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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
その次の話 

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92、 たかこちゃんママのひとりごと

頑張れ頑張れマーマ!

頑張れ頑張れマーマ!


転職した。

クラークから医師事務へ。

1年以上迷って決めた。

これが最後の転職。

‥‥って、前にも言ってたのは夢かな。


今の職場はけっこう居心地がいい。

仲間もいい。

初めの年は、11号の制服が7号になったけど、今は元に戻った。

楽しくやってる。

そろそろここで、フルタイムで働こうかと思っていた。


でもねえ……。

現実問題、フルタイムだと朝8時出勤。

家を7時20分に出なければならない。


朝、ごはん作って、そうじして、洗たくして……

若い時はできたけど、今は体力がない。

50過ぎた身体は正直だ。

夕飯の支度もあると思うと、心が折れた。


今までは午後だけの勤務だったから。

自分の時間は限りなくゼロになる。

それでいて、給料は…。

雇ってもらえるだけ感謝すべきなんだけどさ。


旦那も、もっと働けとしつこい。

お前がもっと稼げと言いたいけど、喧嘩はしたくない。

何より、貯金が底をつきそう。


子供達にはまだまだお金がかかる。

成績はともかく、塾もダンスもサボらずちゃんと続けているので、

そこは切り捨てたくない。

小説も書いていたいし、時間を選ぶか、収入をとるか。


そんな中、先輩が旅立った。

プライベートのつき合いはないけど、会えば小話をした。

同じ年代の仲間として、 ショックは大きかった。


思えば、ここ何年かで、突然の旅立ちを余儀なくされた人達が周りにいた。

理由はそれぞれ。

ただ、みんなまだ若かった。


実感がわかないけど。

月末に、先輩の出勤簿だけが途中で終わってるのを見て、

現実って残酷だと再認識した。


ロッカールームにはまだ先輩の名札がそのままだった

先輩のロッカーにそっと聞いてみる。


「……どう思う?」


「うん、うん、そーね、そーね」


最後に会った時の声が、ふっとよみがえる。

みんな寿命が同じならいいのに。


記憶の断片を探す。


「やってみたらいいかもしれない」


彼女なら、ききっとそう言う。

「よくわかんないけど」って、笑いながら。


それでも又、何週間か迷って、履歴書を出した。

まあ、返事が来たらラッキーってことで。


すると1週間もしないうちに連絡がきた。

なにかが見えた気がした。

あとはトントン拍子。


きめた。

これで食いっぱぐれない。

でも、うまく行きすぎ?

その理由は転職3日目に明らかになる。


要約するとこんな感じかな。

「新しい部署を立ち上げたので、経験者が欲しかった。無理だと思うなら言ってくれ」


「無理です!」

心の中では叫んでた。

捨て駒か?

でも、じゃあサヨナラねと言われると、マズイ。

今フラれたらショックは大きい。


左を見れば元看護師さん、右を見れば元看護助手さん、年寄りクラークに何ができましょうか!

言いたい事は山ほどある。


研修の度にお腹が痛い。

20代の時の体と能力があれば、何て事なかっただろうに。


はあ。

ため息しかでない。

あー、でも、とりあえずやろう。

負けてらんねえ。


旨い話にはウラがある。

処世訓に加える事にする。

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