93、 マイナス5点
すねてふくらませたほっぺを
両脇からつぶすのが好きだ
かわいいよなぁ、ホント
「なんかさ、運動不足だと思うんだよね」
たかこちゃんが言う。
「ダンスやってるよね」
「日数減らしたから、物足りない」
僕はジムに行ってるけど……
「一緒にジム行く?」
「ジム…?スタジオ、ある?」
……スタジオかあ、普通のジムになないな。
がっつり筋トレ界隈だからなぁ。
うーん、何か面白そうなのは……
「あ、テニスは?」
「手に酢?お寿司!」
「あー、はいはい」
「ウケないかな」
「5点」
「10点 満点?」
「1000点」
高校の時の部活で買ったラケットを大事に持っているというので、さっそくテニスコートに行ってみる事にする。
「朱海さん? テニスコートって言ったよね」
「あー、七海から聞いたんだよなー」
「壁打ちかぁ」
でもまあ、せっかくだからさ。
順番に打ってみようか。
……ほら、なんだかんだで、すごく楽しいし。
「あー気持ちいい!」
「やっぱ、開けたばっかのボールは弾むよな」
さっき買った2個入りのテニスボール。
ちなみに開ける時の「プシュー」っていう音が好きで、
「それなら、コーラ買えばよくない?」
「全然違うんだよなー」
「じゃあ次開ける時は横どりしちゃおー」
続けて打ってるうちに、段々ラリーっぽくなって、
満足、満足。
「じゃあ、次、取れなかった人がコーラおごり!」
「いいの? 小銭持ってる?」
ほっぺをふくらませて、挑発してくる。
……はいはい。
これで負けたらちょっと悔しいので、少し気合いを入れる事にする。
——結果、僕の勝ち。
「くやしー! もう1回!」
「お願いしますは?」
「くー…お願いし……マスカット! 」
「マイナス5点」
「許さんー!」
あー、本気で打ってきた。
力、入りすぎだよ。
ボールが柵の間にひっかかった。
「あーあ」
「これは朱海さんが打ち返せなかったから、私の勝ちだよ!」
「どーみても僕の勝ち」
キリがいいので、約束通りコーラをごちそうしてもらう。
特別に2本とも開けていいと言われたので、思いっきり振ってから開けてあげた。
「ちょーっとーー! きゃー!」
走って逃げるたかこちゃん。
「あー、たーこのコーラちょっとしかないー」
「半分あげるから、すねないの」
気持が緩むと、たまに「たーこ」になる。
今度「たーこ」って呼んでみようか。
どんな顔するかな。
いっぱい笑って、いっぱい遊んだ。
ギャグのセンスはまだまだだけどね。
……でも、悪くない時間だった。




