81、 たかこちゃんは花粉症
たかこちゃんは花粉症。
最近ひどくなってきたらしい。
「病院に行ったの。
でね、注射を打ってくださいって頼んだんだけど、すぐには打てないんだって。
今年は薬でがんばろうねって」
薬を飲んでかなり良くなったみたいで安心してたんだけど、今日会ったら顔が真っ赤。思わず聞いた。
「何かあったの?」
「昨日から突然、目がかゆくて…」
昨日、友達とダーツをしていたら、突然こうなったらしい。
そんなことあるか?
今日は祝日で病院もやってない。
明日のバイトは休めないらしい。
「バイトの後病院行く?ギリギリ間に合うんじゃない?」
「6時までバイトなの」
行くなら何科か…。
これなら、目医者か。
18:30までやってる眼科が近くにある。
「んー、我慢できるよー。この間耳鼻科でもらった薬あるし」
「ダメ。バイト終わる頃迎えに行くから、目医者行こうね」
たかこちゃんはいつも、病院に行くとなると症状が落ち着くらしい。
精神的なものか。
そうなると我慢することになってしまって、
結果、寝込んでしまうことが何度かあった。
それはよくない。
病院は好きじゃない。
ハードル高いよな。そりゃわかる。
誰かが付いて行ってあげれば、行くでしょ、きっと。
だから一緒に行く事にした。
「お待たせ、ごめんね」
「ううん、時間ギリギリだよ。行こうか」
こんなとき、バイクがあってよかったと思う。
バイクならすぐ着く。
……おっと、ここだ。
「着いたよ」
いつもより腰につかまる手が強かった。
きっと、辛いんだろうな。
バイクを止めて、後から待合室に入ると、
ちょうど同じタイミングで
たかこちゃんが診察室から出てきた。
「え?もう終わり?早すぎでしょ」
「うん、すぐだった」
診断は「すっごい花粉症」とのことで、しばらくコンタクト禁止だそうだ。
改めて見ると、目のまわりが赤いパンダみたい。
すごくつらそう。
「薬局で目薬もらったから、今さしちゃうね」
泣いてるみたいに見える。余計につらそうだ。
「少し楽になった気がする」
…そうは見えないけどな。
「…ごはん、食べに行く?」
「今日は帰ろう。ゆっくり休んだ方がいいよ」
「……」
何か言いたそうだけど、早く休んだ方がいい。
「…じゃあ、寝る前に電話していい?」
10時30分。思ったよりも早く電話が鳴った。
「朱海さん」
「ん?」
「眠い、薬効いてきたかもー」
「早く寝なよ」
「でも電話したい」
気持ちはわかる。
…沈黙。
「寝た?」
「…起きて…る」
数秒後、小さな寝息。
おやすみ、頑張ったね。
いい夢を。




