↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碧い航海日誌   作者: 松本朱海|徒然なるままに
続きの話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
69/93

69、 浴衣

夏祭りの夜、いつもとは少し違う姿に思わず見とれてしまう――

そんな夏ならではの、特別なひととき

夏

母さんが言うには、昔は夏の夜は涼しくて、上着が無いと寒いくらいだったって。

嘘だろ。

夜は冷房を消すと、汗だくで目が覚める。

昼間の熱さは尋常じゃない、夜も。

でも、夜の祭りは暑くても苦にならない。


たかこちゃんも楽しみにしていた。

初めて会ったのは…正しくはもっと前なんだけど…この神社。

特別な場所。


迎えに行こうとしたら「鳥居で待ってて」

今夜の催し物はプロの手品師が来るらしい。

もうすぐかなって頃、後ろから肩をたたかれた。


振り向くと、ほっぺが指でぷにってなった。

こんなことをするのは…


「あ…浴衣」

「うん、ママの借りちゃった」


ああ、よく似合ってる。

気の利いたセリフを言え…ない。


「じゃあ、今日はおしとやかでいくのかな」

「いつもですけど?」


背伸びして覗き込んでくるから、どこをみていいか迷う。

かわいい。

……すごく。

こういう事は伝えた方が喜ぶんだろうけど、今更…。


「朱海さん、手品見に行く?それとも食べる?」

「手品かな」

「そうだね、早く行こう!」


いつもの調子で急ぐから、ほら、危ない!


「あ…ぶなかったぁ、ありがと」

「うん…」


支えた手にあたる感触が、いつもより素肌っぽくて…。

何でもない風に、背中を支えて歩き出す。


イベントの広場は、あっという間に人でいっぱいになった。

たかこちゃんを前にして、後ろに立つ。

背の順。


たかこちゃんのつむじ。

それすら可愛くて、ちょっと押してみた。

ほんの、いたずら心。


「何?」って目をして、のけぞって見上げる。

前をむいたまま、首だけ。

どれだけ柔らかいんだ。

見下ろすと胸元に目がーー


そーっと、ほっぺを手ではさんで前を向かせる。

夏の夜には刺激が強すぎる。


手品師は饒舌だ。

いっぱい笑わせてくれる。

たかこちゃんが笑うと、ほっぺに置いた指に息がかかる。


ちょっと耳たぶをつまんでみる。

少しひんやりして、柔らかい。

気持ちいいな。


手品は面白かったけど、

それ以上にたかこちゃんの反応が楽しかった。


「くすぐったいよー」


って、笑うたかこちゃんが可愛くて。

自然に口にした。


「綺麗だね」


「え、そんな、急に………ありがと」


「その浴衣」


おかえしにほっぺをつねられた。


今年の夏祭り

一緒に来られて、よかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。