔法砲台枠。
「そして、機動力を潰すために厄介な二人を――」
……。
作戦会議は終わった。後は、本番に挑むだけだ。
◆
「パーティーに一名欠員がありますので、一名の欠員補助をさせて頂きます。リーダーのリュウジャスに各補充メンバーを発表して頂きます。」
「プルリュー。頼むぜ。」
ダイセナに代わって、プルリューという男がパーティーに加わったみたいだ。この人はクエストの場所へと私達を運んでくれる人だ。
運び屋のプルリュー。この人……強いんだろうか。
私達が相対する。
「まさか元主忍を連れてくるとは恐れいったぜ。」
ギルマスの目は燃えている。
「俺様はよぉ、弟がいんだわ。弟はよぉ、俺よりも後にギルドに来たのに俺より先にギルマスに登りつめちまった。ヴァリアントギルドの秘宝に選ばれたのも弟の方だ。んで、弟はよぉ、国のスカウトで主忍になっちまった。」
突然の一人語りに場が静まり返った。
「今も俺様は秘宝に選ばれてねぇ。選ばれんには弟倒すしかねぇんだわ。そう、主忍を倒せなきゃいけねぇんだよ、俺は。いい機会だぜ。てめぇをぶち殺して、弟を倒す足掛けにしてやんよ。」
怒りと憎悪と負けん気の熱意。色々な感情が見え隠れしていた。それに着火した火は熱苦しい程に燃えていた。
◆
バトルコロッセオ。
全滅か拠点が破壊されると負けとなる。
フィールドは建物が立ち並ぶ市街地。
私達は私の他に、ハロミト、マユダ、フェルナ。相対するはリュウジャス、イッスー、ナギサ、プルリュー。
試合のゴングが鳴った。
「さぁ、行くよっ!」
【フェニックス!】
鮮やかな炎を纏う伝説の炎の鳥に乗る私達三人。
やはり空は早く進める。
市街地の上空高くを飛んでいく。
向こう側には赤と黒の色模様の龍が現れた。
「マジかよ! 話に聞いてねぇ。」
龍が驚いている。それもそうだ。戦闘開始早々、いきなり全員で攻めてくるのだから。それでこそ作戦通り。
【プテラノドン――!】
プテラノドンが襲いかかってきた。
「マユダ!」
「おっけー。」
【鉞――!】
召喚して投げられる斧。それがプテラノドンに直撃し、そのままプテラノドンは家へと落下し衝突した。
上空で対峙するフェニックスと龍。
「こりゃ、この試合の展開は早くなりそうだ。【リズム】【リッスン】!」
体が勝手に乗り出すビートだ。どこからともなく聞こえる音の羅列が響く。
攻撃が来る――。
「じっと待ってても始まらねぇ。吹き荒れろ"雷雨"。すかさずHate You。炎の鳥じゃ、雨で鈍る? ここから先は俺たちがルール。」
雨が降り始めた。
「クラッシュ【フラッシュ】!」
眩しい――。フェニックスの体が光出した。目の前で光ってきてるからすごく眩しい。
目を開けた。
私達のいる場所は雲一つない日照りが強い空模様となっていた。一方で、龍のいる方は嵐の中の大雨の状況となっていた。
二つに別れる天気――。
「毎度毎度、驚かすぜ、MY SIDE。ここから先は逃がさねぇ一切――合切。過剰な【液体】に耐えれるか、KID! 目を離したら、貴様は死っ! SHIT!」
巨大な水の波動。
「フル【フレイム】!」
フェニックスから放たれる炎の塊が水の塊に衝突した。凄まじい突風。飛ばされないようにするだけで精一杯だ。
龍はダメージを受けている――。
が、鳥の囀りが聞こえた後、龍は何事もなくこちらを睨んだ。
「硬い体に、無限回復。二人合わされば、無敵の壁役ってことね。」
ほんと完璧だと思う。
どんなにゴリ押そうとしても絶対に崩せない防御力と無限の回復力。放置できない破壊力。一度対面すれば、逃げたら背後を襲われて負けるため、逃げられなくなる威圧力。
どれをとっても――崩せない。
だから――。
「ここからが作戦だよ。」
【自分自身】【銃】
パァン!
