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碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

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79/93

79、 いつも通り

お正月

毎年変わらない、もう一つの恒例行事

笑って、食べて、少しだけ照れて──そんな何気ない時間が、いちばん幸せ


毎年の恒例行事となりつつある、たかこちゃんの訪問。

今年は宿題がほとんど無いらしいけど、逆に僕はレポートがたまっている。

だから結局、いつも通りだ。


「いらっしゃい、たかこちゃん、待ってたわよ!」

「あけましておめでとうございます、今年もお世話になります」


たかこちゃんが来ると、母さんがやけに嬉しそうなんだよな。

そういうものなのかな。

面倒だから、さっさと部屋に上がる。


「えー、もう行っちゃうのー? お昼は一緒に食べようね」


息子よりはしゃぐ母親、さむい。

もう慣れたけど。


「おじゃまします……」


滅多に来ないから緊張するらしく、

今日はたかこちゃん、おとなしめ。


「宿題、もう終わったの?」

「っていうか、あんまりなくて。作文的なのはあるけど」


「じゃあ、今日は僕のレポートの調べもの、手伝ってくれる?」

「もちろん」


本とネットを駆使して、調べてもらう。

ほんと優秀。

このまま作成も頼みたいくらい。


「ねえ朱海さん」

「何?」

「今日1日で終わる量?」

「100%無理かな、学園祭の間からため込んでるから」

「そう? じゃあ、明日も来ていい?」


さりげなく、明日の約束。


「うん、助かるよ」


レポートは言い訳だけど、今回はマジでヤバイ。

慣れてくると、必要そうな所を抜き出して、うまくまとめてくれたり。


「ねえ、これどう思う?」


なんて、話し合ったり。

一つレポートができた頃、嬉しそうなノック。


「ごはんですよー」


褒める気はないけど、うちの飯は結構おいしい。


「今日はね、お餅とチョコレートパフェです!」

「ご飯じゃなくない?」

「チョコパ!家で食べられるの?」


母さんが昔、レストランでパフェなんかも作ってたらしい。

僕も数える程しか食べた事ないけど。

今日は特別な日なのか。


「お餅? お雑煮とかですか」

「違うわよー、焼くだけカンタン、ま、待っててねー」


絶対手抜きだな。

でも、その割りにはなかなか美味しくて、僕も大好きだ。


「はーい、お正油、足りなかったらたしてねー」


皿にはフライパンで焼いただけの餅。

正油をかけるだけの、シンプル飯。

心なしか、たかこちゃんは残念そう。


「いただきまーす。……あれ? 美味しい!すっごく美味しい! お餅だけだよね? なんで?」

「でしょー。簡単なのに、忘れられなくなる味なのよー」


どんどん焼いて皿にのせてくれるけど、

そんなに食べて大丈夫かな?


「もう食べられませんー。美味しかったぁ」

「よかった、パフェ作る? すぐできるけど」

「大盛りでお願いします!」

「お腹いっぱいなんじゃないの?」

「パフェは胸に入るんで大丈夫なんです」

「なるほど、いくらでも入りそうだね」

「……ん? どーいう意味?」


「はーい、お待たせー、チョコレートパフェよー」


そんな事を言ってる間にもうできた。早い。


「すっごーい、かわいい!」

「でしょ! 食べて食べて」


お餅は見た目以上にお腹にたまるらしい。

たかこちゃんは本当にお腹いっぱいみたいだった。


「じゃあ、今年もみんなで洗っちゃおっか!」


洗ってる最中に


「すみません……トイレ、お借りします」


たかこちゃん 一時リタイア。


「食べさせすぎちゃったかしら?」


なんて、呑気に皿洗ってる場合じゃないだろ。


「ね、朱海。お嫁さんにするならさ……たかこちゃんみたいな子がよくない?」


又、余計なことを。


「すみません、続きやりますー」

「あのねー、 たかこちゃん今ねー 痛っ!」


毎年、ふんでいる足。今年も踏んでやった。


「一つだけ、国語の宿題があるんだけどね」


たかこちゃんが上目遣いで言う。


「恋愛について原稿用紙2枚以上書く宿題なの。詩でも、ラブレターでも、 形は自由なんだけどねぇ」


原稿用紙を置いてため息をつく。


「恋ってどう書くの?」

「知らない」

「彼氏でしょ?」

「書いたことない」


少し考えてからたこちゃんが笑う。


「じゃあさ 今の会話書いていい?」

「やめて」


即答。

いつも通り。

そして…

明日も、たぶん、いつも通り。

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