龍の近くにいる夜鶯鳥目掛けて放っていく。
鳥はそれに気付いて近くを滑空して飛んでいく。そこに向かって二発、三発、四発――。
よしっ。命中。
しかし、天使の歌声の力によって倒せはしない。
それも含めて想定内――。
【磁力!】
夜鶯鳥に埋め込まれた銃弾に向かって引き寄せられる。
「捕まえた!」
「何するつもりなんです?」
「すぐに分かるから、安心してね。」
【重力――!】
重くなる私の体。鳥ごと下へと落下していく。
二階建て四LDKの家に墜落した。屋根を貫き、二階を貫いて一階へと落下した。
一応……何とか無事だ。
鳥の囀り。彼女が回復した。それに巻き込まれるように私も回復した。
「何のつも……。って、イッスーも?」
作戦は成功したっぽい。
「うん。ハロミトの方もイッスーさんと一対一になってるはずよ。これが私達の作戦だから。」
「私達を引き離す作戦ですね。そうすれば私の援護も通じないですからね。」
「それだけじゃないよ。あなた達はチームとして完成されたパーティー。こっちはまだ駆け出しのパーティー。チーム戦なら圧倒的に不利。だけど、個人戦に持ち込めれば、どう――?」
鳥の姿から人間の姿に変わっていく。
「私も舐められたものですね。」
【薙刀――!】
現れる薙刀。彼女はそれを強く握った。
「《具現化系》ではありませんので、二度は出せませんが、お生憎、あなたを倒すのに二つ目は必要ありませんからね。鳥籠に誘い込んだようですが、少しばかり甘いですよ。覇戦はそんなに甘くありませんからね。」
スッ――。
殺気を感じて頭を下げた。さっきまで頭があった所に刃が通る。
早い!
スッ――。
何とか横に避けた。テレビが真っ二つに割れた。
狭い空間の中で長い薙刀が素早く振られていく。
近づけない。離れようにも遠くには逃げられない。
突き――!
お腹を掠った。
けど、今が好機。薙刀の取っ手を掴んだ。これで攻撃を防げる。
「武器を掴めば攻撃を止められると思っていますよね。そんな甘くはないですよ。」
いつの間にか、体のバランスが崩れて転んでいた。
「武術を極めれば、姿勢を崩すのなど些細なことですから。」
再び薙刀が振られていく。
キッチンへと逃げ込んだ。敵との距離がようやく、そこそこだけ開いた。それにいい武器も手に入れた。
【銃火器】召喚――。
薙刀の攻撃を召喚される薙刀で防いだ。
【重力】
銃火器を振り回す。部屋に当たりまくって壊しまくってるけど、こんな家、壊れた所で問題なし。
バギュン。
建物の天井から木屑が落ちてきた。
「あんまりに暴れまくるから、壊れそうになっていますが。このままだとお互いに潰れますよ。」
「潰れる前に倒すから問題ないよ。」
裏に周り込まれた。薙刀による回転切り。銃火器を置いて、体を逸らすことで避けられた。
「いまだっ!」
【磁力!】
冷蔵庫が動き出して彼女にぶつかり私の方へと向かってくる。
「冷蔵庫と私で潰してあげる。」
重っ――!
潰すなんてできなかった。冷蔵庫の突撃。私達は壁を突き破って庭へと放り出された。
薙刀はもう持っていない。今がチャンス。
「これで外ですね。残念ながら鳥籠は終わりですよ。」
「どうかな?」
彼女を一度倒したマユダから聞いた攻略法。ナギサの回復技には明確な弱点がある。
【夜鶯鳥】
【磁力!】
残ってる銃弾を頼りに、私は彼女の元へと引き寄せられた。そして、首を思いっきり掴む。
「歌えなければ、回復技は発動できない。」
「けど、この状態でどうやってトドメをさすつもりなのでしょうか?」
「鳥なんて包丁で刺せばいいじゃない。ありがたいことに包丁が落ちてたんだから、使って上げなきゃ。」
スッ――。
キッチンで手に入れ、隠し持った包丁で一斬り。ナギサはリタイアとなった。
能力が解けた――。
まだ、試合は終わってない。能力はもうほんの少ししか使えない。ほんの少しの能力で横槍を入れて仲間の役に立つ。
そのためにもひとまず合流しなきゃ――。
フェニックスとまさかり担いだマユダが龍と戦っている。そこへと向かって走った。
天気は晴れ。雨は消え去っていた。
走っていると、晴天が降り注ぐ市街地の中、ハロミトとイッスーが戦っていた。
もう決着がつきそうだった――。




